荒川アン〇ーザブリッ〇でいってみよー!第三者視点

かなり不思議な世界を描いた漫画を映画化するにあたり、配役は一向に決まらない。
特にシスター役にはこだわりたい。
シスター姿の似合うガタイのいい美形なんぞ芸能界広しと言えどもにも、そうそういるはずもなく、彼ならばと満場一致で推したのが、今や日本を代表する人気俳優敦賀蓮だった。
コメディー映画の脇役にと思うと躊躇われるが、彼しかいないのだ。
アポを取り、この映画の事、彼にやって貰いたい役について語ると敦賀君は「面白いですね。ぜひ、やってみたいです。」と言ってくれた。
だが、他もまだ配役は決まっていない。
主人公とヒロインはオーディション選考するつもりだが、やはりここも手は抜けない。
そして彼の相手役のマリアだが、これも問題だ。
敦賀君を相手にしても冷徹にあしらう役柄。
演技中に彼に見惚れてしまわないというのは役者として当然だが、逆に惚れ込ませなければいけない。
候補としては、やっぱり、京子かな。
DARK MOONの未緒で印象的だったのに打ち上げパーティーでの姿は17歳とは思えない程に大人びていてしかも美しかった。彼女なら大人の女性でも演じきれるかもしれない。
イギリスからシスターを追いかけて来た孤児の女の子ステラも、その辺の子役では無理だ。
せっかく敦賀君が出てくれるのだ。
とことんまで、こだわってやると決めた。



特急で出来た彼の衣装を持って敦賀君に会いに行った。
「この映画はコメディーだ。だけどね、それだけに難しいところもある。実写化すると面白みが減るっていうのが、世間の評価だ。そんな風にはしたくないんだ。俺の好きな漫画だからね。」
「そうですね。」
「配役もこだわりたいんだ。」
彼に合わせて作らせたシスターの衣装。
彼はイメージ通り……それ以上に着こなしてくれた。
そんな彼に問う。
「敦賀君が共演したい役者はいるかな?同じ役者の君が奨める役者なら間違いないと思うんだ。」
そう、彼の人選なら間違いない。
「そうですね。……京子さん、彼女ならどの役でもキッチリこなしますよ。あの子はやれる役の幅が広い。ご存知の悪鬼の様な女性から清らかな天使、無邪気な少年まで。彼女は役を選ばない。俺のイチ押しです。」
柔らかく笑う敦賀君。
やっぱり彼女か。
俺の描く混沌としたキャンバスの中に、兆しが見えてきた。
そうこうしているうちに応接室の外が賑やかになっているのに気付いた。
「ああ、うちの社長からクリスマスの差し入れがあるって言っていたので、多分それですね。」
「ああ、そうか。クリスマスだったね。すっかり仕事人間になってしまって……。敦賀君にも予定があったかな?申し訳ない。」
「いいえ。大丈夫ですよ。あっ彼女もいるはずですから、ちょっと待っていて下さい。」
そう言って席を立った敦賀君。
彼女とは京子さんの事らしい。
敦賀君がドアを開けると明るい声聞こえて来た。どうやら、ケーキが配られているらしい。
LMEは景気がいいな。



この後、何が起こるかなんて予想もしていなかった。
しかし、これがLMEなのだろう。



「蓮にも残して置いてくれる?」
そんな声が聞こえて来た。
「最が…「敦賀さんには用意していないですよ。」
敦賀君の呼び掛けに愛らしいよく通る女の子の声が完全に重なった。
「「「「「「「「えっ?!………。」」」」」」」」
居合わせた全員分の驚きの声と、立ち尽くす敦賀君。
そんな敦賀君に気づいた様子の彼ら。
席を立ち事務所の中を窺おうとしたが、戸口に立つ敦賀君の身体に塞がれて確認出来ないが、声なき絶叫が聞こえるような………。
「れっ蓮?」
これは彼のマネージャーの声だ。
打ち合わせも一段落し、さっき松島主任に呼び出されて応接室から出ていったのだが。
「…………。」
担当マネージャーの声にすら無反応な敦賀君。
「敦賀さん、いらしたんですね。あら、どうしたんですか?」
さっき敦賀君には用意していないと明るく答えた女性の声。
「…………。」
その声にも反応しない。
「変わったお姿ですね。お似合いですよ?」
「…………。」
事務所内がピキーンと凍りついたように思えた。
「蓮?」
「…………。」
「蓮君?」
「…………。」
「蓮っ!!息をしろーーーっ!!」

敦賀君……息してなかったのか。
……って、ええっ!?

「敦賀さん。どうなさったんですか?」

どうなさったんですか?じゃないから!



そして………。
ふっと、何が切れたように蓮の身体が傾いて、重い音立てて、後ろに倒れ込んできた。
そんな彼をつい避けてしまった。
いや、この体格を受け止める自信はないし!!



「きゃーっ!!敦賀さぁん!!どうしちゃったんですかぁっ!!」
敦賀君にショックを与えたらしい元凶の女性が事態に慌てて駆け寄ってきた。
「もう、ごはんちゃんと食べないから、こうなるんですよっ!!敦賀さんしっかりして下さぁい。」
いや、原因はそこじゃないだろう。
敦賀君を抱き起こし、膝の上に抱き上げた彼女。
「敦賀さん、どっか変なとこぶつけたりしてないかしら?」
さわさわと後頭部を撫でてみたり、ペタペタと身体触って確認している。
「ふぅ。こぶとかは無いみたい。息もちゃんとしてるし。」
さらには彼の口元に頬を寄せて呼吸を確認。
確認するなら他にも方法があるんじゃないか?
そして彼女は次なる行動に出た。
「すいません。敦賀さんをソファに運んで下さい。」
まぁ、そうなるだろう。
彼女はこちらにも申し訳なさ気に頭を下げて、「ソファお借りします。」と告げてきた。
だが、敦賀君を休ませて上げるのだろうと思いきや彼女自身が腰掛けた。
敦賀君を運ぶべく集まった面々の目も点になる。

「ここにお願いします。」

彼女は事もあろうにミニスカから伸びる生足を指さした。
それって、ひっ膝枕?
今日ここに来たのは僕だけではない。
『ミニスカの生足に膝枕。角度によっては危険なアングルに……。』
この場に居合わせた当事者以外の全員が、そう思った事だろう。
「敦賀さん。きっとお疲れなんですね。モー子さん、天宮さん、私しばらく敦賀さんにお付き添いますから、後、お願いしますね。」
彼女は天然なのか。
確信犯の小悪魔なのか。
「キョーコちゃん、本当にいいの?」
「はい。慣れてますから!」
「「「「「「「「はぁあっ!?」」」」」」」
”慣れてますから”の明るい声に全員が声を飲み込む事を忘れ果てた。
「キョーコ!慣れてるってあんた、どういう事!?」
「まさか……いつもそんな事を!?」
「モー子さんも天宮さんもびっくりするわよね〜。敦賀さんったら枕がないと眠れないって言うのよ。」
どうやら、天然らしい。
『嘘だ。絶対嘘。この子騙されてるよ〜っ。』とどの顔も訴えていた。
「子供みたいですよね?」
いや、大人の願望が確実に入ってるよ、それ。
「疲れてらっしゃるみたいだから、少し休ませてあげないと。」
聖母マリアの如き穏やかな微笑みを浮かべ、気を失ったままの敦賀君を見つめる。



まるでラブラブの恋人達の様なその構図。
冒しがたいその雰囲気に飲み込まれまいと敦賀君のマネージャー達と一緒に室外へと出た。
「お見苦しいところをお見せして申し訳ありません。あの……本当に申し訳ないのですが、オフレコでお願い致します。」
松島主任が詫びを入れつつ、黙秘を願い出てきた。
「彼女……どこかで見た事があるですが。キョーコ……さん?あっもしかしてDARK MOONの未緒役の京子さん!?」
「……今のところ、蓮の片想いのようなので。そっとして置いて上げて下さい。」
『『『『『『『『かわいそうだからっ!!』』』』』』』』
松島主任の背後に控えた面々が、目で訴えている。
だけど、そんな事はどうでも良かった。
「見つけたっ!俺のマリアッ!!」
「「「「「「「「は?」」」」」」」
「京子さんにもオファーを出しますので、よろしくお願いしますよ。松島主任。」
「監督?」
「そして、シスター役はやっぱり君しかいないよ。敦賀君!!」



即席で用意してもらった席で京子さんがプロデュースしたというケーキをご馳走になった。
甘いものは苦手だったが、不思議と食べられてしまった。
実に旨い。
こちらの存在をわすれたのか、バレたからいいと思っているのか、彼らの敦賀達についての会話は続く。
「ところで、最上君はなんで『蓮の分は無い』なんて言ったんだ?」
確かに……。
「「……あっ……。」」
「なんだ?社?琴南君?」
「朝から、蓮、妙に機嫌が良かったよな。」
「うちに泊まりに来ないかって誘ったら、予定があるって、キョーコが。」
「「「「「「「………。」」」」」」」
「もしかして、付き合ってるの……か?」
「いえ、それは無いと。相手はキョーコちゃんですよ?」
「「「「「「「………。」」」」」」」
「明日はキョーコの誕生日ですよ。何か意図が見えてくるのは気のせいでしょうか。」
「「「「「「「ヘタレ卒業する気になったとか?」」」」」」」
「いや、蓮だから、それは……。」
そうか、敦賀君はヘタレなのか。
ますます、世界が広がっていく。
「監督、いけそうですね。敦賀君は素のままで。」
同行していた脚本家の言葉に大きく頷いた。




《おまけ》



しかし、LMEはさすがだな。
次々と配役したい人材が見つかる。
彼女は最近話題の琴南奏江さんじゃないか。
ん?隣の彼女は天宮千織……こんなところで何を。
後で聞いてみたら、三人はLOVE ME部というなんでも屋的部に所属していて、天宮さんにいたっては京子さんにひかれて事務所の了解を得て在席させてもらっているらしい。
三人とも売れて来ているというのにそれを鼻にかけもせず、ケーキを社内に配給してまわるなんて、なかなかできる事じゃない。
そんな彼女達に今回の映画の話しをしてみた。
二人ともいい返事が帰ってきた。
なかなか好調じゃないか。
問題はステラか。
かなり難しいぞ。



それも解決策はLMEにあった。



日を改めてローリィ社長に挨拶と報告に伺った日のこと。
廊下の向こうに敦賀君と京子さんがいた。
「蓮様〜。お姉様〜。」
そこへ現れた一人の少女。
「「こんにちは、マリアちゃん。」」
敦賀君と京子さんの元に駆け寄る少女。
そして、少女は敦賀君に抱き上げられた。

「…………。」

この構図は………。

「お姉様。最近お忙しくて寂しかったですわ。」
「マリアちゃんが来ると聞いていたから、お土産持って来たのよ。」
「まぁ!嬉しいですわ。」
京子さんの事も慕っている様子で。
こちらの存在に気付いた敦賀君が、少女を腕に抱いたままこちらに向かって歩いてきた。
もちろん京子さんも一緒で。

………これは、いや、これだ!!

「おはようございます。監督。」
「おはようございます。」
「まあ、お客様ですのね。失礼致しましたわ。ご挨拶しなくては。」
敦賀君の腕から降りた少女は社交界デビューの淑女の様に挨拶をしてくれた。
宝田社長のお孫さんらしい。
子役では無い事に残念に思ったが……諦めてなどいられない。
簡単に諦めてなどいられるか!!
最高の配役、最高のスタッフで望んでいるんだ。
もう妥協なんかしない。
何が何でも叶えたい。
何が何でも。



「蓮様とお姉様と一緒にいられるなんて嬉しいですわ!」
意外と簡単に許可は降りた。
宝田社長曰く、「マリア…孫は素人ですが、よろしいのかな?」との事。
それは承知の上だ。
滑舌は問題無い。
演技は、敦賀君と京子さんがフォローしてくれるだろう。
勝算はあるのだ。
「彼女でなければ他に誰もいません。是非、お願いします。」
「マリアがいいなら、俺は構いませんよ。」
どこかの国の王様の様な姿をした宝田社長が、承諾してくれた事に歓喜した。



イケる!
この映画はイケるぞ!!



初顔合わせの日。
名優、個性的な役者が一同に集まった。
ヒロイン役に天宮千織さん……オーディションを受け、自力で勝ちとってくれた。
琴南さんは演じる役になりきっての登場……キャリアウーマンそのものだ。
そして誰よりも輝きを放っていたのは、敦賀君と京子さんだった。
宝田社長のお孫さんを間に挟み、いい雰囲気を保っている。



この映画ヒットする。
いや、させてみせる!
必ずだ!



当初、原作通りに進めていたが、京子さんとのシーンの後敦賀君の憔悴しきった様子に念の為用意していた原作には無いシーンを差し込む事にした。
京子さんが演技というものを感じさせない成り切り様に、さすがの敦賀君も本気で凹んでいるらしい。
昔の二人の回想シーンは全てラブシーンに変えた。
DVD・ブルーレイ初回盤に付けるつもりのシーンは全て二人のシーンで、それを混ぜ込みながら撮影した。
「シスター。ワシは兄弟(下僕)が欲しい!」
「わかった。マリアに頼んでみる。」と深夜出掛け敦賀君。
「ステラちゃんのお願いなら……。」と承諾するシーン等盛り込んだ。
DVD・ブルーレイの初回特典については恋人時代の甘々な二人(機密を漏らしてしまうまで)の話しだ。
後で纏めて撮影するつもりが、敦賀君の精神的ダメージ緩和の為に取った苦肉の策。
だいたい、次の日には艶やかな顔で現場に現れる。
そして、そばにはお疲れ気味の京子さん。
それに対して、周囲は何も言わない。
だが、今こそ言わせて貰うよ。
敦賀君……正直者だね、君。
幸せ満喫した後なのがよく分かるよ。



無事にクランクアップ。
映画はヒットし、DVD・ブルーレイも飛ぶ様に売れた。

クランクアップ後、体調不良で一時休業していた京子さんが、敦賀君に付き添われマタニティドレスで試写会に現れた時には会場中大騒ぎ。



俺の監督人生で、最高の撮影になったよ。
コメディーでここまで人気を博すって並じゃないよ。
大抵は恋愛ものやアクションものに食われちゃうからね。



最高の映画にしてくれてありがとう。
また、いい映画を作ろう。
何よりも、おめでとう。
幸せにね。








荒川ネタこれにて完。
お粗末でした。
いとおかし!!



月華



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