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エリシオン ~銀の花嫁~

※パラレルです。レンもキョコさんもでますが、メインはヒオウ君とカナエさんです。




冥界の最果ての地エリシオン。

様々な四季の花々や豊かな緑と清らかな泉を湛えた美しき楽園。

冥王が愛する妻のために作り出した昼と夜だけの世界。



「カナエ!」
「ヒオウ様、ご機嫌麗しく。」
「麗しいわけがないだろう!あれ程、迎えに行くから待つように言っていたのに!」
「あら、ここには慣れているもの。ご心配にはおよびません。冥王様からの通行証もあるし。」

この賑やかな会話は最近、エリシオンの美しい野によくみられる光景の一つだ。

すっかりナイト様気分ね。

彼女は天界いた頃から親友だった月の女神カナエ。
彼女の腕には銀のブレスレットが輝き、冥王の許可なくこのエリシオンを訪れる事が出来るのだ。

「でも罪人の亡者もいるのよ。危ないわ。」
「あんたん所には番犬がいるでしょう。黒くてでっかいの?」
「ケルベロス?」
「あら、あんなのはまだ子犬よ。私の言うことも聞いてくれるし、かわいいもんよ。あの3匹は。」
「ケルベロスじゃなかったら………他にいたかしら。わんちゃん。」
「いるわよ。」
「………カナエ、お前だけだぞ。冥王を犬呼ばわりするの。」
「えっ?レン様のことだったの?」
「他にいないわよ。いつも気配を感じるわ。そのせいか、亡者の影すら見ないわよ。」
「あのクソオヤジ。俺に恨みでもあんのかよ……。」
「ヒオウ様何かおっしゃいました?」
「なんでもない!!」

ヒオウったら、レン様にまでヤキモチやいて。

ヒオウは彼女の事が好きなのだ。
それを知ってはいるけれど、私からは言えない。
ヒオウがちゃんと大人になって、自分からその思いを告げられるまで。

「さあ、神殿の中に入りましょう。チオリが美味しいお菓子を準備してくれているわ。」
「私もデュオニュソスからいいワインを分けてもらったから持ってきたわ。」
「楽しみね。」

彼女が手土産に持ってきてくれるのは私が好きだったものばかり。
ヒオウもそれを楽しみにしている。
でもワインは少し早いかしら?



◆◇◆◇◆



テーブルには菓子や果実が並び、今の地上の季節を知る。
全て地上で採れたもの。
大きな粒を揃えた葡萄は最高級のものだし、。真っ赤に色づいた林檎は甘やかな香りを漂わす。
こんがり焼けた焼き菓子も地上で採れた小麦や果物を使っている。
その一つをつまみながら彼女が思わぬ単語を発し、思わず繰り返してしまった。

「えっ?結婚?」
「……っそうよ。うるさいのよ。最近。」

ヒオウはすっかり黙り込んでしまった。

「結婚するの?」
「するわけないでしょ!!」
「でも求婚者も多いんでしょ?」
「しないわよ!めんどくさいもの。」

そっとヒオウの様子を窺うと何とも言いがたい表情をしていた。
結婚がめんどくさいという言葉が衝撃的だったらしい。
自分がカナエを嫁にするんだって言っていたものね。
頑張ってヒオウ。

「カナエ。俺を天界の男どもと一緒にすんなよ。」

ヒオウはレン様の血を濃く継いでいる為か、地上に出ることができる。
そこで偶然、天界の神々に会ったらしく、不快感じたようで怒って帰ってきた事があった。。
ヒオウはレン様と違って、熱くなりやすいから。

「何を笑っているの?キョーコ?」
「あら、笑ってたかしら?」
「笑ってるわよ。他人事だと思って。」
「そんな事思ってないわよ。ヒオウの様子をみてたら、大きくなったなぁって思ったの。カナエ、あなたの話を聞いている時の表情がね……。」
「はっ母上!」

慌てふためく姿が愛おしくてたまらない。

この時間が好きなのよ。
レン様が作って下さったこの地で、レン様が帰ってくるのを待ちながら、一人息子のヒオウと親友と一緒にすごすこの時間がとても好きなのよ。
だから、とても幸せなの。

どうか、この幸せが続きますように。



◆◇◆◇◆



「さろそろ帰るわね。」

彼女は月の女神。
銀の鬣の馬が引く銀の戦車を駆って空に月を昇らせるのが彼女の役目なのだ。

「また来るわ。」
「待ってるわ。いつでも来て。」
「今度来る時は、そうね。もっと長くいれると思うわ。」

月のでない夜にでも来てくれるのかしら?
それならゆっくりできるわね。

「カナエ、送る。」

今度こそ自分が彼女を守るつもりいるみたい。

「じゃ、またね。」

彼女は笑っていた。
清清しいまでの笑顔の彼女を見送った。



◆◇◆◇◆



目指す先に光が見えた。
もうすぐ地上にでる。

「もう、ここでいいわ。」
「上まで送る。」
「頼もしいわね。」
「子供扱いするなよ。」
「してないわよ。」
「俺はお前よりでかくなるんだからな。」
「そうね。」
「天界の神々よりもずっと大きな存在になってみせるからな。」
「そうね。……そうじゃないと困るわね。」

地上に出れば、西の空に落ちかけた太陽があった。
冥界の領域と重なる地。
キョーコが冥王と出会って、恋に落ちた場所。
こんなにキレイなところだったなんて知らなかった。
ここは禁じられていた場所だから、ここに来たのはキョーコが冥王の妻として嫁いでからの事。

今ではお気に入りの場所になっていて、時間があればここにいる。

月を昇らせる時もここから昇るのだ。

草を食みながら静かに自分の帰りを待つ愛馬セレネ。
彼女もここが好きなようだ。
神経質なはずのセレネのすっかり安心しきった様子にここがどれだけ穏やかな場所か計り知る事ができる。
頭の固い神々達よりも、動物達の方が素直で真実を見極める力を持っているわ。

ここは私の大切な場所。
そう言ったら、冥王はお怒りになるかしら?
キョーコとの大切な想い出の場所ですものね。
でも、少しくらいここにいる時間を許して欲しいと思う。

そんな穏やかな時間を壊す声が響いた。

「こんなところにいたのですか?銀の女神。」

最近、言い寄って来る戦いを司る神の一人だ。
ナルシストで、自分より劣る者を蔑む嫌なヤツ。

セレネも警戒している。

こんなところまで来るなんて。

「何をしに来たの?」
「あなたを迎えに来たのですよ。」
「頼んでないわよ。それにここは立ち入りを禁じられているはずよ。」
「それはあなたも同じはずだ。」
「私は冥王様から許可を貰っているわ。」
「天界の神々からは禁じられているはずだが?」
「あなたに指図される謂れはないわよ。」

本当に嫌になるわ。
こんなヤツには踏み入れて欲しくないのに。
ここは特別な場所なのよ。

「お前、誰だ?」

それまで黙っていたヒオウ様が私と戦神の間に割って入った。

「ここが冥界の領域だと分っているのだな。なら立ち去れ。お前の立ち入りは許していない。」

まるで、私を守るように。

いいえ、きっと守ろうとしてくれているのね。

「お前こそなんだ?子供のくせに。」

本当に嫌な男。

「冥王様のご子息よ。」
「冥王の……。

冥王と聞いて怯むところが小さいのよ。
それでも戦神なの?
十二神の一人に数えられる父を持つくせに。

「……冥王の。なら尚更だ。あなたはここにいてはいけない。あなたのご友人の二の舞ですよ。たとえ貴方が大神の娘であっても。」

何を言いたいの?

「あなたのご友人のように天界を追放されますよ。あなたが不幸になるのを見逃すことはできません。」

あの子が不幸だとでも言いたいの?
冗談じゃないわ!!
あの子は幸せなのよ。

冥王様に愛されて、ヒオウ様の成長を見守って……あの子は幸せなのよ!

「カナエ……行け。」
「ヒオウ様?」
「あまり、ここには来ない方がいい。」
「ヒオウ様!?」
「……だけど、たまに母上に会ってやってくれ。お前の父王だって、それくらいなら許してくれるだろう?」

何?
何なの?
それ!

ヒオウ様が私に背を向けた。

「さあ、行きましょう。」

いや!
私に触らないで。
その汚らわしい手をどけて。

待って!
待って、ヒオウ様!!

「ヒオウ様!!」

私は戦神の手を振り払って、立ち去ろうとしているヒオウ様に向かって叫んだ。

「ヒオウ様!見て!!」

手を高く掲げた。

「カナエ?」
「これを見て!!」

天に向かって掲げた私の手には石榴の実が一つ。

「カナエ!それは!?」
「見てて。」
「カナエっ!!」

私はその果実に噛り付いた。

あの子がそうしたように。

「カナエ!お前、何を!!」
「これで私は冥界の住人よ。」

もう誰も私を縛り付けられない。
私は私の好きに生きるのよ。

私が手にしていたのは冥界からこっそり持ち帰った石榴の実。
冥界の果実を口にした者は命がある者でさえも冥界の住人となるのだ。

ずっと考えていた事。
でも、もう少し後になると思ってた。

今日、冥界の果実を持ち出したのは、きまぐれ?
いえ、何かの予感があったのかもしれない。

呆然とする戦神の前で、私はヒオウ様の手を取った。

「あなたが一緒なら、ここからも出れるでしょ?」

彼の手を引いてセレネに近づく。
愛馬と戦車を繋ぐものを短剣で断ち切る。

「乗って下さい。」
「カナエ?」
「もーーーっ!いいから早くっ!!あのバカ神が正気に戻る前に!!」

ヒオウ様を急かして馬に乗せ、私も一緒に乗る。
私達はそのまま天へと駆け登る。



この日、月が天に昇る事はなかった。



◆◇◆◇◆



一晩中、天を駆け巡る。
セレネは賢い子だから、これが私と天を駆ける最後の日だと悟ったのかもしれない。
夜明けが近付いた頃にやっと私達は地上へと降り立った。

「お前はどうするの?一緒に来る?」

騎乗したまま、愛馬の背を撫でた。

「自由にしていいのよ。」

ヒヒンと一声鳴くと、まっすぐに冥界へと続く道を辿り始めた。

「お前も来るの?仕方ない子ね。」
「馬一頭くらい、面倒みてやるよ。」
「あら、この子だけ?私の事は面倒を見て下さらないのですか?」

見ないと言われても私はもう冥界にいくしかないのだけれど。

「カナエ!!」

後ろから鋭い声がして振り向けば、太陽神がいた。

「ヒオウ様、お返事は?」
「カナエ……冥界に来い。そして、いつか俺の妻になれ。」

そう、その言葉が欲しかったのよ。
戦神から事情を聞いているだろう兄へ最後の言葉をかける。

「お兄様!父上に新しい月の女神を据えるよう伝えておいて。ごきげんよう。お元気で!」
「カナエ!」

お兄様も相変わらずね。
余裕ないくせに余裕のあるフリをするから好きな女に逃げられるのよ。
天界の男はみんなそう。

「カナエ……いいのか?」
「見ていたでしょ。私は冥界の実を食べたのよ。もう戻れないわ。」

そんな余裕のカケラもない表情で見つめられて、放っておける訳ないじゃない。

「責任とって、私をちゃんと妻にして下さいね。」

神族の成長は早いわ。
あなたが産まれてからずっと見守って来たけど、どんどん大きくなって、今では私を守ろうとしてくれるくらいに大きく成長した。
私の背を越すのだって、あっという間よ。

「カナエ、必ず幸せにする。」

頼もしい王子様ね。
待ってるわ。
あなたが立派な冥界の神になる日を。
あなたの側で待っているわ。



◆◇◆◇◆



「カナエ!」

エリシオンに着くと青ざめた顔のキョーコとそんな彼女の肩を抱き、支える冥王がいた。

全部バレてるのね。
あの人の事だから私が冥界の果実を持ち帰った事も知ってたのではないかしら。

「カナエ、あなた……。」
「キョーコ。それ以上は言わないで。私が自分で決めた事なのよ。」

あなた達のせいじゃないわ。
自分で望んでここに来たのよ。

「冥王様、私がここで暮らす事をお許し下さいますか。」
「あなたには既に自由に行き来する権利を与えている。エリシオンは広い。好きな所に神殿を構えるといい。」
「ありがとうございます。では、お願いがあります。」

このエリシオンは素敵だけど、私にはもっと魅力的な場所がある。
とても綺麗な場所。
ヒオウ様に案内して貰うまで、あんなに綺麗な場所だったなんて知らなかったわ。
エリシオン以外は暗くて冷たい世界だって思ってたんだもの。
住むならヒオウ様が好きだって言っていたあの場所がいいわ。

「コキュートスに住まう事をお許し頂きたいのですが。」
「カナエ?あそこは氷の世界よ。エリシオンの方が住みやすいわ。」
「あそこがいいの。銀色に輝いて、月に似ているんだもの。あそこがいいわ。エリシオンにも近いし、それに静かで綺麗な所よ。」
「好きに使われよ。……ヒオウ、そなたにコキュートスを預ける。これからは死者達の眠りを守るのがそなたの役目だ。婚約者殿をコキュートスの神殿に案内せよ。」
「はい。」

コキュートス。
そこが私の帰る場所になる。



◆◇◆◇◆



コキュートスは罪を償った者が眠る場所。
エリシオンのように色彩にあふれてはいないけれど、銀色に輝く美しい世界。

ここに来てどのくらいの時が経つかしら。

ヒオウ様の背はとっくに私の背丈を越している。

「カナエ。」

私を呼ぶ声は耳に心地好いテノールへと変わっている。

「綺麗だ。」
「ヒオウ様も素敵ですよ。」

エリシオンから届けられたたくさんの花。

わがままを言って彼に用意して貰った氷の宝冠。

指輪は金よりも銀がいいとお願いした。

「参りましょう。冥王様方が待っていらっしゃるわ。」

今日、私はこの人の妻になる。
大好きだった月の色に似た色彩の中で、綺麗に着飾って。
銀は私を象徴する色。
このコキュートスの色。

私は銀の花嫁。

このコキュートスを統べる眠りの神ヒオウ様の妻になる。





-了-





ども、月華です。
更新したかと思えば、蓮キョじゃないというこの有様。ありゃりゃ。

しかも、ヒオウ君を蓮様とキョコちゃんの息子に設定。

めちゃくちゃですな。


次ぎはエレベーターか強く儚い者達妄想がしたいです。
どっちにしよーかな。

優先はエレベーターだけど。


よろしければまたいらして下さいね。
次ぎは蓮キョでかためますから。



ではまた。



月華



現在アメーバにてスキビの二次を更新しています。
『月と蝶 アメバ出張所』です。
前回のご案内から1つくらい増えてます。
よろしければどうぞ。



ランキングサイト様に登録しています。
……なもんで、お気に召して頂けましたら、押して。押して。押して。
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入り口

お世話になります。
(」゜□゜)」
あっぽちっと頼みます。
スイッチオン

こんなときでもお笑い脳。



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