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エレベーター 第二部 (2)

(Side蓮)

いつものように彼女を職場へ送り、幸せな気分で出勤した俺を待っていたのは、ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべた宝田理事長だった。

「よお、蓮。」
「おはようございます。理事長。」
「まだ時間があるだろ、ちょっと顔を貸せ。」
「………。」

何だ?
ひょっとするとアレか?。
昨日の不破との一件。
場所はLME校門前。
理事長のテリトリー。
音楽祭の準備でまだ残っている教師もいただろうし、当然、理事長の息のかかった職員もいるわけで。
初等部だと……確か、養護教員のジェリー先生。
スパイのような真似を……と思われそうだが、彼らの役目は常にアンテナをはっておく事。
理事長曰く、学園内での事故や事件を未然に防ぐのが目的らしい。

見られて……理事長に報告された……というわけだ。

面倒だな。

理事長に連れられて理事長室のドアをくぐる。

「まぁ、座れ。」
「失礼します。」

まあ、仕方ない。
彼女を守る為だったんだ。
彼女の為なら俺は神にだって逆らってみせる。

「まあ、そんな怖い顔をするな。」

相変わらずな理事長。
昔はそれなりに受け流していたが、どうも最近はそれが出来ない。

「お前も男だったんだなぁ。」

………。
しみじみ言わないで下さい。

「まぁ、お前…本気なんだな。」
「本気ですよ。俺にはもう彼女しかいないんです。いつかは結婚も考えてます。その上で彼女と一緒に暮らしたい。彼女にも了承して貰っています。」
「おお、いいんじゃねぇか。反対はしねぇよ。お前が本気で惚れてるってんならな。あいつらにも反対はされなかったんだろ?」

理事長のいう”あいつら”とは、俺の両親の事だ。
あのマンションは長期海外出張中の両親の持ち家で、日本に残った俺がそのまま住んでいるだけにすぎない。
俺の名義で無い以上は彼らにも了承を得る必要はあるわけで、既に承諾して貰っていた。
それも…至極あっさりと。

「お前の予想に反して、あっさり承諾しやがっただろ?」

……何故それを。
いや……理事長はあの二人の性格は熟知しているし……。
両親は俺の過去の彼女達との付き合いにいい顔はしなかったから、何か言ってくると思ったし、俺はそれを説得するつもりも、ダメならあのマンションを出るつもりもあったんだ。
なのに……。

「血は争えねぇもんだよなぁ?」
「は?」
「お前の父親も今じゃ熱っ苦しい男だが、その昔は女に本気で惚れた事もねぇ、性質の悪いフェミニストでなぁ。」
「………。」
「付き合っている彼女だろうが、その辺ですれ違っただけの女性だろうが態度は全く変わらなくてな、彼女達との別れ際は決まっていつもこうだ。”私じゃ貴方を本気にはさせられないのね。”だ。」
「ちょっ……!?」
「お前にも身に覚えがあるよな?無いとは言わせねぇぞ。蓮坊。」

蓮坊…小さい頃は、この人にそう呼ばれていたっけ。
この人にとって、俺はまだまだガキなんだろう。
反論できない。
そして知った事……この人に俺の行動が全て見抜かれていたのは、あの父さんのせいだった。

「あいつには”お前の優しさや愛は本物なんかじゃねぇ。一度くらい本気で人に惚れてみろ”っ言ってやったもんだぜ。」

そうだ、俺も過去の彼女達なんかには全く興味がなかったんだ。
だから興味がなくて、別れを告げられても未練もなくて、引き止めようなんて思った事すらない。
随分と前、社さんに指摘された通りだ。

「それがなぁ、ジュリエナと出会った途端、変わっちまってなぁ。猛烈に口説いてるあいつを見た日には天変地異の前触れかと思ったぞ。あげくにな、一ヶ月後には、結婚するとか言い出してな。」

父さんも俺と同じだったなんて思いもしなかったけど。
父さんにとって母さんは特別な存在なんだ。
俺にとってキョーコがそうであるように。
キョーコは初めて自分から欲しいと思った相手。
考えたくもないけど……キョーコが過去に付き合っていた彼女達のように俺に………別れを告げてきても、絶対に彼女を手放しはしないだろう。
抱きしめて許しを乞うだろう。
泣いてすがるかもしれない。
格好悪くても、そんなことより彼女が大切だと思える。
それだけ、俺は本気でキョーコを愛してる。
彼女しかいないんだ。

その時に理事長の携帯がなった。

「おっ、テンからか。あっちでも何かあったらしいぞ?」

テンとは初等部の養護教員ジェリー先生の事だ。
ニヤニヤしながら通話ボタンを押す理事長。

「おぉ、テン。何か合ったんだな。………ほぉ。そうか。彼女の方も呼び出しされてるのか。……ん?……はぁ?見合い?」

えっ?
誰の?
嫌な予感がする。

「上尾君が彼女に見合い話しをか。」

彼女ってキョーコの事じゃないだろうな!!

「そりゃ、残念だったなぁ。」

ニヤニヤ笑ったまま、俺を見ている理事長。
彼女とは確実にキョーコの事だ。
冗談じゃない!
キョーコは俺のものだ。

「そうか。おお、また頼むは。…ん?………分かった、分かった。また今度な。」

どうせ、昨日の俺との一件があって、持ち掛けようと思っていた話しが無駄になったて事なんだろ。
良かったじゃないか、持ち掛ける前で。

「……って訳だ、蓮坊。どうする?」
「どうもしませんよ。どうせ、昨日の不破との一件で話しを持ち出される前に終わってるんでしょう?彼女が呼び出しされているにしても俺と不破が原因なんでしょう。丁度良かったじゃないですか。」
「強気だなぁ。」
「彼女を愛していますからね。誰にも渡さない自信も彼女に愛されている自信もありますから。」
「やっと大人になったか。今日のところは及第点をくれてやるよ。」

これで俺達の幸せは確保出来たよ、キョーコ。
幸せになろうね。

俺の幸せ。
君の幸せ。
幸せが幸せを呼んで、俺達の未来を紡いで行く。

俺達の幸せを妨げるものなんか一つも無……。

「そうだ、蓮。お前の彼女な、品行方正な教師像を叩き込まれてる最中らしいぞ。」
「は?」
「仕上がりが楽しみだなぁ?」
「……………。」

もう帰ってもいいですか?

「ダメに決まってるだろう。仕事しろ。」
「俺の心を読むの止めて下さい。」
「まだまだガキだな、蓮坊。」

目の前のオヤジ……理事長を張り倒したくなった。



デスクに戻っても落ち着かない。

「どうした?蓮。理事長に何を言われたんだ?変だぞ、お前。」
「帰りたい。」
「は?」
「社先生、学園中の時計を1時間毎に少しずつ進めたら、1時間くらいは早く帰れますかね?」
「学園中に何個あるに思ってんだよ。やめとけって。個人のだってあるんだそ。」
「体調が……。」
「あっ!キョーコ先生だっ!!」
「キョーコ!?」
「……元気じゃないか。」
「騙しましたね?!」
「無茶苦茶な事考えてないでちゃんと仕事して帰れよ。キョーコ先生に嫌われるぞ。」
「………。」

この日は俺にとって、とてつもなく長く感じた一日になった。

とにかく……早く君に会いたい。
会って、君を抱きしめて……君を感じたいよ。

長い長い一日が過ぎてゆく。



仕事が終わって、キョーコからの連絡。
早く逢いたくて、車の中で待機していたから、すぐに迎えにいった。
予定通りハンバーグの美味しいレストランに行って、彼女との時間を満喫する。
雰囲気も内装はなかなかいい。
料理の味は彼女も大満足のようだ。
半熟卵の乗ったハンバーグを本当に美味しそうに食べている。
目の前には大切な彼女がいて、これ以上になく幸せな気分だった。

「コーヒーは家でゆっくり飲もうか。」

こんな人目のあるところじゃキスだって出来やしない。
早く帰って君に触れたいよ。
そんな思いで帰宅の途についた。

俺の頭の中はもう”キョーコと一緒に暮らす事”でいっぱいになっていた。
今夜もこれから二人で熱い夜を過ごすんだ。
…あっ、そういえば安全日はいつだろう。
大事な事だ、ちゃんと聞いておかないと。
キョーコとは結婚も考えているし、彼女しかいないと思っているし、いつかは子供だってほしいけど、それは今じゃない。
しばらくは二人だけの生活を楽しみたいじゃないか。
でも、安全日くらいはそのままの君を……。
男の欲望がムクムクと顔を出す。
気付いた時には既にマンションの近くまで来ていた。
地下の指定の駐車スペースに車を停める。
早く部屋に帰りたい。
もう我慢出来ないよ。

「キョーコ。あのさ、今日は……。ん?キョーコ?」

今、気がついた。
俺もだけど、キョーコも考え事をしていたようだ。

「キョーコ?」

考え込んでは、表情がコロコロ変わるのを見て、不安を書き立てられた。
幸せそうな顔しているかと思えば、苦悩に眉をひそめてみたり。
また、頬をほんのり赤らめたと思えば、青くなってみたり。
表情が緩んだと思えば、頭をふるふる振って、真剣な顔付きになる。
キョーコ……何?
その……何かを決めたような顔と力いっぱい握りしめた手は?
気づきたくない事に気づいてしまう。
彼女は今、俺にとって良くない結論を出そうとしている。
そうなる前に丸め込まないと。
彼女が結論を出す前に。

「キョーコ!聞いてる?キョーコ!ちょっと、キョーコ。何を考えてるの?百面相していないで返事くれないかな?」

キョーコだって俺が好きなはずなんだ。
俺と一緒に暮らしたいと思ってくれているはず。
不安があるなら、それを取り除いてあげればいい。

「どうしたの?何かまた心配事でもあったの?……ここで話しづらいなら部屋に行ってから聞こうか。」

キョーコが結論出す前に俺が導けばいい。
彼女は、まだ結論は出していないはずだ。

そう思っていたから……。

車から降りて二人並んでエレベーターが来るのを待つ。

そう心配し過ぎだよな。

そんな俺の予想(希望に近かったかもしれないが)に反し、私は言い出した。

「敦賀さん!」
「うん。」
「結婚前の男女が一緒に暮らすだなんて教師という立場上、控えた方がいいと思うのですが!!」

―――チーン……―――

エレベーターの到着を示す電子音がいつもと違って聞こえたのは気のせいだろうか?

一度は開いたエレベーターのドアが再び閉まり、俺達を乗せないまま上階へと上がっていく。

「…………。」
「…………。」

可愛さ余って憎さ百倍――とはよく言ったものだ。

キョーコ……今夜は覚悟して貰うよ。

俺は何も言わずに、またエレベーターのボタンを押した。

――チン……――

程なくして降りてきたエレベーターへ彼女の手を引いて乗り込む。
若干、彼女口元が引きつっている。
何かを察知している?
でもちょっと遅いかったかなぁ。
乗り込んだ後、俺が押したボタンは一つだけ。
”7階”のボタンだ。

この後は俺の部屋でゆっくり時間を過ごすはずだったけど、予定変更だ。
一緒に7階で降りる。
そう言えば付き合ってから、キョーコの部屋に来るのは初めてだな。
たまにはこういう狭い部屋でというのもいいよな。
非常に楽しみだ。
彼女がバッグから部屋のカードキーを取り出してドアを開ける。
もう日課になった『ただいまのキス』。
朝からずっとキョーコに触れたかった俺。
いつもより、長く、深く彼女の唇を求めた。

唇を解放するとほんのりと頬を染めた彼女がいて……その場で押し倒したくなった。
まだだ。
もう少し。
彼女が煎れた香りのいいコーヒーを彼女が俺の為に用意したであろう真新しいペアカップで味わいながら時を待つ。
時計を見れば10時をさしていた。
ああ、もう、限界だ。

「もう、こんな時間だね。そろそろお風呂入ろうか。」
「はい。今、お湯張りますね。あっでも着替え…。」
「朝に取りに行くよ。」

別に今は必要ないしね。
時間勿体ないしね。

「教師が遅刻したら、それこそ示しがつかないからね。今夜は気をつけないとね。」

俺の何を察知したのか、また微妙に顔を引き攣らせる彼女。

気付くなら、もっと違うところに気付いてほしい。
でも、もう遅いけどね。

湯を張り終えた小さめの浴槽。
狭いけど大丈夫だろ?

タオルを持ってきた彼女をそのままバスルームに引きずり込む。



声を押し殺して、喘ぐ彼女に最高潮まで達するテンション。
俺には少々小さな彼女のベッド。
狭くはあるが彼女を手にしていると思えば苦にもならない。
そんな俺に対して、先に音を上げたのは彼女の方だった。
焦らして、さんざん喘がせて、耳元とで「キョーコ、声出しちゃダメ。隣に聞こえちゃうよ。」と囁いた。
押し殺して、押し殺して…耐え切れなくなった彼女が気を失うまで。



次の朝、「大嫌い」を連発されつつも、なんとか次の休みには俺の部屋引っ越すという約束を取り付けた。
まあ、そこはたとえ君でも……いや君だからこそ譲れない事からね。



涙を流しながら、朝食を用意する彼女にキスをして、着替えを取りに行くべく、彼女の部屋を後にした。



久々に一人で乗り込むエレベーター。
君がいないだけでこんなにも寂しいのか。



着替えを取って彼女な部屋に戻ると、拗ねていたはずの彼女が、「お帰りなさい。」と言ってくれた。



一人で乗るエレベーターも君が待つ部屋に帰るのだとするなら、幸せなものへと変わるのだと知った。



(3)へ





ども、月華です。
エレベーター第二部2話目です。
どんどん違うもんになって来ているような。
どうしましょうね。

お許し下さいね。

今日、某所ですんごいネタを投下されました。

もらっていいのかしら私。

遠慮なく貰っちゃうよ~。

すんません。


そんなわけでまた、お付き合い頂けると嬉しいです。



ではまた。



月華



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……なもんで、お気に召して頂けましたら、押して。押して。押して。
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お世話になります。
(」゜□゜)」
あっぽちっと頼みます。
スイッチオン

こんなときでもお笑い脳。



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駄文しか書けませんが、よろしくお願いします。

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