恋心 Lesson7

甘ったるいバニラの香り。
だけど思う程には甘くない恋の味。
じれったくて、ほろ苦い恋模様……。



本当なら、今頃は受験勉強におわれて朝から、こんなところにいられるような状況ではないのだが……そうとも言ってはいられない。
親友が泣いた。
……私達にとっては一大事だ。
何だかんだ言っても私達がこうして余裕かましていられるのも、『全国模試』で常に上位にランクするあの子のおかげ。
そんな彼女が苦しい恋をしている………何とかしなきゃ。



次の朝、私達4人は理由をつけて早々にキョーコの家を後にした。
キョーコはまたあのカフェに行くだろうから、その前に店に入らなきゃ”こっそり”の意味が無い。
「「「「おはようございます。」」」」
「いらっしゃいませ~。」
「いらっしゃい。来てくれてありがとう。君達も受験生だろう?……すまないね。」
「いえ。キョーコの事ですから。こちらこそすいません。あの子泣き出しちゃって……。」
「いやいや……脈ありってわかったからね。よかったよ。……千織ちゃん。」
「はぁい。皆さん、こちらにどうぞ。」
千織さんに案内されたのは店内の奥に位置する席だった。
「もう少しお待ち下さいね。……皆さん、朝食まだですよね。今、お持ちしますね。あっサービスですから。」
「えっ……?」
「朝食抜きはいけませんよ。」
私達はありがたく頂く事にした。



程なくして四人分のホットサンドとサラダとスープが届く。
「……どんな人なんですか?」
「今に来ますから、どんな人か確かめて下さい。……私……キョーコさんの涙を見たくないんです。だから力を貸して下さい。」
「……キョーコは親友ですから。あの子の為になるなら……。でも相手次第です。」
「奏江に同じく。」
「でも、キョーコ……もう恋しちゃってるし、何とかしてあげたいな。」
「先輩…男運……良くないし心配です。」
「悪い人じゃないですよ。でなきゃ私達こんな事しませんから。ただ、問題があって……。あっそろそろ来る頃です。その前に召し上がって下さいね。」



調度、食べ終わった頃にカランというドアベルの音がした。
「いらっしゃいませ~。」
「いらっしゃい。」
「おはようございます。マスター、千織ちゃん。」
どこかで聞いた事のある声だった。
入り口付近はカウンターの陰になって私達の席からは人物を窺う事はできない。
「先生。……キョーコちゃんならまだ来てないよ。」
「マスター。……彼女の事なんて聞いてませんよ。」
「店に入るなり、彼女のいつもの席を見ただろう?」
「…………。」
「告白すればいいだろうに……。」
「何度も言いますが、簡単に言わないで下さい。」
……ホントにヘタレだわ。
「あれだけかわいい子……いつまでもフリーでいると思います?横から掻っ攫われても知りませんよ。先生。」
……先生……さっきから、マスターも千織もそう呼んでいるのが気になる。
そういえば、この声……どっかで……。
「彼女は大事な生徒です。……教師の俺の立場では告白なんてできるはずないでしょう……。」
教師?生徒?
ちょっと待ってよ!
その声、まさか………。



声の主が定位置とおぼしき席につく。
背の高い男性。
シャツにジーンズというラフな姿。
ボサボサの頭が寝起き感たっぷりで、かえって色気を醸し出す。
顔はかなり整っていて、あまり度の入っていなそうな眼鏡が知的な雰囲気を添える。
一見、見知らぬ男性風だが、”声”と”先生”という呼び掛けで、自分達もよく知る人間にぶちあたる。
そこにいたのは、数学教師の敦賀蓮だった。
「「「「っ!!!」」」」
(ちょっとどういう事よ。)(知らないわよ。)(なんで敦賀先生がここに?)(先輩…なんだか恐ろしく事態は単純だった気がしますぅ~。)
キョーコの片思いかと思っていたら、実は両思いと判明したのは昨日。
去って行く姿をガラス越しにちらっと見ただけで、誰かまでは分からなかった。
今日こそ、どんな男か確認してやると思ったら……。
『『『『こんなとこでまで何やってんのよ。あのヘタレ教師っ!!!!』』』』
「嬢ちゃん達。一応弁解しといてやるが、あの先生。このマンションの住人だぞ。」
「偶然、好きな子の隣のマンションだっただけ。ストーカーじゃないから安心していいよ。」
「僕が書く小説よりもよっぽど運命的だよ。」
「いい題材を見つけたわよね。」
私達の席のさらに奥、常連さん達が一つのテーブルを陣取り、小声で話し掛けてきた。



カランカランとまたドアベルがなる。
「こんにちは……。」
キョーコの声だ。
声からして、おずおずと中の様子を見ながら入店しているのが安易に想像できた。
先生も気づいた様子だが、ピクリと反応しただけで、平静を装い、本に目を通している。
……きっと文字なんか頭には入っていないだろう。
読めるはずがない。
ブックカバーでキョーコからはわからないだろうが、ここからは微妙に中が見える。
本来、綺麗に揃っている文字列の先頭が、棒グラフみたいに山と谷を作り出している。
……本が逆さだ。
「いらっしゃい。」
「昨日はすいませんでした。」
「キョーコちゃんが元気になったなら、それでいいよ。……さて、いつものでいいかな?あっ、そうだ。キョーコちゃんに教えてもらったレシピで、朝食用のセットを作ってみたよ。キョーコちゃんも味をみてもらえるかな?今日は……常連客にも食べてみてもらうつもりなんだけどね。」
「えっ?」
私達の位置からはキョーコの姿は見えない。
逆を言えば、キョーコからは私達の姿は見えない。
そんな中キョーコは店内の唯一の常連客のテーブルに、モーニングセットが運ばれていくのを見ただろう。
「味も見た目も再現出来たと思うけどね。」
自分が作ったものと変わらない朝食メニュー。
自分の恋する男の元へと運ばれるのを、きっと複雑な気分で見ているに違いない。
一方、敦賀先生はと言えば。
当然ながら話しはばっちり聞こえているだろうし、サプライズに内心ものすごく喜んでいるんだろうなという事が見て取れた。
キョーコには見えないように顔を僅かにそらしたけれど、私達からは丸見えだったから。
顔が緩んでる。



それから二人は、それぞれの席で互いに意識しながら、時間を過ごしていた。
マスターに感想を聞かれた先生は、満面の笑みで「美味しいですよ。」と応えていた。
それを聞いたキョーコは僅かに頬を染めて、自分のプレートに手を伸ばしていた。



そんな二人が店から去った後、残った私達は……。
「お嬢さん達。悪い男じゃないのは照明できたと思うんだけど、どうかな?君等に大切なお友達の彼氏にとってもオススメな物件なんだけど?」
「春から、あの調子なんだぜ。俺はじれったいのが苦手なんでね、そろそろ何とかしてほしいのさ。しかし、キョーコちゃんも正体に気づかないなんて、相当大物だな。」
「協力してくれないかな?このままじゃ、僕も新作に手をかけられない。ラストはハッピーエンドがいいからね。」
「今時、あんな純情青年いないわよ。いるとしたら、フィクションの世界くらい。キョーコちゃんもあんなだし、二人とも天然記念物だわ。お似合いだと思うわ。」
何やってんのよ……敦賀先生。
でも、そんな先生になら、キョーコを任せてもいいのかもしれない。
教師と生徒だからって何よ。
そんなのどうだっていいわ。
あの子が心から笑ってくれるなら。
穂奈美達と顔を見合わせる。
「いいんじゃない?」
「私も賛成。」
「両想いだったんですね。よかったぁ。」
「みんな…異存は無しね。」
私達は決意した。



恋はミルクティー。
混ざり合った二つの想いが色をなす淡い恋の色。





ランキングサイト様に登録しちゃいました。……なもんで、よければ、押して。押して。押して。
スキビ☆ランキング様
↓↓↓↓
スキビ☆ランキング様
入り口

お世話になります。
そしてやるしかない!!!
(」゜□゜)」
あっぽちっと頼むぜ
スイッチオン

………………………こんなときでもお笑い脳。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

1 ■待ってたよ☆

このシリーズがお気に入りな私

B‘zをほとんど聞かない私なんだけど…
いつもラストに使っているのは歌詞からなのかしら?
ミルクティーの使い方がうまいですね。
混ざり合とか色をなすとか
なんとなく私の中の勝手なイメージで
「ミルクティー」って哀しみを癒すもの
なイメージだったけど、イメージ変わりましたよ

ちおりんいい子だなぁ

2 ■Re:待ってたよ☆

>かめ・さん

ども~~。
文頭文末のミルクティはぽっち節です。
B'zの恋心には一箇所にしか出てきません。
「彼女はいつもミルクティ」っていうこの一箇所だけ。
後はひたすらヘタレ先生のもやもや歌詞。
話をしたいけど近寄れないとか、今日の授業はどうしようとか、相談したいけどひやかされるからやめとこうとか、とにかく可愛い曲ですよ。
B'zにしては珍しい曲だと思います。
この曲大好きなんです。

冒頭と文末……もう出し尽くして後がありません。中身できてるのに…前後が出来てなくて停滞中。もう募集したいくらい。笑。

3 ■続き物は大変です

ラストを一般募集して、そこに繋げるとか?

おお、画期的?で斬新だぞっ。
リレー小説みたいだなぁ・・・・楽しいような。大変なような。


冗談はともかく、純情な蓮が新鮮で・・・・イイ。

4 ■いや困ってるのは本文ではなく……

>ネムコさん


一話一話にミルクティーから連想する数行だけなんですよ。
ポエムみたいな数行に悪戦苦闘。
ミルクティーで恋を表現できる言葉……もうないわぁ!!

あるけど……ラストのためにとっときたい(T-T)

後、何話か残ってるのに(T-T)


一応ラストもアフターも決まってるんですけど、……前後の数行が……。

こんな作りにしなきゃよかった(T-T)
プロフィール

げっか(月華)

Author:げっか(月華)
蓮キョ大好きです。
駄文しか書けませんが、よろしくお願いします。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
723位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
二次小説
349位
アクセスランキングを見る>>
フリーエリア

バナーリンク完了
画像つきリンクはバナーをお持ちのサイト様のみとさせていただきました。
私の実力的に無理なんで、すいません。

スキビ☆ランキング様
↓↓↓↓
スキビ☆ランキング様

妄想☆爆走ビート~スキップなんかじゃいられない 妄想☆爆走ビート マサシ様


ド素人のスキビブログ18禁様
ド素人のスキビブログ18禁 氷樹様


艶やかな微笑様
艶やかな微笑 peach tea no1様


桃色無印様
桃色無印 きゅ。様


pink@ピグ様 pink@ピグ きゅ。様


*ソラハナ*様
*ソラハナ* MOKOM様


SKB様

SKB Agren様


THE SACRED LOTUS 天音蓮華様

THE SACRED LOTUS 天音蓮華様


Kierkegaard様
Kierkegaard perorin様


蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」 (風月のスキビだより) 風月様
蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」 (風月のスキビだより) 風月様


サイト名:月と蝶
URL:http://tukitocho.blog.fc2.com/

よかったらアメブロへもどうぞ。
http://ameblo.jp/pochiouji/
月と蝶
携帯でもどぞ。
QR
月にとまった蝶々様カウンター
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる