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強く儚い者達 9

魔女は彼女の……キョーコの中にいた。

キョーコの呼びかけに応えなかったのは、自ら俺を試す為。

俺がキョーコを連れ戻すに相応しい男かどうかを見極める為。

「こちらにいらっしゃい。あなたが望みを叶えて上げる。」

壁沿いに螺旋を描いて上へと伸びる階段を示し、キョーコの身に宿る魔女が静かに言った。

おれの望み?
そんなの…一つしかない。

キョーコを返してくれ。

それだけだ。

多分…魔女は俺の望みを知っている。
知っていて〝望みを叶える〟と言っているのだ。
それは確信。

魔女について上へと続く階段を登る。
しばらく上ると階段が途切れているのが分かった。
そこが塔の一番上なのだろう。
小さな扉の前に突き当たる。

「中にお入りなさい。」

先に中に入り、ドアを開けたまま待つ彼女。
身を屈めて開かれたドアを潜る。

中は以外に広かった。
家具と言える物が少ない為、広く見えるのかもしれない。

部屋の中央には大きな水瓶が一つ。

「自分が何の為にこの島に来たのか、もう分かっているわね。」

魔女は俺の心を読んでいる。
今更、驚きもしないけど。

「でも……あなたの願いは簡単には叶えられそうにない。」
「……俺の望みを叶えると言った。」
「覚悟が必要なのよ。失敗すれば、この子はあなたの元に戻る事はない。永遠にこの島から出る事は叶わなくなる。見たでしょう。石化した魔女の姿を。」
「あなたがやったのか?」
「いいえ。彼女が望んだ事よ。自ら石になる事を選んだの。愛した王子と一緒にね。」
「ショー王子の婚約者は魔女だったのか?」
「いいえ。真実を知り、王子の裏切りに絶望し、魔女になったのよ。魔女になって得た力で彼女は石になる事を選んだだけ。王子が自分から離れていかないように。」
「……君も彼女達と同じ…人間だったのか?」
「そうよ。私の身体は随分と昔に朽ち果ててしまったけれど。残っているのは、魂とこの心だけ。」
「あなたも…裏切られた?」
「さぁ、どうだったかしら?忘れたわ。何百年も昔の事だもの。…私の事はどうでもいいわ。あなたはこの子を助けたいのでしょう?早く手をうたないとこの子も魔女になるわよ。私の魔力を吸収しているの。長くこの島にいたから、尚更ね。半年前から魔力の吸収が早くなった。あなたに花を届けたでしょう?それもけして枯れない花を。空間も時間も歪める程の魔力よ。私が持て余している魔力をこの子は苦もなく制御する。更にここ数日で加速している。……魔女になりかけているのよ。」

キョーコが魔女になる?
魔女になればこの島から出られなくなるという……。
冗談じゃない。
俺はキョーコを取り戻すんだ。

そんな事ばかりを考えていた俺に魔女ミオは言った。

「あなたのせいよ。」


俺のせい?
何がどうなっている?
この島に長くい過ぎたとも言っていたから、俺が迎えに来るのが遅かったということか?

「この子は知っているの。あなたに婚約者がいる事を。」
「隣国から押し付けられただけだ!俺にはキョーコがいる!キョーコ以外を妻に迎える気は無い!キョーコにもそう話した。」
「この子は見てしまったの。あなたの婚約者の秘め事を。」

秘め事?
俺があの姫と関係を持ったとでも言いたいのか?
それこそ冗談じゃない!
キョーコにも直接言われて否定したのに信じてくれなかったのか。
とにかく誤解なら解かなければ。

「覚えはない!」
「そこに水瓶があるでしょう?水鏡よ。遠見ができるの。」
「俺は姫には触れてはいない!」
「ええ、あなたではなかったわ。でも、この子は姫君の相手はあなただと思い込んでる。」

あの女…国に叩き返してやる。
誰と関係を持とうが俺にはどうでもいい。
だが、キョーコを苦しませた事だけは許し難い。
キョーコは必ず取り戻す。
だが。万が一にもそれが叶わなかった時は……国ごと滅ぼしてやる。

俺の中に怒りの渦が湧き上がる。

「おやめなさい。黒い感情はこの子が魔女になるのを早めるだけよ。」
「黒い感情?」
「憎しみ、嫉み、殺意……そういう感情は魔力の糧となるものよ。何よりこの子は誰かが不幸になる事なんて望んではいないわ。」

いったいなんなんだ。
この島に囚われていたのは……。
フワ家のショー王子の婚約者だったらしい。
次は祖母と母と……それから……キョーコ。

つまり、王妃となるはずの女性達がこの島に囚われていた事になる。

ミオ…彼女も本来ならば王妃となる身だったのだろう。

一つ疑問がある。

何故、あの女……隣国の姫は島に囚われなかったのか。

腹立たしいが、あの隣国の姫が王妃になる可能性だってあったのに。

キョーコと彼女の違いはなんだ?

国の者ではないからか?

王家の血を引く家系の中でも、王に次ぐ有力者たるモガミ家。
由緒正しい血を受け継ぐ者だから?

彼女と出会った頃、俺は王家一族の中でも末席にいた。
モガミ家の人間と結婚など、あり得ないほどの身分差だった。
モガミ家の者たちは何も言いはしなかったが、周囲はそれをよしとはしなかった。
だから会うのはいつも二人だけの秘密の場所……あの花畑で。

子供ながらに、彼女と結ばれる事は無いのだと知っていた。
それでも彼女が大好きだった。

自体が一変したのは彼女と出会って四年後の事。

フワ家が王座を退き、ヒズリ家が王位を継承した時……俺は……彼女に一番に会いに行った。
会いに行って、彼女に思いを告げた。
その証に真実の名を……。

真実の名?

記憶が一気に蘇る。
どこに消えていたのかと問いたくなる程の鮮明な記憶。

『キョーコ。約束して。』
『レン様?』
『大人になったら、僕と結婚してくれるって約束して。』

二人だけの秘密の花園。
頷いてくれた彼女に俺は、その耳元でそっと告げた。

真実の名を……。

「…………。」
「そうよ。ここに囚われるのは王となる者の真実の名を知る人間よ。」



そうだ……彼女がこの島に囚われたのは……俺のせい。
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