SAVE ME !?

夜更けの電話。
ディスプレイには社長のの文字が表示されている。
……嫌な予感がする。

「はい。蓮です。こんな時間に何かありましたか?」
「ああ、いい事を教えてやろうと面ってなぁ。」

やっぱり嫌な予感……予感じゃない……確実に何かある!

「最上君だが、今お前がいるスタジオのすぐ真下にいるぞ。」

こんな時間に?
もう12時を回っているのに。

「撮影が長引いてな終電に間に合わなかったらしくてな、貴島君が最上君を送っ……。」

気付けば……スタジオを飛び出していた。
勢いで、閉じてしまった携帯。
社長は今頃、切れた携帯を片手にニヤニヤ笑っているに違いない。
まんまと社長の言葉に乗ってしまっている。
完全におもちゃだ。
こんな自分が心底嫌だ。
だけど、躊躇っている余裕なんかなかった。

『最上さんが危ないっ!』

それしか頭には浮かんで来ない。
すぐ下の階なら、階段の方が早い。
急いで階段を降りて廊下を駆け抜けた。

「貴島さん。タクシー使いますし、大丈夫ですよ。」
「いいから。さぁ行こう。」

そんな会話をしながらスタジオから出てきたのは最上さんと貴島君。

「最上さんっ!」

もう……余裕なんてカケラもない。

「あっ、敦賀さん。」

びっくりしたような顔の最上さんと。

「チッ……。」

馴れ馴れしく彼女の肩を抱いた貴島君。
……貴島君……今、舌打ちしたよね?
ぶつかり合う視線。
止めてくれないかなぁ……そんな風に彼女に触れるの。
……君は知らない。
俺と貴島君の間で激しい火花が散った事なんて気付いてさえない。
ただ、いつものようにふわりと微笑んで、いつものように挨拶をするだけ。

「お疲れ様です。こちらでお仕事だったんですか?もしかして…これから?…急がれているご様子でしたけど。」
「社長命令だよ。”君を送り届けろ”ってね。……迎えに来たんだ。」
「ええっ!?すっすすすすすすいません!敦賀さんにまでご迷惑を〜〜っ。」
「同じテレビ局にいたんだからいいんだよ。仕事も終わったしね。……そういう事だから、貴島君、彼女の事なら心配いらないよ。本当にありがとう。さぁ行こう、最上さん。」
「はいっ!貴島さん、ご心配ありがとうございました。」
貴島君の腕から自然な動作で抜け出した最上さんは、礼儀正しくペコリと頭を下げて俺の横に並んだ。
……最上さん……妙に慣れてない?
以前から、こんな風に絡まれていた経験があると?
そういえば、彼女は老舗旅館で働いていたんだっけ。
旅館となったら当然、質の悪い客や酔っ払いもいたはずで……。
後で聞き出さなきゃ。

「それじゃあ、お疲れ様。貴島君。」
「お疲れ様でした。」
「…オツカレサマ。」

いかにも面白くありません的な顔の貴島君を残し、その場を去る。
もちろん、さりげなく彼女の肩を抱いて。
”彼女は渡さないよ”……そんな意思表示を込めて。
相変わらず、無防備な君。
貴島君が……いや、俺を含めた世の男達が何を考えているかなんて知りもしない、疑いもしない君。
君なんか、放っておいたら、餌食になる事間違い無しだ。
身近に危険が迫っていてさえ、君は全く分かってない。
俺だって危険な部類に入る……いや多分、危険の最たる存在なはずなのに、そばにいて最も安全な人間と信じて疑わない。
君にとって、俺と君の関係は”先輩後輩”の間柄でしかない。
君が余りも無防備過ぎて、無自覚過ぎて、手が出せないでいる俺。
恋を自覚して振り回されているのは俺だけなの?
冗談じゃないよ。
”惚れた弱み”って言うけど……冗談抜きで笑えないから!!
いい加減に俺を見てよ。
さっき何も言わずに飛び出してきたけど、社さんには社長から連絡がいっているだろうな。
きっと、ニマニマ笑いながら楽屋で待っているに違いない。
まぁ、いいけどね。
俺は彼女を連れて楽屋へと向かった。
最上さん。
俺をこんな状況に追い込んでるのは君なんだよ。
だから俺を救えるのは君だけ。
お願いだから、俺を見て。
俺を意識してよ。
頼むよ。
SAVE ME………



今週末はオフ。
ロケが延期になって、ぽっかり空いた予定。
社さんの調べでは最上さんもオフのはず。
学校も休み。
一緒に過ごしたくて、食事を口実に連絡したけどつながらない。
時間を置いても……つながらない。
連絡が取れないまま、俺のオフが終わる。
君に逢いたかったよ。
せめて声が聞きたかったよ。
だけど…次の日も連絡は取れなかった。
その次の日も……。
さすがにおかしいと思って、椹さんに確認したら……バラエティー番組のロケで地方にいる……と。
社さんは最上さんに直接予定聞いたんだよな。
予定を忘れていた??
何故だか椹さんの様子もおかしい。
いかにも口を滑らしましたという感がある。
もしかして隠してる?
……隠す必要があるようなロケってなんだ?

「危ない仕事じゃないんだ。最上君がどうしても公表したがらないんだよ。せっかくのレギュラー番組なのに。あの子らしいと言えばらしいけど。……もしかすると、今まで自分が演じてきた役のイメージを壊したくないのかもしれないな。……好感度があるから大丈夫だって言っても聞かないんだよ。」

椹さんも彼女の考えはわからないようだ。
謎は深まるばかり。
何故隠す?
君はいったい、どこで何をしているの?
今は俺の目に届かない場所にいる君。
最近、『綺麗』とか、『かわいい』とかいう評価が増えてきた君。
君の魅力は俺だけが知っていればいいと思っていたのに……今では多くの人達が意識するまでになった。
一人離れて沖縄で撮影があった時の事を思い出すよ。
不破のプロモに出ていた君の評価と君をかわいいと言った男がいた。
君をつけ狙う怪しげな男の存在もある。
不破は君を自分の物だって言い張ってる。
貴島君だって、すっかり君に夢中だ。
撮影現場で綺麗になった君が微笑む度にライバルは増えていく。
本気で動揺したよ。
君はもう俺だけの女の子じゃないんだって思い知らされたから。
ここまで慌てる羽目になったのは、人生初だよ。
俺……後、どのくらい辛抱出来るかなぁ?
もう頼むから、そんなに無防備な状態でふらつくのは止めてくれない?
今まで、みたいな付き合い方だったら、知らん顔でいれたかもしれない。
少なくとも過去の彼女達は、君よりはるかに自分自身を知っていたし、自分を守る術も持っていた。
フラれ続けた原因でもあるけれど、俺が何もしなくたって自分で危険を回避していたよ。
なのに君ときたら、自分から危険な事に足を突っ込んでニコニコと笑ってる。
有り得ないだろう!
一人暮らしの男の部屋に来て、料理して、遅くなったら泊まる、風呂にも入る。
有り得ないだろう!
挙げ句の果てに、俺を相手にキスシーン練習がしたいと言い出した君。
……あの時は役得とか思ったけど、すぐに後悔した。
有り得ないだろう!
何度も何度も何度も何度も何度も…………何度も、好きだと囁いて、熱い目や潤んだ目で見つめておいて、自分から抱きついてきておいて、後数ミリまで迫っておいて、……キス寸前までさせておいて………俺の理性の糸を少しずつ削っていくんだ。
有り得ないだろう!!
何度、君の吐息を感じたと思ってるの?
誰か教えてくれよ。
これがただの……普通の……”先輩と後輩”の仲なのかっ!?



こんな俺を少しでも大切だって思うなら、助けてよ。
俺を救えるのは君だけなんだから。
君の存在だけが……俺をこの状態から救い出してくれる。
君にとって、俺はどんな存在なのかよく考えて、俺に話して聞かせてよ。
君は先輩だったら、誰とでもキスの練習なんかするの?
男の部屋に上がり込んで平気なの?
俺ならOKって……それ……答えじゃないの?
君は絶対に本心を隠してるよね。
本当の君に触れたいよ。
心も身体も触れ合っていたい。
俺の命の時間はもう君を思う事に費やされている。
君が俺を支配してるんだ。
気付いてよ。
わかってよ。
本当の気持ちを言ってよ。
今すぐに君が俺のものだってわからせてよ。
俺には君が必要なんだよ。
君は俺をバラバラにでもする気なの?

『有り得る………。』

へぇ……そう。

分かったよ。
このままじゃダメなんだな。
それなら俺にも考えがあるよ。
最上さん……次に会った時が楽しみだね。



今更、年甲斐もなく初恋にはまって身動き取れなくなるなんて……想像もしてなかったよ。
こんなにも君を好きになるなんて思わなかった。



今度会ったら、次こそ……キスしよう。
練習じゃなくて、本当のキス。
できれば、キス以外の事も。
ね?……俺、もう限界なんだよ。
もう…………。
俺をこんな風にしたのは君。
だから、責任とって?



俺がある決心をしたこの日、仕事は順調に進み、かなり早く終えられた。
というか……終わらせた。
社さんには『落ち着け。』とか言われたけど……怖いくらい冷静になっていたりするんですよ。
それとも……麻痺しているだけなのかなぁ。
椹さんから強引に聞いた帰りの時間。
何とか間に合って、空港のロビーで待つ。
不思議な事に、誰も俺に近寄る存在は無かった。
いつもなら、追い払っても追い払っても、コバエのように群がって来る鬱陶しいファンもいない。
珍しい事もあるものだ。
それよりも今は彼女の事。
今日、彼女と行動を共にしているのはブリッジロックとか言ったけ?
……男だよな。
とにかく早く帰っておいで。
最上さん。



賑やかな一団体が視界に入る。
見つけた。
彼女だ。
また、男達に囲まれてる。
特に彼女の隣を陣取る背の低い男。
確実に彼女目当てだ。

「キョーコちゃん。お疲れ様。」
「皆さんも、お疲れ様でした。」
「リーダー、車、置いてるんだろう?キョーコちゃん送ってやりなよ。」
「そんな、いいですよ〜ぉ。光さんも疲れてらっしゃるでしょうから、まっすぐ帰って休んでください。」
「俺なら大丈夫だよ。全然疲れてないよ。だから遠慮しなくていいよ。ねっ。」
「そうですかぁ……じゃあ……あれっ…慎一さん達はご一緒じゃないんですか?」
「俺達はマネージャーの車で帰るよ。」
「じゃ、またね、キョーコちゃん。」
「はい。お疲れ様でした。」

そんな会話を交わす彼女らに近づいた。

「お帰り、最上さん。迎えに来たよ。」
「ほぇ??……つ…敦賀さん?」
「荷物。持つよ。ご飯は帰ってからでもいいよね?」
「敦賀さん??」
「あぁ…でも食材がないから、買い物しないとね。」
「敦賀さん!帰るって………ど…どちらに?」
「マンションだけど?俺の。」
「あなたが帰る所はそこでも、私の帰る所は”だるまや”です!」
「君が、この間忘れていった洗濯物……ゲストルームにおいてあるよ。」

それは演技指導に余念のない彼女が泊まりがけでうちにやって来た時のもの。
彼女にとっては”ただの忘れ物”でも、周りはどう取るかな?
ほら……君を送ろうとしていた彼なんて、顔が赤から青へ、青から赤へと信号機見たいに変わってるよ。
可愛そうにね。
失恋を悟った顔をしてる。
それには全く気づかない君は、更なる追い討ちをかけるんだ。

「いやぁーーーっ!しっ下着っ!ととととっ取りに行きますっ。すぐに行きますっ!!それでは光さん、私用事が出来てしまいましたので、これで失礼します!!行きましょう。敦賀さんっ!!」

ほらね。
君……自分で俺との関係確定しちゃったよ?
この後、どうなるか楽しみだね。
俺は彼女の肩を引き寄せた。



「いぃぃぃーーぃやあーーーーーーぁっ!どういう事ぉーーーーーっ!?」
彼女の叫びがマンションに響き渡る。
彼女の手には週刊誌。
マンションの下には報道陣。
不思議な事に、わざわざ彼女の肩を抱いて歩いて見せたのに、写真一枚無い。
すべて空港で俺達を見かけた人達の証言を元にした内容で埋め尽くされている。
芸能関係者の証言記事も載っていた。
俺が彼女に言い寄る男達を牽制して回っていたとか、キョーコの天然ぶりに俺がブチ切れて、こんな行動に出たんだろうとか……当たってるけどね。
敦賀蓮、初のスキャンダルの相手たる彼女は、こんな事になった今でも、俺を男として認識していない。
もう本当にいい加減にして欲しいよ。
ねぇ、俺を見て。
頼むから俺を意識してよ。
もう…………限界。
ソファに腰掛けたまま、手を伸ばして、彼女を引き寄せた。
バランスを崩して、俺の胸の中に倒れ込む彼女。
そんな彼女の耳元に唇を寄せて、熱い思いを囁いた。



「最上さん。好きだよ。だから……俺のものになりなさい。」



真っ赤になって、固まる彼女にキスをした。








修正しました。
でも、駄文なのは変わらず。
大好きなB'zの曲での妄想でした。

ではまた。



月華
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1 ■キタ!「俺のモノに…」

コレコレ~っ!

ぐらぐら、ぐつぐつ煮詰まって、挙句にこの一言!

でもちゃんと根回ししてる蓮さんが、ちょっと可愛いv
キョーコちゃん、も、いい加減あきらめて、認めちゃいなさ~い( ´艸`)
だって、蓮サマ「はい」の答えしかきかないよ~!

ぽちさん、ステキなものを読ませていただいてありがとうございましたv

2 ■よかったぁ(T-T)

>だぼはぜさん


そういって頂けると安心ですぅ。
……だってね……この曲で蓮キョ妄想しようなんて、誰が想像するよ的なチョイスな気がして、反感くらいそうで……こわかったぁ。

………あはは。

この手の妄想なら山とある。

『僕のモノに……なりなさい』のフレーズは是非とも言わせたいですよね。

どうもお粗末様でした~。

3 ■無題

私、B'Zファンなんで歌詞妄想が結構嬉しいです。
ブッ壊蓮もかわいいですよね~

4 ■はじめまして。

>ことのひめさん


B'zいいですよね。
私も大好きです。

歌詞がいいですよね~。

ぶっ壊蓮さん……かわいいと言って下さってありがとうございます。
うれしいです。
プロフィール

げっか(月華)

Author:げっか(月華)
蓮キョ大好きです。
駄文しか書けませんが、よろしくお願いします。

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