エレベーター 11話~14話

お待たせ致しましたイデュリスの城のミス・ルイーザ様より頂戴いたしました作品です。
ミス・ルイーザ様の作品は22話まであります。
一気にアップ致します。
お楽しみくださいませ。
※都合により数話を一記事にまとめてのアップとなります。ご了承くださいませ。
一つの記事がかなりのテキスト量になりますので、その都合上、レイアウト(行間等)も多少変更しております。(ルイーザ様お許し下さい。)


エレベータ(11~16話)
作:ミス・ルイーザ様



◆◇◆◇◆



エレベーター (11)


(Side 蓮)

俺は今・・・最上さんの部屋にいる。

「白い蛍光灯は苦手で・・・。」

という彼女の家には、いくつかのサイドランプが置かれており、それらが部屋のあちこちからオレンジ色の柔らかな光を照らし出している。確かに、オフィスみたいな白い蛍光灯よりも、この方がずっと落ち着く・・・。それでも、

・・・女性の部屋に入ったことはあるが、ここまで緊張したことはなかったな・・・。

そんな緊張をほぐす為にリビングルームを何気なく見回すと、最上さんのイメージと同じというか、白い家具にピンクのカーテン、手入れが行き届いている観葉植物など、“清楚”さを思わせられる。と、そこに最上さんがコーヒーカップを二つ持って来た。

「敦賀さんのお口に合うといいんですけど・・・。」
「ありがとう、いただくよ。」

最上さんも緊張しているんだろうか・・・。口数が少ない気がする。小さな正方形の白いコーヒーテーブルに隣り合って座る最上さんをチラっと見て、入れてもらったコーヒーを一口飲む。すると、最上さんの方から、俺が内心気になって気になって、どうやって聞き出そうかと思っていた話を切り出してくれた。

「あの・・・先ほどはお見苦しいところをお見せしてしまって、申し訳ありませんでした・・・。それに助けてもいただいて・・・。」

そう言う最上さんの顔は本当に申し訳なさそうだった。

「いや・・・気にしないで?・・・でも・・・あの男は・・・?」
「あ、アイツはただの幼馴染なんです。小さな頃からアイツの家に預けられていまして・・・。」

どうも最上さんの家庭の事情は複雑そうな感じで、「そう・・・。」としか言えなかった。

「でも、その幼馴染に何か強引に頼まれてたみたいだけど・・・大丈夫?」

昔のことや家族のことは聞かない方がいいと思って、さっきの出来事について聞いてみたら、途端に最上さんの顔が険しくなった。最上さんの家なのに、綺麗に正座をして、でも膝の上に乗せられた手が拳の形をしていて・・・。

「・・・私には・・・小さい頃からアイツが全てで・・・アイツが喜ぶことなら何でもやってきたんです。歌手になる夢を応援するために一緒に上京だってしました!大学生活の傍ら、必死で生活費を稼いで、何もかもをアイツのために尽くしてきたんです!それなのに、歌手としての人気が出てきてからは、家にも帰らなくなり、仕舞いには

『今まで家政婦ご苦労さん。もう京都に帰ってもいいぞ。』

って、ナイスバディーな美人のマネージャーさんの所へ行ってしまったんです!!」

最上さんのその告白に、俺は奴と最上さんの関係に少し動揺し、そして奴への怒りが湧き上がってくるのを感じた。だが、ふと最上さんの方を見ると・・・

・・・なんだろう・・・?何か黒いモヤモヤとしたものが最上さんの背後に・・・。

「・・・ところが、今日、どうやって私の新しい住所を調べたのか、のこのこやって来て、私に・・・また・・・家政婦になれ・・・と・・・。」
「・・・なっ!?」
「・・・アイツ!!一体何様のつもりーーーーーーー!!!!!」

・・・・・・!?!?

あの可憐な最上さんの顔からは想像できないほどの恐ろしい顔つきで叫びだし、それと同時に黒い空気がグルグルと部屋の中を回り始めた。テーブルの上のコーヒーカップは微かに振動しているし、窓もガタガタ揺れている!「一体何だ!?」っと思った瞬間、黒い空気がいきなりヒュッと最上さんの後ろに引っ込んで、真っ赤な顔の最上さんだけが残った。

「す、す、す、すみません!!!!・・・わ、私ったら何を!!」
「・・・い、いや、大丈夫だよ・・・。」

あんまりにも縮こまって謝る最上さんの頭を、動揺を隠しつつポンポンと撫でる。

・・・良かった…。いつもの最上さんだ・・・。それにしても・・・アイツ・・・。

「・・・最上さんはアイツと・・・恋人の関係にはならなかったの?」
「まさか!!アイツにとって私はただの家政婦でしたから!・・・そりゃ・・・振られるまではアイツが私の王子様なんだと思っていましたけど・・・。」

それを聞いて俺は少し・・・かなり安心した。失恋した最上さんには悪いけど・・・。

・・・あんな奴の恋人になんて、ならなくて良かったんだ・・・。

でも、アイツの最後の最上さんの叫び方・・・。あれは最上さんを家政婦として欲しているだけのものじゃない・・・。アイツも最上さんのことを心のどこかで想っているのか・・・?そうだとすると、かなり厄介な存在になりそうだ。

「・・・多分アイツ、これからも最上さんに会いにやって来そうだね。」

俺の言葉にハッとしたのか、最上さんが急に真顔になる。

「そう・・・ですね。来ると思います・・・。」

性格も行動パターンも分かっている幼馴染の最上さんが言うんだ・・・。きっとそうなんだろう。

・・・どうしたものか・・・。

そこに、俺にとっても最上さんにとっても得になるような名案が浮かんで、最上さんに伝えようとすると・・・。

「でも、でも、例えアイツに住所がバレてても、引越しはしたくないんです。それだけは避けたいんです・・・。」

と、悲痛な顔で訴えてきた。

・・・最上さんがここから引越す・・・?そんなことはさせない・・・!

「引越すのは逃げるのと同じだよ?・・・彼はまた来ると思う。君を家政婦か、今度は・・・恋人にするために・・・。」
「・・・そんなの・・・絶対嫌です・・・。」
「うん。彼にきちんとケリをつけなきゃね。」

その俺の言葉に最上さんがじっと俺を見つめてきて、頼りなさそうな、でもしっかりとした意思を感じられる顔で頷いた。


・・・最上さんを・・・アイツになんか絶対返さない。渡さない。


「・・・大丈夫。俺がそばにいるよ。」
「・・・え?」


「いいアイデアがあるんだ・・・。」


・・・最上さんにとっても、俺にとっても・・・。



◆◇◆◇◆



エレベーター (12)


(Side キョーコ)

「先生~!さっきの車カッコいいね~!」
「あれ、“外車”って言うんでしょ~!?」
「先生の彼氏の車ー!?」

・・・ううう…。敦賀さんってば…。だから裏門でってお願いしたのにぃ…。

「か、彼氏ではないのよ?高等部の先生をしてらっしゃる人で、たまたま乗せて来てもらったの。」
「えー?俺もあの車乗りたいー!」
「先生、今度は俺も乗せてって頼んでよー?」
「私も私も~!」

・・・ホッ・・・。運転している人よりも車に話題が飛んで良かった・・・。

大人の事情を知らない子達ばっかりの初等部の先生してて良かったわ・・・。それにしても、明日からはちゃんと裏門で降ろしてもらわないと、毎日これじゃ、たちまち校内の噂になっちゃうわね・・・。

・・・でも・・・毎日敦賀さんと会えるのは、すごく嬉しいかも・・・。



昨日、敦賀さんが提案した、アイツ、もといショータローに会わないようにするための案は、毎日敦賀さんが私を送り迎えする、というものだった・・・。



「このマンションはセキュリティーが頑丈だから、エレベーターに乗ってしまえば安心だよね。アイツがやすやすと君の部屋の前までやってくることはないと思うけど、今日みたいなことがあっても心配だし・・・。どうかな・・・?」

…と言われたけど、始業時間は同じでも終業時間は曜日によってまちまちで、敦賀さんに合わせていただくの申し訳ないと思って断ったら…。

「最上さん、俺は部外者かもしれないけど、今日みたいなことは二度と起きてほしくないんだ・・・。」

…って、真剣な目で言われたら、断ることなんてできなくて…。

「それに、万が一アイツが地下駐車場に現れても、俺が一緒にいるし、彼の勝手にはさせないつもりだよ?」

それでも、まだ申し訳ない気持ちが強くて…「はい。」と頷くことができないでいると…、しばらくの沈黙の後・・・、

「・・・俺、・・・そんなに頼りないかな?」

…って、悲しそうな笑顔でつぶやかれて・・・!つい思いっきり叫んじゃったの・・・。

「そ、そんなことありません!敦賀さんはすっごく頼りになります!!」
「はい。じゃぁ、決まりだね!毎朝7時に迎えに来たのでいいかな?帰りは終業したら俺に連絡くれる?すぐに迎えに行くよ!週末はどうしようか?どこかに出かけるなら俺も同行するけど?特に用事はないしさ。車もあるし、買い物には便利だと思うよ?それに・・・・(以下省略)。」

・・・敦賀さん、本当に私なんかのことに一生懸命になってていいのかな・・・?

しかもあの後、敦賀さんったらショータローの写真をコンシェルジュの人に持っていって、『要注意人物』指定してたし、ショータローを含む不審な訪問者に対しては“このマンションに最上キョーコという人物は住んでいない”ことにしたし、何だか対応が早くて、しかも徹底的だった・・・。

・・・私もショータローには会いたくないからいいけど・・・。でも毎日送り迎えだなんて・・!

やっぱりまだ申し訳ない気がするな~と思いながらも、一日の始まりと終わりに敦賀さんに会える…と思うと、何でもない平凡な日が特別に感じた…。陽が傾きかけるとお迎えのことを考えちゃってドキドキして、仕事が片付くめどが立つと、そのドキドキが一層増した。

そして結局音楽祭の準備などをして6時に仕事終了。もう外は暗く、校内には児童は一人もいない。職員室を出て、恐る恐る携帯を取り出し、初めてかける相手のボタンをドキドキしながら押した。

・・・深呼吸、深呼吸・・・


Rrrrrr・・・Rrr


「こんばんは。お仕事終わった?」

・・・っ敦賀さん、電話に出るの早!

「は、はい!今終わりまして…。」
「じゃぁ、正門で待ってて?すぐ行くから。」
「わ、わかりました。」

・・・き、緊張したぁ。

携帯を閉じる手までがドキドキしてて・・・。でも、心はワクワクしてる・・・。正門までの足取りが浮いてるし・・・、軽く唇に無色のグロスを塗ってみたり、髪の毛を整えたりして・・・。これはショータローに会わないための“策”なのに、私、まるでデートにでも行くみたい・・・。

・・・やっぱり不謹慎よね・・・って、デートもあり得ないでしょ~!彼女でもないのに~!

と、いろいろ考えていると、角から見覚えのある赤いスポーツカーがやってきた。

・・・敦賀さんだ・・・。

「お待たせ。さぁ、乗って?」
「お、お願いします…。」

車に乗って、すぐ気づくのは、敦賀さんの匂い・・・。香水かな・・・?

・・・何だか落ち着く・・・。このままずっと乗っていたい気分・・・。

恋心に酔いそうになりかけた時、隣から優しい声が聞こえてきた。

「最上さん、どこか寄りたい所とかある?」
「いえ、今日はもう特には・・・。」
「そう…。・・・もし良かったら、夕飯でも食べに行く?」

敦賀さんにそう言われて、私は一気に舞い上がってしまいそうだった。すでに私達のマンションが前方に見えてきていたから、まだ…帰らなくていい…、もう少し…敦賀さんと一緒にいられる、と思うと嬉しくて。

・・・人間って、こんなにも急に嬉しくなれるものなんだ・・・。

「はい!それはいいですね!どこに行きましょうか!?」



◆◇◆◇◆



エレベーター (13)


(Side キョーコ)

「ここの目玉焼きハンバーグはおススメですよ!?」
「じゃぁ、俺もそれにするよ。」


可愛いカントリー系に統一された店内。モー子さんと一緒に来たときに、一目ぼれしちゃったのよね。料理も美味しかったし!・・・でも敦賀さんはこんな雰囲気のお店、本当に大丈夫だったのかな?

・・・『蛙の姿焼きが食べられるお店がいい』…なんて言うから、思わずここを紹介しちゃったんだけど・・・。

「最上さんはここによく来るの?」
「時々です。いつもモー子さん・・・ぁ・・・琴南先生と一緒に。」
「そうなんだ。最上さんの好きそうなお店だよね?」

小さめのテーブルの向こう側に座る敦賀さんが近くて、心臓が壊れちゃうんじゃないかと思うほどドキドキしっ放し。私だけに向けられる優しい笑顔が素敵で…、ちゃんと上手に話せているのかが分からなくなるぐらい・・・。

無難な会話のトピックといえばやはり学校のことで、教師らしく「教授法」とか「生徒の心のケア」とか、教育現場のことをいろいろ話していたら、ジュージューという音と共にお料理が運ばれてきた。

「美味しそうだね。」
「味も保障しますよ!?家で真似て作ってみるんですけど、やはりココのが一番ですから!」

普通のハンバーグに目玉焼きを乗せるだけ・・・と思ってたんだけど、本当に味が違うのよね・・・。ハンバーグのタネが違うのかなぁ~・・・。それとも鉄板がいいのかな~・・・。と思いながら、ハンバーグを食べ始めた。

「うん、最上さんの言うとおり美味しい。・・・でも、今度は最上さんオリジナルのを食べてみたいかな。」
「それならば、いつでも!敦賀さんのために腕によりをかけて作りますから。」
「・・・・・・・・・うん、よろしくね。」

・・・??

・・・一瞬敦賀さんが無表情になった気がしたけど・・・気のせいかな?



「あ・・・敦賀さんは何かデザート食べられます?ここのデザートも一押しですよ?」

食事も終わり、あのダイエットに厳しいモー子さんでも、ここのデザートは絶対食べるんですよ~・・・と言いながら、テーブルの端に置いてあるメニューを取ろうとしたら、

「デザートは別のところで食べたいんだけど・・・いいかな?」

そう言う敦賀さんは艶っぽい顔で、片手に車のキーを握っていた・・・。その表情に、ずーっとドキドキしてた心臓が、より高くドキンッって跳ね上がったのが分かった。

その後、送り迎えをしていただくお礼に・・・と私が支払おうとしたけど、全然聞く耳持たずで、渋々敦賀さんの車に乗り込んだ。

「・・・あ、あの、ご馳走様でした。」
「気にしないで?」

・・・敦賀さんは優しい・・・。

その笑顔も、声も、頭にポンポンと感じる大きな手のぬくもりも、みんなみんな、私をほんわかとした気分にさせてくれる。冷めることのないぬるま湯に浸かっているような、そんな感じ・・・。だから、そこから出たくない・・・そう思ってしまう・・・。

静かな車内で、流れる景色にぼーっと目をやっていた。時折敦賀さんをチラっと見るんだけど、あんまりにも横顔が綺麗で、見とれちゃいそうになったから、意識して視線を外にやっていた。そして気づいた。

・・・?あれ?この方向って・・・?

「・・・敦賀さん、あの・・・マンションに戻るんですか?」

私がそう尋ねた時には、もうマンションの駐車場の前で・・・。

「・・・戻りたくなかった?」
「い、いえ、そう言う訳では・・・。あの、別のお店に行くと思ってましたから・・・。」

敦賀さんが無言で駐車場に車を止める。一つ、ため息をついて、ゆっくり私の方へ顔を向けた。・・・真剣な顔・・・。

「・・・最上さんが、安全に逃げられるように・・・ね。ドアにロックはかかってないから・・・いつでも出られるよ。」
「・・・?・・・敦賀さん・・・?あの、おっしゃてることが・・・」

・・・逃げる?・・・ロック・・・?

敦賀さんの言っている意味が分からなくて、敦賀さんの私を射抜くような目にとまどって・・・動けない。そこに、ゆっくりと敦賀さんの手が私の顔にそっと触れる。その手の親指が・・・私の・・・唇をスーッとなぞった。



「・・・俺が欲しいデザートはこれ・・・。何故だか分かる?」



・・・!?

・・・私の・・・唇・・・?

「・・・な・・ぜ?」

声が・・・震える。でも敦賀さんから目が離せない・・・。すると、フッと敦賀さんが目を伏せた。その目が再び開けられた時には、見たこともないような、真剣な敦賀さんがいた・・・。



「君のことが・・・好きだから・・・。最上さんのことが好きなんだ。」



・・・え・・・?・・・頭が真っ白・・・・・・心臓・・・止まってる・・・?。

・・・私・・・今、敦賀さんに告白された・・・??

「・・・嫌なら言って?」

その瞬間、私の頬に添えてある手に力がこもるのが分かった。手だけじゃなくて、敦賀さんの体も、顔も・・・。


・・・敦賀さん・・・

・・・嫌・・・じゃない・・・


近づいてくる敦賀さんの顔をどこまで見てたのか、記憶はない・・・。


途中で目を閉じたから・・・。




◆◇◆◇◆



エレベーター (14)


(Side 蓮)

――――マンションのコンシェルジュからメールが入ったのは5時頃。


『敦賀様ご指定の人物が、最上様を訪ねてこちらへいらっしゃいました。
 該当者無しとお伝えしましたところ、非常にご立腹されたご様子で退出されましたが、
 その後すぐ、今度は安芸と名乗る女性が最上様を訪ねて来られました。
 こちらの方にも該当者無しと同じようにお伝えしておきました。』


・・・・・やはり今日も来ていたか・・・。


最上さんの幼馴染で、昔の同棲相手、不破尚。アカトキエージェンシーの期待の新人歌手。今まで発売されたシングル・アルバムは全てオリコンTOP5入りしている。ざっと調べてこんな感じだが、そんな有名な彼が、なぜ芸能人でもない最上さんに固執するのか・・・。しかも都心から離れたこの町に、忙しいはずのスケジュールの合間を縫って最上さんに会いに来る理由は・・・。答えは簡単だ。

・・・彼も、最上さんのことが好きだからだ。

安芸という女性は、恐らく不破の連れ。…マネージャーか何かだろう。不破だけを要注意人物の対象にしなくて良かった。この先、不破はあらゆる手を使って最上さんの近辺を詮索するだろう。琴南先生にも協力してもらおうか・・・。

・・・不破の奴、その内LMEの初等部にも来そうだな・・・。

しかし、逃げてばかりじゃ何の解決にもならない。最上さんは不破と決別するなり和解するなりしないと・・・。っと、それは最上さん次第だし、俺が口を挟む権利は無いのだが・・・。

今夜、送るついでに少し話してみよう・・・。



最上さんが車に乗り込むと、いつもフワっと良い香りがする。それは香水などではなくて、シャンプーの匂いか何か、鼻先をくすぐられるような甘い香り。いつものように清楚な洋服や、可愛い笑み、それに…グロスで艶のある唇・・・。じっと眺めていたいのを我慢して、アクセルを踏んだ。

不破に対する最上さんの気持ちを聞かないと・・・と思っていたのに、最上さんが隣にいるというだけで気持ちが浮き上がり、不破のこと自体、頭から消え去っているようだった…。

・・・もっと、このまま、最上さんと一緒に・・・

「・・・もし良かったら、夕飯でも食べに行く?」

運転中だったから、よくは見えなかったけど、最上さんはとても嬉しそうだった。お腹が空いていただけなのかもしれないけど、元気な声で「それはいいですね!」と返してくれた。

・・・うぬぼれかもしれない・・・。

前々から思っていることがある。俺は最上さんに嫌われてはいない。むしろ好かれているはずだ・・・。そうでなければ、俺の部屋に来たりはしなかっただろうし、俺を部屋に呼ぶこともなかっただろう。・・・ただ、その「好き」がどういう色合いを持っているのかは・・・正直分からない・・・。分からないが、いつも俺の好きなように解釈してしまう。

今だって、“敦賀さんのために腕によりをかけて…”だなんて言ってくれている。その頬はにわかにピンク色だ・・・。


・・・期待・・・してもいいんじゃないか・・・?


その時、俺は・・・覚悟を決めた。・・・最上さんに告白しよう、と。



デザートなんて口実。マンションに帰ってきたのは、・・・万が一断られても、気まずい時間が少しだけになるように・・・という情けない理由から。最上さんが逃げ帰れるから、だなんて格好いいこと言っておいて、実際は自分の為だったりした。

しかし、最上さんの頬や、親指から伝わる柔らかい唇の感触に、後ろ向きな自分はとうにいなくなっていた。最上さんが好きで、好きで、どうしようもない、余裕のない俺だけが残っていた。それを落ち着かせるために、一瞬間を置いて・・・、

・・・俺は、生まれて初めて、告白というものをした。


「君のことが・・・好きだから・・・。最上さんのことが好きなんだ。」


誰もいない薄暗い駐車場、車の中という密室、伝えたばかりの愛の言葉、愛しい彼女の頬にかかる自分の右手・・・。

拒否の言葉は出てこない・・・

拒否の態度も見られない・・・


「嫌だったら言って?」


体を少し最上さんの方へ回して、近づく。すると、ずっと逸らされなかった彼女の大きな目が、少し震えながらもゆっくり閉じられていった。


・・・最上さん・・・


最初は・・・唇を重ねあうだけのキス・・・

次は・・・可愛い彼女の唇をついばむようなキス・・・


「好きだよ・・・キョーコ・・・」


初めて名前を呼んで、ますます止められなくなった・・・。


キスは次第に深くなっていった・・・





続きも次の記事にてどうぞ。


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