スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

エレベーター 6~10話

お待たせいたしました。
エレベーターの続きです。
イデュリスの城のミス・ルイーザ様作品です。
ちょっと最近仕事で自分の記事がアップできません。
自分のブログなのに人様の記事で更新つなぐってナニ?
でも、エレベーター読みたい方はいると思いますし。
それにのっけないと、自分も続きかけないし。
そんな訳で人様の記事でのブログ更新。
自分の記事での更新ではないあたりが、情けない。

でもオススメの作品なので楽しんでください。

ではどぞ。





エレベーター (6)

(Side 社)

「社さん、今夜夕飯でも食べに行きませんか?」

いやいや、珍しいこともあるもんだ、と驚いた。
昼食もろくに取らないあいつから夕飯の誘いがあるなんて。
しかも「琴南先生も誘っておきました。」とケロっと言いやがった!
こいつももしや琴南先生を!?・・・・・・と1日中疑っていたんだけど、夕方、琴南先生に呼ばれて衝撃的な事実を知った。

「・・・・・・ということで、敦賀先生はどうも私のし、親友・・・にホの字みたいなんですよね。」
「それで、あいつ最近出勤が早かったのかぁ。」

プププ・・・!あんな顔して、案外、意外、ウブなところもあったんだ!



―――蓮と出会ったのは大学時代。

俺が大学3年の時に、アメリカで高校を2年スキップした奴が大学に入ってきたって聞いて、どんな奴かと見に行ったのがきっかけ。
友達と食堂に行ったら17歳とは思えない大人びた長身の奴が、大勢の女の子に囲まれてて、見るからに困ってて、でも他の男達は助け舟も出せなくて・・・。
だから、俺が助けに行ってやったんだよね。

「ちょっと、みんな悪いけど、俺、そいつに用があるから離れてくんない?」

あの時の女の子の視線とか表情とか怖かったな・・・。
ま、それはともかく、俺のちょっと(?)特殊な体質でもって蓮を助け出した訳なんだけど。

「大丈夫か?・・・って日本語分かるよな?」
「はい、・・・助かりました。ありがとうございました。」

そう言った蓮の顔は、なぜかひどく申し訳なさそうな顔で、見た目は大人でも、まだやっぱり17なんだな…と思わせられた・・・。
その後はいろいろ気にかけてやったせいか、学年が違っても一緒にいることが多くなっていったんだけど・・・。

「おまえってさ、女に興味ある?」

容姿に似合わず特定の彼女とか作ってる気配がないし、どこかに誘われてもやんわり断ってるし、ひょっとして・・・と嫌な考えにたどり着きそうになったある日、思い切って聞いてみたんだよね。

「ありますけど・・・。」
「なんだ?何か悩んでんのか?」
「・・・・・・告白されて付き合っても・・・なぜかすぐに振られるんです。」
「はぁ!?お前が!?」

俺は相当驚いた。
こいつを振る女がいるんだ!と。
・・・でもカラっと笑う蓮を見た時、何かが違う・・・と思った。
普通の振られ続ける男とは何かが違うような・・・。
そうだ!しいて言うなら・・・

「でもお前は未練とか全くなさそうだな。」
「・・・・・・・ミレン・・・・って何ですか?」
「あ、そっか。お前帰国子女だったっけ。未練って言うのはな、心残りだ。例えば別れた恋人のことをいつまでも想っていたり、あきらめきれなかったり・・・さ。」
「・・・・・・・。」
「・・・ないんだな?」

その後、黙り込む蓮に対して根気よく事情聴取を執り行った結果、恋愛レベルがゼロということが判明した。
17だし、しょうがないとは思っても、これだけの容姿を持ちながら恋愛下手、というか恋愛の仕方が分からないってのは、確かに致命傷だよなぁ。
女の子が去っていくのも頷ける!



そんなこんなで仕事場も一緒になるほど交友は続いてきた訳なんだけど、その間も誰一人として蓮と長続きする女性はおらず、ここ数年は蓮も面倒くさがって、あの顔で!彼女いない歴6年が樹立しようとしていた。
だから、その蓮が、しかも蓮の方から誰かに惚れてるっていうニュースが衝撃的で、しかも惚れた後の行動っぷりが思春期の男の子並みで爆笑物だった。

・・・いやぁ、お兄さんは嬉しいよ!ちょっと笑えるけど・・・。



「・・・ちょっと!社先生!?聞いてます!?」
「え?あ、あぁ、聞いてるよ。」
「だから昨日の今日で、行動早すぎますよね?今夜の私は敦賀先生にとっては餌ですよ?餌!」
「うーん・・・まぁ、そうなるねぇ。」

そんなウブなあいつが琴南先生を餌にしてまでおびき出させたい、その最上先生とやらはどんな人なんだろう・・・?

「私は餌になるのはまっぴらゴメンですから、社先生も協力してくださいね!」
「えっ?協力って何を・・・?」
「何って・・・、あの2人をくっつけることに決まってます!」

・・・琴南先生・・・怖い・・・。



・・・で、俺たちはお洒落なイタリアンレストランの個室にいるわけだけど・・・。

ここに来る前に自己紹介してくれた最上先生は、一見大学生かと思うほど可愛らしい人で、礼儀も正しいし、所作もきれいで、蓮が惚れるのも分かる!うん!
・・・そして、その向かい側に座る蓮が問題!
何あの顔!?何あの笑顔!?
俺、こいつのこんな顔見たことないしっ!!
もう最上先生への愛がただもれ状態!

・・・こいつ・・・心底嬉しいんだろうな・・・。

俺の向かい側に座る琴南先生も顔が引きつってる・・・!!

「琴南先生、顔!顔!」
「はっ、すみません。見慣れない物を見てしまったせいで・・・。」

俺たちが小声で話してても何にも気にしちゃいない2人・・・。
・・・ん?もしや、最上先生もまんざらでもない??

「琴南先生、この後のことなんだけど・・・。」
「はい、食べるだけ食べて、私たちはどこかへ消えましょう。」
「・・・了解。」

・・・なんだ、蓮。
お前の一方通行かと思ってたけど、どうやら脈はありそうだな。

自分からモーションかけたことがないであろう蓮が、どうやって最上さんを獲得するのか興味あるけど、それはまた月曜日にでも聞くとして。
俺はせっかくの琴南先生と二人きりのチャンスを上手に生かそうかな!

・・・頑張れよ、蓮!



◆◇◆◇◆



エレベーター (7)


(Side 蓮)

最上さんをエレベーターの中で初めて見かけて、
エレベーターが7階で止まることを願うようになって、
7時に家を出るようになって、
目が合うようになって、
挨拶するようになって、
少しだけど会話をするようになって・・・。

・・・だから今こうして目の前に最上さんがいて、一緒に食事していることが、少し信じられない。

仕事着ではない、薄い灰色のニットワンピースが似合ってて、
くるくる変わる表情が可愛くて、
話をしていると心が和んで、心地良い。
正直、料理が美味しいかどうかなんて気にならなかった。



「それじゃ、俺たちは帰るよ。」

多分気を遣ってくれたんだろう。
琴南先生と社先生は電車で帰ると言い出した。

「蓮、最上さんをちゃんと送ってくんだぞ!」

という社先生だが、ガッツポーズとやらをしている・・・。
週明けに遊ばれそうだな・・・。
その横の琴南先生とくれば、その表情だけで何が言いたいのかがよく分かった・・・。
親友思いだからな。。

そして・・・俺の横にいる最上さんは・・・

「すみません、敦賀さん。ご馳走になった上に送っていただけるなんて・・・。」

・・・あぁ、その顔・・・反則だよ・・・。

「気にしないで?同じマンションだし、当然だよ。」



今度は社先生ではなくて最上さんが助手席に乗った。

「右側の席に座るのに運転しなくていいって、変な感じですね!」
「クス、そんなものかな。」

マンションまで車で20分ほど。
二人っきりの時間が妙にくすぐったい。

「今夜は楽しかったですね!お店もお料理も素敵でしたし!」
「喜んでもらえて嬉しいよ。また皆で行こうか?」

俺としては最上さんがいればそれでいいんだけど。

「はい!楽しみにしてます!・・・あっ、でも・・・」
「何?」
「今夜は敦賀さんだけお酒飲まれてないですから、悪いような気がします。」
「クスクス、大丈夫だよ。家でも飲めるしね。」
「でも、今度は電車で行きましょうね!」
「ありがとう。」

レストランでいろいろ話した後なのに、マンションに着くまで会話は途切れなかった。
だからか、20分そこそこのドライブはあっという間に終わってしまった。



―――マンションに到着。



車を降りて、エレベーターへと向かう。
エレベーターに近づくにつれ、無性に寂しさを感じる自分がいた。

・・・もっと最上さんと一緒にいたい・・・。

「・・・何だか、楽しい時間はあっという間に過ぎちゃいますね。」
「そうだね。・・・寂しい?」
「正直に言うと少し・・・。一人暮らしのせいもあると思うんですけどね。」

・・・・・・。

「あのさ、最上さんさえ良ければ、俺の・・・家に来る・・・?」
「・・・え?」

―――――チンッ・・・

エレベーターが地下に到着し、ドアが開いた。
・・・が、二人とも顔を合わせたままで、足が動かない。

「あ・・・乗ろうか?」
「あ、は、はい・・・。」

最上さん、戸惑ってる・・・。
やはり、一人暮らしの男の家に誘うなんて、非常識だったか・・・、と自分が口にしたことを猛反省し、これ以上警戒されないように、7階のボタンを押そうとした。
すると・・・最上さんの腕が、ボタンを押そうとしている自分の腕を止めた。

「あ、あの、7階・・・は押さなくても・・・いいです!」
「・・・え?」
「お邪魔・・・しちゃ、ダメです・・・か?」

その時・・・、俺がどれだけ自分を抑えに抑えたか、最上さんは知らない。
誰もいないエレベーターという密室の中で、抱きしめて、キスをして、そのまま抱き上げて自分の部屋へ連れて行きたい・・・。
そんな最上さんの意思を完全に無視した俺の欲望を、君に見せまいと必死に普段の自分を作り上げていた。

「邪魔だなんて、とんでもない・・・。大歓迎だよ。」



この夜、エレベーターは7階を通り過ぎていった・・・。



◆◇◆◇◆



エレベーター (8)



―――ふわふわと夢心地・・・

―――ドクドクと高まる緊張感・・・

―――気を抜けば一気に衝動にかられそうな…俺の心

相容れない感情が己の中をぐるぐると混ざり合ってうずめいている。



・・・俺の、俺だけのテリトリーに、今、彼女がいる・・・。



「わぁ・・・!想像はしていましたが、まさかこれほどまでとは思いませんでしたよ、敦賀さん!!」

壁一面がガラス張りになっているリビングルームに入るなり、窓際へ駆け出して夜景を眺め始めた彼女・・・。

「都心から明かりがブワ~っと流れてきているみたいで、とっても綺麗・・・。」
「ここは少し高台だからね。そう階があるマンションじゃないけど、眺めは最高だよ。」

さりげなく彼女の隣に立って、夜景を見る振りをして彼女のほうへ視線をやると、よほど嬉しいのか、目をキラキラさせて夜景に見入っていた。

「クスクス、気に入った?」
「・・・あ、はい!とても!お家の広さにも驚きですが、夜景は驚きを超えるほどにすばらしいですね!こんな所に住んでらっしゃる敦賀さんがうらやましいです!」
「・・・・・・クス、大げさだよ。でも最上さんが良ければいつでも遊びに来て?」

“なら・・・一緒に住む?”という言葉が出掛かってたことは内緒・・・。

「さて、何か飲む?お酒でもいいけど・・・。」
「あ、・・・ではお言葉に甘えてコーヒーをいただいてもいいですか?」
「了解。ソファでゆっくりしてて?」

自分はウィスキーにしようかと思ってたけど、最上さんのために入れたコーヒーの香りに誘われて、結局自分にもコーヒーを入れた。
彼女はきっとミルクも砂糖もいるだろう・・・。

・・・いつもは何も感じない夜景やコーヒーが、今夜は特別に感じる・・・。

リビングに戻ると、最上さんはまだ夜景を眺めていた。

「そんなに気に入った??」

コーヒー二つをテーブルに置いてソファに座り込むと、最上さんはまだ感激している面持ちでガラスから離れて、控えめに俺の隣に・・・一人分離れて座った。

「・・・だって、綺麗なんですもん。私の部屋からはお隣のマンションが邪魔をして都心の夜景は見えませんし・・・。」
「それは残念だね・・・。」

最上さんにコーヒーを勧めて、二人してフゥ・・・と落ち着く。
二人の間に流れる沈黙もそんなに悪くはない・・・でも何か会話をしないと時間がもったいない・・・。
そう思っていると、最上さんが先に口を開いた。

「・・・あの、敦賀さんは何か部活動の顧問でもなさっているのですか?」
「俺?いや、今は何もしてないけど・・・どうして?」
「え?・・・だって、毎朝お早いでしょう?だから朝練などしてらっしゃるのかと・・・。」

・・・あ・・・参ったな・・・。

「あー・・・そういう訳じゃないんだけどね・・・。そう言う最上さんも早いよね?」
「えっ!?い、いえ、私は・・・その・・・朝早くから行動する人間なので・・・。」

少し慌てて答える最上さんの顔は、俺の家に来たいと言った時の顔と同じで・・・。
頬を染めてちょっと恥ずかしそうに俯く・・・。そんな顔を見せられると俺は少しあらぬ期待をしてしまう・・・。

・・・朝、早いのは俺と同じ理由・・・なのかもしれない・・・と。

「・・・そ、そういえば!」

と突然最上さんが叫んだ。

「敦賀さんは英語教師にしては英語がネイティブ過ぎると社さんがおっしゃっていましたが、留学でもされてたのですか!?」

・・・何だか無理やり話題を変えられたような気もするけど、勘違いの末にがっついて拒絶されるよりは、今夜ここで最上さんと一緒にいられるだけでも満足しておかないと・・・。

「あまり人に話したことはないんだけど、俺は帰国子女でね。生まれはアメリカなんだ・・・。」
「そ、そうだったんですか!!」
「うん、両親は今もアメリカだけど、17の時に俺だけ日本に引っ越して来たんだ・・・。」

この話をすると、大抵みんなその理由を聞いてくる・・・。毎回適当にかわしていたけど、なぜだろう・・・、最上さんになら正直に話しても大丈夫な気がした。
でも、最上さんの反応はみんなとは違った。

「なるほど~!では敦賀さんの授業ではネイティブのアシスタントの先生は不要ですね!!」

・・・・・・何というか、最上さんは・・・純粋というか、天然というか、そういう発想になってしまうんだ・・・。

作りものでない満足げな笑顔で、“ネイティブの先生要らず!”なんて答えが返ってくるとは思っていなくて、それが何だかおかしくて、気がつけば俺は腹を抱えて笑っていた。

「ちょっ・・・な、何がそんなにおかしいんですか!?」
「クックックックッ・・・・いや、ごめん、思わぬ答えにちょっと・・・」

それだけ言ってまたクククッと笑い始めた俺に、

「っもう!敦賀さんなんて知りません!」

と言って、最上さんがそっぽを向いてしまった。本気で怒ってるとは思わなかったけど、まだ少し笑いながら

「ごめん、ごめん。・・・ねぇ、こっち向いて?」

と言いながら、・・・・無意識に手が伸びて・・・最上さんのあごに触れていた・・・。

その瞬間、最上さんの体が少しビクッと震え、ビックリした顔で俺の方へ振り返る。

・・・あっ・・・

「ご、ごめん!」

すぐに伸ばしていた右腕を引っ込ませるが、もうすでに後悔・・・。
最上さんに許可なく触れてしまった・・・。
きっとビビらせてしまった・・・。
あの驚いた顔…、軽い男と思われたかもしれない・・・。
冷や汗がドバっと流れていそうな感覚に陥っていた、その時。

「敦賀さん?」

自分のすぐそばで聞こえる優しい声に、ガバっと顔を上げた瞬間、おでこに軽く痛みが走った。

「…っ!?」
「フフフ、笑った仕返しです!」

してやったり、という最上さん。
全身が硬直するほどドキドキしていたのが、最上さんの笑顔でシュー・・・と溶けていくようだった。

「・・・まさかデコピンで仕返しとはね・・・。父さんにもよくやられていたよ。」
「そうなんですか?アハハ~。」

・・・良かった。
気まずくなったらどうしようかと心配していたから・・・。

「・・・さて、私そろそろおいとまさせていただきますね。」

もう・・・?と思ったが時計を見ればもう午前になる寸前だった。



◆◇◆◇◆



エレベーター (9)


(Side キョーコ)

家のカードキーを差し込まないと押せないエレベーターの15階のボタン・・・

私の寝室の広さほどありそうなエントランス・・・

そして、光の洪水を空から見ているような気分になれるガラス張りのリビングルーム・・・


―――ここは親の持ち家で、俺はしがない一教師だから・・・―――


なんて言ってた敦賀さんだけど、・・・この高級感が不思議と似合ってる。
・・・ううん、似合ってるんじゃなくて、それが自然なんだ・・・。



夜景は確かに綺麗で、本気でうっとりして見てたけど、緊張してドキドキしてる自分を落ち着かせるための言い訳にもなった。
・・・こんな夜遅くに、付き合ってもいないのに、お邪魔してもいいですか・・・だなんて、破廉恥な女と思われたかもしれない。

・・・でも、あの時は、もうちょっと敦賀さんと一緒にいたい、と思う一心で・・・。

「そんなに気に入った?」

香りの良いコーヒーと共にリビングルームに帰ってきた敦賀さん…。
いつの間にネクタイはずしたんだろう・・・。
いつもはキッチリしてるから、少しラフな格好が逆に新鮮に見えて・・・その・・・男の人って感じで・・・。

不自然に思われないように他愛のない会話をこなして、コーヒーに口をつけてみたけど、ドキドキが落ち着かなくて、訪れた沈黙に自分の鼓動が聞こえてしまうんじゃないかと思って、それで…何か話題を・・・と思って、朝早い理由を聞いてみたら・・・

「・・・そういう最上さんも早いよね?」

って聞き返されて、もうどうしようもなくパニックになってしまった・・・。
まさか“敦賀さんに会えるかもしれないから・・・”だなんて恥ずかしくて言えないし・・・。

・・・でも、敦賀さんは何か理由があるのかな・・・?

話題を変えるために聞いた敦賀さんの英語のことで、敦賀さんは実はアメリカ生まれの帰国子女だって聞いて、ビックリしたけど、それも何だか自然に思えた・・・。
日本生まれの日本育ち・・・っていう方がちょっと合わないかも・・・。
なんて考えていたら、隣で敦賀さんが爆笑していた・・・。

・・・な、何!?何!?私何かした!?

敦賀さんの笑ってる理由が分からなくて、ちょっといたずらっぽく怒って聞いてみたら、どうも“ネイティブの先生要らず”の発言がツボをついてしまったようで・・・。
でも敦賀さんの笑い声のおかげで、ちょっとリラックスできたかも。
それでそのままプイっと怒った振りをしてたら・・・

「・・・ねぇ、こっち向いて?」

敦賀さんの手が私のあごに触れて、私の顔を敦賀さんの方へクイっと向けた・・・。
一瞬の事だった・・・。

「ご、ごめん!」

私が強張ったせいか、敦賀さんがひどく申し訳なさそうな顔をした・・・。

・・・敦賀さん・・・?

私は敦賀さんのしたことに対して顔を真っ赤にする暇もなく、神妙な面持ちで俯く敦賀さんを何とかしなきゃ・・・と必死に考えていて・・・

・・・そうだ!子供(児童)を叱る時にたまにするアレで・・・

ピコンと軽く敦賀さんのおでこを弾く。
すると敦賀さんは大きく目を見開いた後、エレベーターで別れる時にくれる、あの神々しい笑顔を私に向けた・・・。

・・・ドキンッ!!

ダ、ダメ・・・。
もう自然に振舞うなんてできない・・・!
これ以上ここにいたら、きっと私の心、敦賀さんに見えちゃう!!
チラと腕時計を見るともうすぐ12時。
帰るにはちょうど良い言い訳にもなるし、私は敦賀さんにおいとまする旨を伝えた。



「7階まで送るよ。」
「え?大丈夫ですよ。エレベーターで下に下りるだけですから。」
「いや、送らせて?お願い。」

・・・お願い・・・って、そんなこと言われたら断れない!

「で、では、よろしくお願いします・・・。それと、コーヒーと素敵な夜景、どうもご馳走様でした!」

玄関で軽くコートを羽織る敦賀さんにお礼を言うと、あっ・・・と言いながら一枚の紙切れを私に差し出してくれた。
そこには数字とアルファベットがいくつか並んでいた・・・。

「それ、俺の携帯番号とそのメルアド・・・。いつでも連絡してきて?待ってるから・・・。」

それがすごく嬉しくて・・・、敦賀さんとつながっていられるんだ・・・と思うとワクワクして・・・。

「はいっ!こちらからも後で番号とメルアドを送りますね!」

と、まるで子供みたいにはしゃいだ返事になってしまった・・・。
そのせいなのか、敦賀さんはその後無表情で固まられてしまった・・・。

「・・・あの~・・・敦賀さん??」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、うん、何?」
「大丈夫ですか?お疲れのようでしたら、送っていただかなくても構いませんよ。」
「いや、ごめん、大丈夫だよ。さぁ、行こうか?」

でも、その後も敦賀さんの様子が少し変・・・。
あまりしゃべらなくなったし、しゃべってもいつもみたいに目を合わせてくれないし・・・。

・・・どうされたのかな・・・?

沈黙が続く中、エレベーターが14階・・・13階・・・と下がっていく。

―――――チンッ・・・

7階・・・。
いつものように、エレベーターから出ながら敦賀さんの方へと振り返って、

「それじゃ・・・お休みなさい、敦賀さん。」

少しお辞儀をする。

「・・・最上さん。」

・・・あ、今度は目が合っ・・・・・・・・



一瞬なのに全てがスローモーション
敦賀さんの大きな手がドアを押さえたと思ったら
その綺麗な顔が私の顔へと近づいてきて、
その瞬間・・・頬に柔らかい感触が・・・



「・・・おやすみ。」



・・・・・・・う・・・そ・・・!?



◆◇◆◇◆



エレベーター (10)


(Side 蓮)

「おっはよー、蓮!週末どう・・・・・・だった・・・んだ?」

明らかに俺で遊ぶ気満々だった社先生の声が小さくなった。

「・・・どうかしたのか?・・・まさか、ふら「れてませんから。まだ。」・・・・・そ、それならいいんだけど・・・。」

出勤して来た途端に俺にからんでくる社先生もだけど、遠くの席から意味ありげな視線をジトー・・・と俺に送ってきてる琴南先生も、

・・・ちょっと俺をそっとしておいてて欲しい・・・。



あの夜、俺が持ち合わせている理性を総動員しながら、手を出さないように、枷がはずれないようにしていたのに、帰り際に玄関先で見たあの笑顔のおかげで、理性なんてどこかに行ってしまいそうだった。
俺の携帯番号が書かれた紙を嬉しそうに受け取る最上さん・・・・。

・・・期待・・・してもいいんじゃないか・・・?

そう思うと、どうしても最上さんに触れたくなって、我慢できなくて、最後の最後でやってしまった・・・。
頬にとは言え・・・。
あの時は、甘い気持ちがあふれていて、後のことなんか考えている余裕もなかった。
だから余計にショックだったんだと思う・・・。

その後、最上さんから連絡がない上、今朝期待していたエレベーターでの逢瀬もなかったことに・・・。

・・・これは・・・嫌われたか、呆れられたかのどっちかだろう・・・。

そう思うたびに、今まで感じたことのない感情が俺を押しつぶそうとする。
悲しいだけじゃない。もっとこう、心臓を締め付けられるような、心の痛みとでも言おうか・・・。

・・・嫌われていてもいい。
もう一度だけ、最上さんに会いたい・・・。



授業を終え、残業をする気力もなく、主任に一言断ってから5時ちょうどに学校を出た。
少し遠回りになるけど、もしかしたら・・・と思って初等部の正門の前へ出る道に入る。

・・・何を期待して、何をやってるんだか・・・。

自分の行動が少し馬鹿らしいように思えたが、次の瞬間、自分で自分の功績を称えた。
最上さんが自転車に乗って正門から出てきたのだ。方向からして向かっているのは自宅マンション。
近道なのだろう、細い路地に入っていく最上さんを確認して、俺は車をマンションへと走らせた。

・・・自転車置き場か、一階のエレベーター前で待っていれば・・・

最上さんに会える!頭でなくて体と心で行動している自分がいた。

車を止め、階段で一階へ駆け上がる。
自転車置き場は誰でも入れるし、外からも見えるため、しばらく一階のエレベーターの前で待つことにした。
そして、話しかけ方のシュミレーションをしながら、また、コンシェルジュの中年の男性に時折話しかけられながら待つこと5分。
とっくに帰って来ていてもおかしくないのに、まだ最上さんは来ない。

・・・買い物にでも行ったか・・・

と思いながら、自転車置き場の方へ歩みを進めた。すると、

「もういい加減にして!あんたとはもう関係ないんだから!」

という叫び声が聞こえてきた。

・・・この声は・・・最上さん!?

初めて聞く彼女の怒気の混じった声に、心配になった俺は駆け足で自転車置き場へと向かう。
そして、外に出るドアを開けると、そこには最上さんと、最上さんの腕を掴んでいる茶髪の若い男がいた。

「何だよ、お前。こーやって俺が頼んでやってるっつーのに・・・って、あんた何か用?」

俺に気付いたその男は、その不機嫌な顔色を変えることなく俺を睨み付けてきた。
それと同時に最上さんもこちらを振り返る。

「!?・・・つ、敦賀さん!!」
「はぁ~?なんだ、お前知り合いかよ?」

最上さんに無礼な態度を取り続ける男の右手に視線を向ける。

「最上さんは嫌がってるようだけど・・・。その手を離してあげたら?」
「あ~?あんたには関係ないだろ?こっちにはこっちの事情があるんだからよ。」

・・・最上さんとこの男の事情・・・だと・・・?

俺が拳をグッと握る前に、最上さんが勢いよく男の手を振り払った。

「関係ないのはあんたの方よ!私の人生にもうあんたはいないの!二度と来ないで!」
「なっ・・!」

最上さんの悲痛な叫びに彼もそうだが、俺も・・・何も言えなくなっていた。
最上さんは叫び終わるなり、俺と目を合わせることなくロビーの方へと駆けて行き、俺はそれを追う。
後ろから彼の必死な声を聞きながら・・・。

「おい!キョーコォ!!」



エレベーターの前で、深く俯いたままエレベーターを待つ最上さんを見つけて、俺は何も言わずに横に立った。

・・・少し震えている・・・?

できるなら・・・抱きしめて、落ち着かせてやりたい・・・。
だが、一昨日の夜の(俺的には)大失態の後では、それはできなかった。

―――――チンッ・・・

エレベーターが到着する。

二人で静かに乗り込み、俺は7階と15階のボタンを押す。最上さんはまだ俯いたまま・・・。

・・・あの彼は・・・最上さんの・・・

“恋人”だとは考えたくない。
過去の男とも考えたくない。でも最上さんの言っていた

―――私の人生にもうあんたはいない―――

というセリフ・・・。
最上さんがあの男のことを好きだったのは確かだ・・・。

「・・・ました。」

・・・?・・・今最上さんが何か言った??

「え?ごめん、もう一回言ってくれる?」
「・・・自転車に・・・鍵をかけるのを忘れてきちゃいました・・・。」

まだ俯きがちだけど、少し恥じらいながらそう言う彼女には笑みが戻っていた。
その笑みに、俺は心底安心した・・・。
俺はまだ嫌われてはいないかもしれない・・・。
・・・心に少し余裕が戻ってくる。

―――――チンッ

7階。

「自転車のメーカーと色は?」
「え?」
「俺が鍵をかけてくるよ。・・・まだ彼がいたら嫌だろう?」
「・・・・・・でも…ご迷惑では?」
「クス・・・全然。後、部屋番号も聞いて良い?」

閉じかけたエレベーターのドアを押さえながら、部屋番号を聞くのは失礼だったか、と思ったが、鍵を渡すのに聞いておかないといけない。

「部屋は702です。それと・・・自転車はブリ○○○ンの赤色で、鍵にはバイオリンのキーホルダーがついてます。」
「了解。鍵をかけてきたらポストに入れるから。」
「・・・あ、あの・・・。」

ん?と聞き返すも、例の頬を染めて恥らう顔の最上さんに目が釘付けになる・・。

「・・・お世話になります・・・。ありがとうございます・・・。」

――――あぁ・・・どうしてくれよう、この娘は!!

さすがに今回だけは理性をぐぐっと保ち、俯きがちな最上さんの頭をポンポンと撫でるだけにして、「それじゃ」と言ってドアを閉めた。

・・・嫌われたかもしれないと、あれほど恐れていたのに、俺は学習能力が無いな・・・。

悶々と考え込みながら、自転車置き場へ戻る。
幸い、あの彼の姿はそこにはもう無かった。
二人が言い争っていた付近で最上さんの自転車を発見し、鍵をかけ抜き取る。
バイオリンの形のキーホルダーなのは、琴南先生の影響かな・・などと考えながらエレベーターに戻り、7階を押す。

・・・702号室か・・・

思いがけず入手した最上さんの部屋番号・・・。
訪ねていくことはなくとも、どこに最上さんがいるのかを知っているだけで安心できる・・・。

702号室の前に立ち、ポストの入り口から鍵を入れる。
そして、エレベーターの方へ向かって歩き出す。
明日の朝は会えるといいな、と思いながら。すると、後ろでガチャガチャと音がして、

「敦賀さん!!」

勢いよくドアを開けた様子の最上さんがスリッパのまま、そこにいた。

「あ、あの・・・もし、良ければ・・・その、お茶でもいかがですか・・・?」




いかがでしたか?
いいでしょ?

素敵なお話なんです。

まだまだミス・ルイーザ様のお話しは続きます。
全部載せ終わったら、月華が続きをかきます~。

・・・・・・ホントはルイーザ様のお話がいいけどぉ。

ちなみに私も今、掲載できる自作の記事もあるんですがぁ・・・・・・まだはるだっちゅーのに夏の記事なんですよね~。
どしよ。
季節感かんがえなくてもいいならすぐにのっけられるけど。


ちなみに歌詞妄想です。

オススメの曲なんですよ~。

掲載は・・・・・・どうしよう、もうのっけてもいいかな。
ま、個人ブログだし、季節気にしなくてもいいよね~。

あはははは。

では、そちらもそのうちのっけますんで、よろしく~。

ああ・・・・下書きばっかりが増えてる。

ではまた。



月華


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

げっか(月華)

Author:げっか(月華)
蓮キョ大好きです。
駄文しか書けませんが、よろしくお願いします。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
755位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
二次小説
323位
アクセスランキングを見る>>
フリーエリア

バナーリンク完了
画像つきリンクはバナーをお持ちのサイト様のみとさせていただきました。
私の実力的に無理なんで、すいません。

スキビ☆ランキング様
↓↓↓↓
スキビ☆ランキング様

妄想☆爆走ビート~スキップなんかじゃいられない 妄想☆爆走ビート マサシ様


ド素人のスキビブログ18禁様
ド素人のスキビブログ18禁 氷樹様


艶やかな微笑様
艶やかな微笑 peach tea no1様


桃色無印様
桃色無印 きゅ。様


pink@ピグ様 pink@ピグ きゅ。様


*ソラハナ*様
*ソラハナ* MOKOM様


SKB様

SKB Agren様


THE SACRED LOTUS 天音蓮華様

THE SACRED LOTUS 天音蓮華様


Kierkegaard様
Kierkegaard perorin様


蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」 (風月のスキビだより) 風月様
蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」 (風月のスキビだより) 風月様


サイト名:月と蝶
URL:http://tukitocho.blog.fc2.com/

よかったらアメブロへもどうぞ。
http://ameblo.jp/pochiouji/
月と蝶
携帯でもどぞ。
QR
月にとまった蝶々様カウンター
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。