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エレベーター 第二部(11)

「ええっ?!帰るんですか!?今日?」
「そんな事、言ってなかったじゃないですか?」

時刻は8時を回ったところ。

「迎えがここに来る事になってるの。」
「日付けが変わる前には来くるはずだから、それまでいさせてくれ。」

家に戻ってくるなり「アメリカに帰る」とか言い出すから本当に驚いた。
いつ帰るとも聞いていなかったけど。
本当に唐突な行動をする両親だ。
ここに荷物がない事を考えると迎えの車とやらに積んであるのだろう。
つまりはゆうべここに泊まる前には帰国する事が決まっていたわけで……。

「何しろ仕事を放り出して来たからなぁ。」
「某ハリウッド女優様がお待ちなのよね。スタッフに任せたんだけど、私じゃなきゃ嫌とかいうのよ。日本にいるって言ったら、ジェット機をチャーターするんですって。いったい何様のおつもりかしらねぇ?」

母さん…あなたを贔屓にしているハリウッド女優はかなりいる。
しかし、たかだか贔屓先の店主を迎えに自家用ジェット出すような女優と言えば……心当たりもあるような、ないような。
いずれにしろ、あの人達がその気になれば、あなた達の店は明日にも潰れますよ。
……そんな事すら気にしない俺の両親こそ、いったい何様なんだろう。
器がでかいとよく言う表現があるけれど、この二人の場合、ただ底が抜けているだけなんじゃなかろうか。

店が潰れたとしても一からやり直せばいい…そう公言し、実行する。
それがこの人達なのだ。
俺がまだ幼い頃、それを本当にやってのけた。
俺が生まれる以前にもそんな事があったらしい。
理事長に聞いた話しだけれど、目立つ二人なだけあって標的にされての事だった。
脅しても屈しない男と財をチラつかせてもなびかない女。
それでも二人は立ち上がってきた。
しかも笑顔を絶やす事なく、それどころか楽しんでさえいた。
幼い頃…住み慣れた家を僅かな荷物だけを持って後にした記憶がある。
狭い部屋で家族三人一つのベッドで寝た記憶も。
だけど、辛い思い出ではなかった。
多分、二人が笑顔でいてくれたからなんだろう。
無料キャンプ場に暫く滞在していたりもした……生きて行く為に。
はたから見たら金も無いのに遊んでるようにしか見えなかったみたいだけどね。
そんな両親のおかげで、生きていく術を様々に学んだ。
こう見えて家族全員ジャングルの中でだって生きていけるくらいのスキルがある。
これでキョーコが加わったら完璧な自給自足生活がおくれるだろう。
……キョーコに苦労させる気はさらさらないけどね。

運気を逃さず実力でのし上がり、アメリカンドリームを繰り返しつつ生きてきた両親。
2人を見て育った俺は一つのこれで決心をした。
『安定した職に就こう。』
アメリカでは両親に左右される事が必至な環境だった事と俺自身も目立つ容姿であった為に父の祖国を生きていく地に決めた。
一言で言えば、面倒くさいから逃げたのだ。
欲にまみれた人間の相手をするのはウンザリだった。
俺の外面しか見てくれない女の子達にも。
15歳で日本に渡り、今に至るわけだけど、そうした自分を褒めてやりたい。
でなければ、キョーコには出会えなかったはずだから。

そんな自分を褒めるのは後回しだ。

今は目先の事。
なんだ……この感じは。

親元を離れて暮らすのはもう何年にもなる。
その間、二人が日本まで来てくれた事は何度もある。
その時は二人が帰る姿を見送っても、寂しく思う事なんかなかったのに、今回は……。

「帰るなら…そう言ってくれれば良かったのに……。」

今回は心にちょっと隙間が空いて、スースーする感じ。
……これを寂しいというのだろうか?

何の心境の変化だ?

「言ったら寂しくなるでしょ。」

突然聞かされるこっちの身にもなって下さいよ。

「日本に来て良かったわ。」
「こんなかわいい娘まで出来たしなぁ。」
「本当ね。」
「さぁ、時間も無いんだ。迎えが来るまで楽しく過ごそう。」

そうはいうもののあまりに突然過ぎてキョーコは目を白黒させている。

ごめんね。
キョーコ。

それから俺達は家族の時間を満喫した。
今日の楽しかった事、面白かった事。
キョーコと母さんが二人で作ったランチボックスの事も。
それから次に会う予定も立てた。
俺達は学校の休みに左右されるから、父さんと母さんが日本に来るのが早そうだ。
冬休みにはアメリカの実家に行く予定になった。

キョーコは初めての海外らしい。
ずっと苦労してきたのだし当たり前か。

これからは君には絶対になんてさせたりしないよ。

俺が君を守って行くんだから。

小腹が空いたという父の為に四人でキッチンに立って簡単なものを作った。
ちょっと油断して…母さんが…やらかしてしまったのはご愛嬌だ。

そんな時間もあっという間に過ぎて、11時半さした頃に来客をつげるチャイムがなった。
迎えの車がきたようだ。

インターフォンで確認すると、どこかの金持ちの執事風の男が写っていて父さんの話しだとワガママ女優の邸宅の使用人らしい。

二人をエレベーターまで送る。
下まで行こうとしたけれど、離れ難くなるからここでいいと言われたのだ。

「父さん、母さん。気を付けて。」
「お前達も身体に気を付けろよ。」
「キョーコ、今度会う時は二人だけでお出かけしましょう。ショッピングもしたいし、DARUMA-YAでお茶したいわ。」
「是非!今度はもう少しゆっくりできるといいんですが…。」

エレベーターが到着するまでの僅かな時間。
もうそれしか残された時間はない。

「そうだわ、キョーコ、耳を貸して。」

母さんがキョーコに何か耳打ちをしている。

「 ーーーーね?」
「はい。」
「約束よ。」

約束?
なんだろう。

ーーチン

エレベーターが電子音を響かせて、ゆっくりとドアが開く。
父さん達が乗り込む。

「じゃ、またな。」
「キョーコ、蓮の事をよろしくね。」

二人は閉まるドアの中に消えた。
階下へとおりて行くエレベーター。

「キョーコ、母さんと何を約束したの?」
「秘密です。」
「秘密なんて言われると気になるんだけど。」
「じゃあ、一つだけ教えてあげます。」
「何?」

彼女は輝かんばかりの笑みを浮かべて言った。

「愛してますよ。」

えっ!?
…今…何て?

俺を残しドアまでの僅かな距離をスキップする彼女。
その彼女をドアに手を掛ける寸前で引き寄せた。

「もう一回言って!」
「愛してますよ。」

〜〜〜っ!
幻聴じゃない!
夢でもない!

「?蓮さ…きゃあっ!!れれれ蓮さんっ!?」

彼女を抱き上げた。

「キョーコ、ドアを開けて!」
「へっ?」
「早くっ!」
「はいっ!」

もう一分一秒だっておしい。
開けられたドアをくぐり、寝室へと急ぐ。

「キョーコ、ここも開けて!」
「はいっ!」
「よしっ!」

俺は使い慣れたベッドにキョーコ諸共ダイブした。

「結婚しよう!キョーコ!」

もう、無理。
我慢なんて出来ない。
待つ余裕もない。

俺の欲望は一気に最高潮まで登りつめた。



◆◇◆◇◆



「もう信じられないっ!あんな人前でキスするなんてっ!」
「ゴメンね。」
「だって…。」
「だってじゃありません!」

ーーーチン

「もう!いつまでも新婚じゃないんですよ。」
「いいじゃないか、新婚で。」
「嫌ですよ。それより、早く降りて下さい。中でパパとママが待ってるんですから!」
「違うでしょ。俺と君がパパとママになるんだから。」

愛する妻の手を引いてエレベーターを降りる。

結婚して3年目。
家族が一人増えました。











エレベーター 完





エレベーター完結しました。
というか、させた?
エピローグもあるようなないような。
書けたら書きたいです。

人様から引き継いだお話し。
難しいですね。
ルイーザ様やファンの皆様の作品に対するイメージを壊していなければいいのですが。
今は祈るのみ。

少なくとも、こんなラストでは無かったのは確かでしょう。

とにかく、このお話を読んで下さった皆様、ありがとうございましたm(_ _)m




それではまた。



月華

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ついに完結!

お疲れ様でした!!

まだ全部読めていませんが、ゆっくり楽しませていただきます!
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