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『エレベーター』 1~5話

先頃閉鎖されたイデュリスの城のミス・ルイーザ様のSSを頂戴いたしました。
全作品フリーとなっていたので頂戴してしまいました。
こんなお素敵なSSを無くすの惜しいです。
しかも未完のお話は続き書くのもOKとの事でした。
ルイーザ様のSSがお好きな方はたくさんいらしたかと思います。
続きを書かせて頂くにあたり、ルイーザ様の色は消したくないのですが、多分、私の色がたんまりな続きになってしまうかと思います。
お許し下さいませ。
続きを書く前にご紹介もかねて、ルイーザ様のこれまでのお話も掲載します。
どうぞ、お楽しみ下さい。
※都合により数話分を一つの記事にまとめてのアップ致します。ご了承くださいませ。
一つの記事がかなりのテキスト量になりますので、レイアウトも多少変更しております。(ルイーザ様お許し下さい。)
自分の記事と人様の大切な記事を混同するのはどうかと思いましたので、このような掲載方法をさせて頂きます。
※ミス・ルイーザ様のコメントは省かせて頂いています。

ではどうぞ。


『エレベーター』 作:ミス・ルイーザ様



エレベーター (1)



(Side 蓮)

朝、玄関を7時キッカリに出ると、彼女に会える確率が高い。だから今日も、仕事場に早く着きすぎようが、飲み会の次の日だろうが、6時には起きて支度をし、7時に家を出た。

彼女に初めて会ったのは、マンションのエレベーターの中・・・。彼女はいつも7階からエレベーターに乗ってくる。最初の頃は終始無言だったが、何度もエレベーター内で出会ううちに、簡単な挨拶を交わすようになっていった。
少し茶色い肩まで伸びた髪と白い肌、いつも清楚な服装で、ちょっと恥ずかしそうな笑顔が堪らなく可愛い・・・。・・・大学生だろうか・・・?それともOLか・・・。彼女のことをもっと知りたいと思うも、いきなり話しかけて警戒されても困る。だから、今は、まだ、エレベーターという密室の中での十数秒の彼女との時間をこっそり楽しむだけ・・・。


―――――チン・・・


エレベーターが7階で止まった。

―――もしかして・・・

今日はラッキーだ!ドアの向こうに彼女がいた!

「おはようございます。」
「おはよう。」

あ、と俺に気づいた彼女が軽くお辞儀をしながら挨拶をくれた。今日の彼女もとても可愛い・・・。じっと見つめたいのを我慢して、減っていく数字を意識して眺めようとした・・・・が、今日はなぜか彼女からの視線を感じた。ふっと彼女の方を見ると、その大きな瞳で俺をじっと見つめていた・・・。

「・・・あ、の、何か?」

俺がそう言うなり、ハッとして瞬時に顔を赤く染める彼女・・・。

「あ、す、すみません!あ、あの、いつも・・・背が高いなぁと思ってて・・・。」

顔を真っ赤にして俯きがちに話す彼女を見て、自分の顔がゆるゆると緩んでいくのが分かった。

「あぁ、そうだね。日本人にしては・・・ね。190もあるから。」
「え!?190もあるんですか!?」


―――――チン・・・


そう彼女が驚いたところでタイムオーバー。一階に到着。

この後彼女が自転車置き場に行くのは知っている。彼女も俺が地下駐車場まで行くことを知っている。いつもは「それじゃ、お先に。」とペコリとお辞儀して降りていく彼女だったが、今日は一度エレベーターを降りてから、ドアが閉まらないように、ドアが出てくる所を白くて細い手で押さえ、

「あの、身長のこと、もしお気に障ってしまったようでしたらごめんなさい。」

と恥ずかしそうに謝ってきた。

―――可愛い・・・

彼女が必死で押さえているドアの出入り口部分を、俺も押さえながら彼女に近づく。

「クス、そんなこと、全然構わないよ。えーと・・・。」
「あ、私、最上です。えっと・・・。」
「敦賀だよ。」
「敦賀さんですね。あの、それじゃ、お先に失礼しますね。」
「うん。またね、最上さん。」

エレベーターのドアが閉まって、俺はそこに座り込みそうになった。

―――今日は何て日だ・・・!

顔がにやつくのを止められない・・・。彼女が俺に少しでも興味を持ってくれていたこと。彼女の名前が最上さんだということ。彼女が俺の名前を呼んでくれたこと。

車に乗り込んでからも気持ちを切り替えることができない。一分にも満たない出来事に、体が、脳が、心がどっぷり何かに浸かっている感じだ・・・。

明日、明後日、もしまた彼女に会えたなら、彼女をことを聞いてみよう。

そのためにも、俺はまた7時キッカリに家を出て、その日の運にこの身を任せよう・・・。

7階でエレベーターが止まることを、そのドアの向こうに彼女がいることを願って・・・。



◆◇◆◇◆



エレベーター (2)



(Side キョーコ)

7時丁度に家を出ると、エレベーターであの人と会う可能性が高い。

だから、6時50分には身支度を済ませて、ドキドキしてる。会えるか会えないか・・・。その日の運次第。だから、めざましテレビの星座占いにすら頼ってしまう・・・。

―――山羊座が上位でありますように・・・。

と。

あの人に初めて会ったのはマンションのエレベーターの中。モデルかと思うほどきれいな顔だちで、スラっと伸びた手足とバランスの良い体格に、思わず見惚れそうになってしまった。引っ越してきて以来、エレベーターで一緒になることが多くなって、最初は無言だったけど、徐々に目があってニコっと微笑んでくれるようになって、最近は挨拶もしてくれるようになった。それがすごく嬉しくて・・・。

しかもこの間は思わず凝視しちゃって・・・!!背が高いこと、気にしてるかもしれなかったのに、私ったらなんて失礼なことを・・・!でも「構わないよ」と言ってくれたあの人の笑顔・・・ふんわり優しくて、素敵だった。どこにお勤めの人だろう・・・。もっと・・・知りたい・・・敦賀さん・・・のこと。

今日も会えるといいな・・・敦賀さん・・・。


―――――チン・・・


ドアが開いた瞬間、心臓が飛びはねた。今日も一緒だ!

・・・でも、今日は他の女性が敦賀さんの横にいた・・・。とりあえず、軽く会釈だけして、二人に背を向ける形でドアの近くに立った。

―――彼女・・・さんなのかな・・・?

何だか寂しいなと感じだけど、それはすぐに吹っ飛んで行った。

「ねぇ、時々あなたを見かけるんだけど~、何階にお住まいなの~?」
「ご想像にお任せしますよ。」
「ふん、顔に似合わずケチな男。どうせ彼女とかいるんでしょ?」
「あいにくいませんよ。」
「じゃぁ、私が立候補するわよ。一途だから浮気なんてしないし?」
「申し訳ないですが、酔った女性の言葉は信用しないんです。」
「なっ!失礼しちゃう!」

どう聞いても、敦賀さんが絡まれてるだけの会話で、何だか安心しちゃった。

・・・「あいにくいませんよ。」・・・

本当に・・・いないのかな、彼女さん。あんなにカッコいいのに・・・。


―――――チン・・・


一階に到着。すると、エレベーターのドアが開くなり、敦賀さんに絡んでいた女の人が私の肩にぶつかって、ブツブツ文句を言いながらそのままドスドス降りて行った。

それに少し呆気にとられた後、私も敦賀さんに挨拶して降りようと、少し振り返ったら、敦賀さんの大きな手が私の頭の上でドアが閉まるのを止めていた。そのおかげで顔もちょっと近くて・・・

「ごめん、最上さん。肩、大丈夫?」
「え?あ、あの、あんなの平気ですよ!敦賀さんが謝らなくても・・・。」
「いや、俺があの女の人を怒らせちゃったから・・・。」

心配・・・してくれるなんて・・・。すごく・・・優しい人なんだわ、この人・・・。

「敦賀さんが悪く思うことなんてないですよ。あの人がちょっと強引だっただけですし・・・。私は大丈夫ですから。」

今までにない顔の近さに、心臓がバクバクして落ち着かなくて、なのに、綺麗な人・・・とうっとりしそうな自分がいて・・・。だから名残惜しいけど、この場から早く離れようと、「それじゃ・・・」と言ってエレベーターから降りる。そしたら、

「あ、最上さん。」

って呼びかけられて、振り返ったら、神々しいほどの笑顔で

「また・・・ね。」

って手を振りながら微笑んでくれてて・・・。

そこから私の記憶はあいまい・・・。脳にオブラートがかかってる感じで、一日ボーっとしてたと思う・・・。仕事はこなしたけど、いまひとつ身に入っていなかったような気がする・・・。家に帰っても落ち着かなかった。だって、このマンションのどこかに敦賀さんが住んでると思うと、何だか駆け出したい気分になったし・・・、用もないのにエレベーターに乗りたくなっちゃうし・・・。

明日・・・少しだけでも・・・敦賀さんのこと、聞いてみようかな・・・。

いきなりベラベラ聞いて、今朝の女の人みたいに酔っぱらいと勘違いされても困るし。。

そう、お仕事とか・・・勤務先とか・・・ほんの少しだけ・・・。



また明日、7時丁度に家を出よう。

・・・敦賀さんに会えることを期待して・・・。

・・・ドアの向こうに敦賀さんがいることを願って・・・。



◆◇◆◇◆



エレベーター (3)



(Side 蓮)

「おはよ、蓮。今日も早いな・・・・って、暗っ!?」
「あ、社先生・・・おはようございます。」
「なんかあったのか?最近上機嫌だったのに。」

少し・・・落ち込み気味なのは、逆に何もなかったから・・・。

今朝は最上さんに会えなかった。今まで週に一度も最上さんに会えなかったことだってあったのに、それでもこんなに落ち込むことはなかった。挨拶だけでない会話を交わして、名前を教えあって、それだけで毎日会えると、確信も約束もないのに思い込んでいたようだ・・・。


「そうそう、昨日さ、校長先生と飲みに行った(連れて行かれた)んだけどさ。お前に感謝してたぞ?」
「え?校長先生が??何故・・・?」

それはまた不思議な・・・と思っていると、社先生が声を細めて言った。

「お前が早く出勤するようになってから、女の先生方や女生徒の遅刻が激減したんだってよ?」
「・・・それは・・・偶然なだけなんじゃないですか・・・。」
「何言ってる!見ろよ、7時半にもなっていないのに、この職員室の混み具合を!」

・・・確かに、ここ半年ほど皆の出勤時間が早まったなぁ・・・とは思っていたけど・・・。

「お前が早く出勤するようになってからなんだぞ?こんなこと。」
「まぁまぁ、俺のせいかどうかはいいとして、いいんじゃないですか?遅刻が減って・・・。」
「・・・ったく。おまえは自覚が無さ過ぎる。」

その後、社先生が何かブツブツ言いながら席に戻って行ったけど、それは気にせず、特に重要ではない書類の片づけをしながら、どうすれば最上さんともっと頻繁に会えるようになるか、とか、どうやってもっとお近づきになろうか、とか、そんなことをいろいろ考えていたら、声をかけられた。

「あの、敦賀先生?」
「え?あ、はい、なんでしょうか?」

この人は・・・確か音楽の・・・琴南先生だったかな・・・?

「今度LME学園の音楽祭が開かれるんですけど、敦賀先生も良ければ参加してみませんか?社先生も参加されるようですし?」
「うーん、自分はあまり音楽に興味はないから、残念だけど参加は見送らせてもらうよ。」
「そうですか、“人数集め”にはなってもらえないですか・・・。」
「・・・琴南先生・・・、それは・・・どういう意味かな?」
「まぁ、まだ時間はありますし?お気が変わったら私に知らせてくださいね。」

・・・社先生が参加した理由は明白だな・・・。相手は手強そうだけど・・・。

ま、そんなことよりも、まずは自分のことを・・・と、再び重要でない書類相手に視線だけは落とす。

・・・最上さんは今頃何をしているのだろうか・・・



今日も一日終わり・・・と思いながら地下駐車場でエレベーターを待つ。明日ももしかしたら会えないかもしれない・・・と、朝からずっと引きずっている落ち込み気分のまま、やってきたエレベーターに乗り込んだ。それでも、明日も俺は7時に家を出るんだろうな・・・。


―――――チン・・・


一階。

ドアがスーッと開き、そこにいたのは・・・

「最上さん!」
「敦賀さん!こ、こんばんは!」

一瞬で暗い自分が消えるのが分かった。もう意識は目の前の可愛い彼女だけへ・・・。

「こんばんは。えっと、7階だよね?」
「あ、はい。・・・って、え?敦賀さんは15階なんですか!??最上階じゃないですか!」

最上さんの声に驚いた振りをして5階と6階のボタンも押してみる。時間稼ぎ・・・なんて俺も相当せこい奴だな・・・。

「親の持ち家だからね。俺がすごいわけではないよ?」
「フフフ、でも確か最上階は一軒しかないんですよね?すごいです~。」

何だか羨望の眼差しで見られると、親に負けた感じで少し劣等感を感じる・・・。

「いや、俺はしがない一教師だからね。親のでなかったら俺の給料だけでは住めないなぁ。」

ここで見栄は張れないな・・・などと思っていると、最上さんが驚いた顔でこちらを見た。

「え?敦賀さんも先生されてらっしゃるんですか?」

・・・え?・・・「敦賀さん“も”」ってことは・・・。

「私も職業は先生なんですよ。近くのLME学園の初等部の音楽を―――」

・・・えっ!?今・・・何て・・・


―――――チン・・・


「あ、着いちゃいましたね。それでは・・・」
「待って。俺も降りるよ。」

えっ?という顔をする最上さん。当たり前だ。警戒されるに決まってる。でもこれを聞かなきゃ今夜眠れない!

後ろでエレベーターのドアが閉まる音がした・・・。

「あのさ、最上さん、LME学園の先生なの?」
「え、あ、はい、初等部で音楽を教えてますけど・・・。」

なんてことだ・・・。こんな偶然があってもいいのだろうか・・・。建物も正門も別で、簡単に会いに行ける距離ではないけど、一応同じ敷地内で勤務してたなんて・・・!!

「それは…奇遇だね。俺もLMEで先生してるよ?」
「えぇ!?そうなんですか!?!?」
「うん。と言っても高等部だけど。英語教師なんだ。」

今日は最上さんの驚いた顔をよく見る日だ・・・。くるくる表情が変わって・・・可愛い・・・。

「あっ!じゃぁ、音楽のモー・・・いえ、琴南先生ご存知ですか!?」

突然そう言い出した最上さんの顔は、初めて見るキラキラと輝く笑顔だった。

「うん、知ってるよ。長い黒髪のスレンダーな人だよね。」
「そうです~!モー・・・・琴南先生は私の大親友なんです~!」

“バイオリンを弾かせると音色も姿も絵になって~・・・”と嬉しそうに親友のことを話す最上さんの背後から、勢いよくハートマークが飛び出して来ているかと思うほど、その笑顔・身振り手振りは可愛らしく、同時に琴南先生がちょっと羨ましくなった。

おっとりした最上さんと、キリっとした琴南先生は、性格も間逆そうだけど、どうやって知り合ったのだろう・・・。そういえば、タイミングよく、今日琴南先生に話しかけられたな・・・。

・・・と、そこでハッとした。

「最上さん、もしかしてLMEの音楽祭に参加する?」
「はい、もちろんです!5年生と6年生の合唱の指揮者として。敦賀さん・・・敦賀先生とお呼びした方がいいでしょうか?」
「クスクス、いや、学校外は“敦賀さん”でお願いするよ。」
「そうですね。では、敦賀さんで。敦賀さんは音楽祭には参加されますか?」
「もちろん。今年は運よく予定が無くてね。」

・・・嘘も方便・・・

「では、そこでお互い“先生”としてお会いするかもしれませんね。」
「そうだね。楽しみにしてるよ。・・・そろそろ帰るね。ごめんね、引き止めて。」
「い、いえ、お構いなく・・・。」

エレベーターがちょうど上に上ってきているところ・・・。乗り過ごして数分でも最上さんの近くに・・・とも考えたけど、これ以上警戒されないように、上行きのボタンを押す。引き際も肝心だ・・・。

「それじゃ、おやすみ、最上さん。」
「あ、はい、おやすみなさい、敦賀さん。」

丁寧に頭を下げる最上さんを見送ってエレベーターに乗り込む。ドアが閉まるなり、携帯電話を取り出して電話をかけ始める。相手はすぐには出ない。今頃きっと急いでゴム手袋を着用していると思うし。

「どうした、蓮?珍しいな、こんな時間に。」
「すみません、社さん。ちょっと琴南先生に至急の伝言をお願いしたくて・・・。」
「こ、琴南先生に?」
「えぇ、俺も音楽祭参加します、とだけ伝えていただけますか?」



また一つ、君のことを知っても、もっと知りたい・・・という欲がある。
また一つ、君に近づいても、もう少し近づきたい・・・という欲が出てきてしまう・・・。

愛しい愛しい君・・・。

今度会えたら、食事にでも誘ってみようか・・・。

一緒に通勤しないか聞いてみようか・・・。

携帯番号を渡してみようか・・・。

そんなことを考えながら、俺は明日も7時に家を出るだろう。

最上さんに会えることをひたすら願って・・・。



◆◇◆◇◆



エレベーター (4)



(Side 奏江)

土曜日の昼下がり・・・『喫茶 DARUMA-YA』

LME学園の音楽祭の企画会議が続いて忙しかったここ最近。久しぶりに、し…し…親友…の最上キョーコを、LME高等部前にある喫茶店に呼んで、お茶でも思ったんだけど・・・。

「あんた、最近何かあったでしょ。」

えっ!?と驚く顔にはYESと書かれてある。やっぱり。

「な、なんでそう思うの?」
「失恋後にドロドロ・禍々・怨々してたのがスッパリ消えて、今は甘々になってるから。」

・・・そう、この子は約半年前に物心ついた時から好きだった幼馴染に、食費から家賃まで面倒見て(見せさせられて)尽くしに尽くした末、ポイッと捨てられたという、大失恋の過去を持つ。

あの時は大変だったわ。私の部屋にやってきて、で、大泣きしたと思ったら、急に・・・何て言うのかしら・・・怨霊?とにかく女の子にあるまじき顔になっちゃって、しかもそのまま学校に行こうとしたもんだから、慌てて止めたのよね・・・。その後落ち着いたけど、時々・・・怨霊っていうのかしら、それがチラチラ見えてたのに・・・。

・・・今のこの子の顔は、まさに恋する乙女ね。

「好きな人できたでしょ。」

突然顔を真っ赤にして、食べようとしてたケーキを落としたり、変に周りをキョロキョロ見たりして・・・。この子、本当に分かりやすい!!

「もしや、もう付き合ってたりしないわよね?」
「!?・・・しないしない!!まだ、そんな!!」
「そっかぁ、“まだ”片思いなのね。」

こうも簡単に罠に引っかかってくれると逆に心配になるわね。また悪い男にだまされないか・・・。

「・・・で?どんな人なの?」
「・・・う・・・あ、あの、同じマンションに住んでる人でね、エレベーターでよく一緒になって・・・って、あっ!!」
「な、何よ?」
「モー子さんも知ってると思う!その人高等部の先生してるって!・・・敦賀さんっていうんだけど・・・・・。」

あぁ・・・・二日酔いでも風邪でもないのに頭が痛くなってきた・・・。まさか、この子まであの男に惚れちゃうなんて!!

「ね、ねぇ、モー子さん、つ、敦賀さんって学校ではどんな人?」

そう聞いてくる親友の顔はこれでもかってぐらい可愛いもので、毒づくつもりだったのに、毒がどっか飛んでっちゃったわ!

「そうね、あんたも分かると思うけど、女の先生方にも女子生徒にもモテモテね。」
「やっぱり、そうよねぇ・・・。」
「プライベートではあまり良い事は聞かないけど。来る者は拒まず、去る者は追わずって聞くわよ?」
「そ、そうなの?そんな風には見えなかったけど・・・。」
「ま、それは一つの噂だからね。ところで・・・。」

エレベーターで一緒になるだけなのに、なぜ名前やら勤務地やら知ってるのか、問いたださないと!10秒ほどのあの時間でそんなに仲良くなれるとは思えないし、また騙されてるのかもしれないわ!

まったく、なんで私はこの子のことでこんなに必死なのかしら!?

「・・・え、えっとね、どうも出勤時間が同じみたいで、7時に家を出ると、エレベーターで一緒になることが多くて・・・。それで、あの、挨拶するようになって・・・。」

・・・7時?この子のマンションから高等部まで車で10分もかからないわ。敦賀先生なら8時に家を出たって平気なはず・・・。・・・ちょっと待って!?確か敦賀先生はここ最近早く出勤するようになったって聞いたわ。それを聞いたのは・・・半年程前・・・って、この子があのマンションに引っ越したのと同じ時期じゃない!?・・・偶然かしら・・・。

「あ、でもね、高等部の先生だってことは昨日聞いたの。帰りのエレベーターで偶然一緒になって・・・。」

・・・き、昨日!?

「ちょっと、それ何時頃?」
「え?えっと、8時半頃かな?」
「もしかしてその時にあんたの勤務先も教えた?」
「え?うん。初等部で音楽を教えてますって・・・。」
「・・・音楽祭のこと聞かれた?」
「えー!?すごいモー子さん!!なんで分かったのー!?」

あぁ~頭痛い・・・。

昨日夜の9時頃に社先生から電話があったわよ!敦賀先生が音楽祭に参加したいって!これは偶然なんかじゃないわ!もう、何なの?この二人!しっかり両思いなんじゃないの!?

「あのさ、もう一つ聞くけど、あんた、私のこと敦賀先生にしゃべってないでしょうね?」
「・・・・・・・・・・あ、あの、駄目・・・・だった?」

あー・・・・頭痛薬買いに行こ。



月曜日。朝7時半の職員室。

・・・敦賀先生、やっぱり今日も早く来てる。・・・って目があっ(てしまっ)た!

「琴南先生!」

・・・しかも呼ばれた!もう絶対あの子関連のこと聞かれるに決まってるんだから!

「最近、すごく良さそうなお店を見つけて、社先生と行ってみようかと言ってるんですが、良かったら一緒にどうですか?音楽祭のことで聞きたいこともありますし?琴南先生も女性一人で心細いようでしたら、どなたか親しいお友達を連れて来られても構いませんし?」

・・・何これ!!朝からまぶしいほどのキラキラ笑顔なのに、NOと言えない圧力を感じる・・・!!しかもあの子以外を連れてくるな、とまで言ってるような・・・!!??

「あ、は、はい。ではご一緒させていただきます。はい。」

これはヤバイわっ!!早急に二人をくっつけなくては!!でないと、これからずっと私はあの人のキョーコを釣るための釣り餌として使われる!!

それだけは絶対嫌!!

・・・キョーコ!!敦賀先生があんたにふさわしいかどうか全然分かんないんだけど、私の自由を守るために、あんたには敦賀先生と付き合ってもらうわよ!

もーー!なんで私がこんな目に!!



◆◇◆◇◆



エレベーター (5)



(Side キョーコ)

「あれ?モー子さんからメールだ。珍しい・・・。仕事中なのに・・・。」

モー子さん、いつもは就業時間中は携帯触らないって言ってたのに、急用かな??

お昼休み中のポカポカ陽気の静かな職員室って好きだな~なんて思いながら、ラフに椅子に腰掛けて、メールを開いて、私は思わず絶叫しちゃった・・・。

「ぅ・・・え?・・・ええええぇぇぇぇぇ!?!?」
「ど、どうした!?最上先生!?」
「や、あの、何でもないです。すみません・・・。」

だ、だめじゃない!私ったら椹先生のお昼寝時間を邪魔して・・・。でも、叫ばずにはいられないことがメールに書いてあったんだもの・・・。

『件名:今夜7時半。
 用件:食事しに行くわよ。ちなみに敦賀先生も一緒だから。
    高等部前の喫茶DARUMA-YAで待ち合わせね。』

ど、ど、ど、どうしよう・・・。モー子さんには昨日相談したばっかりなのに・・・!・・・はっ!モー子さん、もしや私が敦賀さんのことを・・・ごにょごにょ・・・思っているの話しちゃったとか・・・。い、、いや、それは恥ずかし過ぎる!で、で、でも・・・行ってみたい…し・・・。敦賀さんと食事だなんて・・・・・・。いや、どうしよう!どうしよう!

とか、言いながら一度家に帰ってシャワーまで浴びて、お気に入りのニットワンピなんか着て、7時になったばかりというのにDARUMA-YAにいる私って・・・。多分、私、自分で思っている以上に今夜のこと、楽しみにしているのかな・・・。

ドキドキする・・・。喫茶店のドアのベルがカランって鳴るたびに、私の心臓がドキンって跳ね上がる。

「最上センセ?」
「はいぃぃぃっ!!って、あ、女将さん・・・。」
「あんた、今日はやけに可愛い格好してるけど、デートかい?」
「ぃ、い、いえ、あの琴南先生と彼女の同僚の先生とお出かけなだけですよ。」

ここの女将さんは優しい。マスターも無口だ人だけど、すごく優しい人・・・。失恋した後、よくなぐさめてくれたっけ・・・。

「そうなのかい?私てっきり・・・。まぁ、それはともかく何か飲んでいくかい?」
「はい!ミルクティーをお願いします!」
「まいどあり。」

・・・7時10分。待ち合わせの時間まで後20分。・・・何だか、待ってるこの時間って好きだなぁ~。

「はい、センセ。ミルクティー。」
「ありがとうございます!いただきます!」

・・・ぅん。美味し。ここのミルクティーだけはマネできないのよねぇ・・・。

もうだいぶ暗くなったけど、ここから高等部の正門がよく見える・・・。ここで敦賀さんが先生してるんだなぁ・・・。

―――――カランッ・・・

「・・・あっ!」
「最上さん!」

あれ?あれ?ずっと正門見てたのに、敦賀さんの姿なんて見えなかったけど・・・??ど、どうしよう!突然すぎて心の準備が!!

「こんばんは。琴南先生から聞いたよ。今日は最上さんが来るって。またまた偶然だね。」
「あ、はい、本当ですね。」
「琴南先生ね、ちょっと押してる仕事があるらしくて、10分ほど遅れるって。」
「あ、そうなんですか?今忙しい時期ですものね。」
「うん、でね?最上さんはもう喫茶店にいるはずだから行っててあげて下さいって言われてさ。」

・・・モー子さん!!気を遣いすぎよー・・・!

「二人は本当に仲がいいんだね。」
「え、あ、はい!親友歴5年になりますから。」

そう言うと、敦賀さんは暖かい笑みを向けてくれた。

ドキドキが止まらない・・・。

エレベーターの到着音を気にしなくてもいい、この時間と空間がなぜかとってもくすぐったい気がして・・・。目の前に敦賀さんがいることが信じられなくて・・・。

「こんな風にゆっくり話すの、変な感じですね?」
「クス、そうだね。それに・・・」
「?」
「最上さんがいつもと違って見えるし。可愛いね、その服。」

や、やだ!私の顔きっと今真っ赤だ・・・!ありがとうございます・・・って言いながらミルクティー飲んでごまかしてみたけど・・・。

「あ、そうそう、今日ね、俺の先輩に当たる人も来るんだ。社さんっていう数学教えてる先生でね。」
「あ、そうなんですか?・・・もしかしてその人メガネかけてらっしゃいます?」
「あれ?どうして知ってるの?」
「今、モー・・・琴南先生と一緒にこちらに向かってきている方がそうかな・・・って。」

―――――カランッ・・・

「すみません、遅くなって。」
「モー子さん!!・・・・・・・・・っあ・・・。」

し、しまった・・・。モー子さんって叫んじゃった・・・。

「「モー子・・・・さん??」」

あぁ・・・やっぱり!敦賀さんも社さんと思われる人もビックリしてる・・・。それにモー子さんは・・・ひぃぃ!?怖い顔ーーー!!!

「キョーコ!!あんた!!あれほど人前でそのあだ名で呼ばないでって言ってるのにーー!!」
「ご、ごめーーん、モー子さん!!つい・・・」
「もーー!!“つい”じゃないわよ!!」
「まぁまぁ・・・なんで琴南先生がモー子さんなのかは後で聞くとして、移動しようか??」

そう敦賀さんがなだめて(?)くれて、私達は喫茶店を出た。そこで社さんと自己紹介をし合って、喫茶店の裏にある駐車場に行ったんだけど・・・

「はい、どうぞ乗って?」

と、敦賀さんがドアを開けたのは真っ赤な外車で・・・。

「えぇ?こ、これ、外車ですよね!?」
「あんた、ポルシェっていう車の名前ぐらい聞いたことあるでしょ?」
「あるけど・・・・・・え!?これ、ポルシェなの!?うわぁ・・・すごいですぅ・・・。」

敦賀さんったら、マンションの最上階に住んでるだけじゃなくて、車も外車だなんて・・・。なんだかスゴイ・・・。

「一番すごいのは、これで学校に通勤してきてるってことなんだよね。」

俺だったら生徒が車に何かするかも・・・って心配で心配で無理だね・・・という社さんに皆が笑う。とりあえず、敦賀さんの車に乗って目的のレストランへ向かった。車内での会話がとても楽しくて、敦賀さんと一緒にいてもそれほど緊張しなくなっていた。

エレベーターの中では見ることのできない敦賀さん・・・。

社さんやモー子さんから聞く、敦賀さんの学校での意外な一面・・・。

もっと、もっと知りたい・・・。

敦賀さん・・・。
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