エレベーター 第二部(3)

敦賀さんに押し切られて、現在同棲中の私達。
この事を知っているのは、親友のモー子さんと社先生だけ。

勿体無いけど、7階の私の部屋はまだ借りたまま。
何かあった時の為のカムフラージュ。
固定電話は設置していなかったし、緊急連絡先も携帯だから今の所問題はない。
ただ、居住空間はこの敦賀さんのこの無駄にだだっ広いお部屋になっていて、最近では掃除するために行くくらいで居住スペースとしての役割は果していない。

勿体無い。
ほんとに勿体無いわ。
そうだ!!
たまには自分の時間も必要よね?
この際だから、あのお部屋をメルヘンチックに大改造しちゃおうかしら?
今までは実用重視だったけど、あまり使わないのだし、この際思い切って趣味のお部屋にしてしまおう。
それがいいわ。

「キョーコ。」

窓にはレースのカーテンと……。
ベッドには天井から吊るせるレースの天蓋を……。

「キョーコ。器用だね、君は。」

ん?
あれ?

「俺がいる事に気付かないくらい考え事しながら、それでも無意識に料理をしっかり作るんだね。」

あら、できちゃってた。

「でも、流石にこの量は多いんじゃないかな?それにどちらかというとディナー向き。今夜誰か呼ぶのかな?ここに?」
「えっ?!」
振り向いてダイニングテーブルに並んだ料理の数々を見て唖然となる。

「きゃーーーーっ!!」

冷蔵庫の食材をうっかり全部使ってしまったわ!!
なんて事!!

ここのキッチンは主が全く使わないにもかかわらず、様々な設備が整っていて、料理が好きな私にとっては夢の城みたいなものだった。

ゆえについつい食材も買い込んでしまっていたのだが、それらを全部無意識に使ってしまっていたらしい。

------チーン。

だめ押しとばかりにオーブンが調理終了を知らせる。
開ければ、見事に焼きあがったローストビーフ。

どうするのこれ?

「お弁当にできる物はつめて持って行こう。それでもやっぱり多いし、今日は社先生と琴南先生をうちに招待しようね?キョーコの引越し祝いって事で。」

どうやらそれしかなさそうだわ。

「しかし、短時間でここまで作るとは驚異だね。」

私もびっくりしてます。

「じゃあ、キョーコ。戻ろうか?まだ時間あるし。」

え?
戻るって……どこへ?

嫌な予感がしていると敦賀さんが私に抱きついてきた。

あっ!肝心なのを作ってない!
お弁当用の卵焼き。
敦賀さんが好きだって言ってくれた卵焼きを焼かなきゃ。
フライパンを手にした瞬間、長い腕が私の身体に巻き付いた。

「きゃっ!いきなりなんですか!?」
「美味しいごはん、俺の為に作ってくれるのはすごく嬉しいよ。でもね、ベッドから勝手にいなくなるなんてひどくない?」
「いなくなるっ…て、ごはん作りに起きただけじゃないですか!」
「朝一番に君を抱きしめたくて手を伸ばしたのに、そこに君はいなかった。寂しかったよ。すごく寂しかった。」

あなたを起こしたら、無事で済むわけないじゃないですか?
下手したら、ごはん作る時間もないくらい朝からがっつくくせに!

絡み付く腕の力が増していく。

「お料理中に抱き着かないで下さいっば!危ないじゃないですかっ!一緒にお料理しちゃいますよ。」
「へぇ。どんなふうに?」

……敦賀さん。
何かがおかしいですよ。
何で料理で纏う雰囲気が夜の帝王になるんですか!?

「さっ、行こうか。」
「へっ?!」
「俺を料理してくれるんでしょ?」

はい?

「ね?」

ね?って、何が?
えっ?
なんでだっこ?
なんで?
どこ行くの?



向かった先は寝室で……。
ドサリとスプリングの効いたベッドへと放り込まれた。
間髪置かずにのしかかってくる敦賀さん。

「つっ敦賀さん、何を!?」

何の為か、分かっていても聞かずにはいられない。

「お料理。」

ベッドでは料理なんかしませーん!!

「お腹すいちゃった。」

だったら離して下さぁい!!

「待ちきれないから、俺が料理しちゃうね。」

いいやぁーーーっ!

時刻は6時を少し過ぎたばかり。

「時間なくなっちゃうから、大人しく諦めて、俺に食べられて?」
「調理前ですぅ。」
「すごく美味しそうだよ。」
「破廉恥ですぅ。」

私が解放されたのは1時間後。
それから慌ただしく準備して、お弁当に詰められるおかずを詰めこんだ。
車の中ででも食べられるように、適当にパンに挟み込んで朝ごはんにする。

「敦賀さんのバカ!」
「ん?」
「お弁当用の卵焼きが焼けなかったじゃないですか!」
「君の卵焼きはとても美味しいんだ。大好きだよ。また今度つくってね。」

エレベーターを待つ間、私はプリプリと怒ってみせたのに、敦賀さんはニコニコと上機嫌なまま。

「それに今日は天気もいいし、自転車で行こうかと思ってたのに。」
「なんで?職場が隣同士なのに。一緒の方が効率的でしょ。」

もう!!
屁理屈ばっかり!!


----チーン。


エレベーターが到着の音を告げて静かにドアがあく。

「さぁ、行こうか。」

そうね。
こんなところで言い合いしている時間なんてないんだったわ。

手をつないだまま、開いたドアから乗り込もうとして、足を止める。

この階にあるのは敦賀さんの部屋だけ。
だから無人のエレベーターが来るはずだったのだけど、この日、誰も乗っていないはずのエレベーターには思わぬ客が乗り込んでいた。

すごく綺麗な人。

息を飲む程に綺麗な人。

「逢いたかったわ。」
「どうしてあなたがここに?」

その綺麗な人は、エレベーターから降りると、私の見ている前で敦賀に抱き着いてきた。



いつか、こんな日が来るんじゃないかって、思ってた。



もう少しだけでいいから、この人と幸せを感じていたかった。





(4)へ



月華です。
お休みを利用しエレベーターの続きを書き込みです。

今日はPCからアップ。
PCは早いや。やっぱ。

やっと書けたエレベーター。
次もエレベーターを書きたいですが、何せ気まぐれですんで確証なしです。
それでもよろしければまたいらして下さいね。
ではまた。



月華




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