スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

エレベーター 第二部 (6)

お父様達との夕食は驚きと楽しさと幸せがたくさん詰まったものだった。

敦賀さんのお母様が大皿に品よく盛り付けたデリバリーの料理に交じって、私の作った料理がいくつか並んだテーブル。
プロのシェフみたいにキレイに盛り付けたお母様。
モデルさんみたいにキレイだけど、お仕事はされてるのかしら?
フードコーディネーターとか?
本当にシェフさんだったりして?
そんな芸術品みたいに盛り付けられたお料理の側に慎ましく並べた私の料理。
比べられているみたいで恥ずかしいわ。
敦賀さんは「恐ろしい事になる」って言ってたけど、きっとプロだからこだわりがあって素人の料理する姿とか手順とか食材の扱いにすごく厳しいとか、そういう事よね?
きっと私がお母様に叱られないようにっていう敦賀さんの配慮なんだわ。
私が作ったお料理、食べて頂けるかしら?
凄く不安だわ。
そんな私の不安は食事を始めてから数秒で、あっさりと解消された。

すっ……すごい。
所狭しと隙間なく並べたそれらも、私が圧倒されているうちに半分以下になっていて、その大半はお父様のおなかの中に納まっていく。
この身体のどこに入っていくの?

すごく驚く状況だけどお父様もお母様も笑って下さっていて、とっても和やかで、かつて感じた事のない人のぬくもりを感じられる……そんな食卓を囲んでいた。

これが家族というものなのかしら?

「どれも美味いが、キョーコさん、君が作ったものは格別だな。」
「あの短時間でよく作れたわね。凄いわ。」
「彼女の料理は最高ですよ。……って、父さん!!それは俺の分っ!?まだ食べてないっ!!」

一品だけ大皿ではなく、普通のお皿に人数分用意したお豆腐ハンバーグ。
ヒョイって目の前から奪われて抗議する敦賀さん。
なんだか、かわいい。

「ん?珍しいな、お前が食べ物に執着するとは……彼女の料理で麻痺した食欲が正常になったのか。」
「彼女の料理は別です。それに異常な胃袋をお持ちのあなたには言われたくありません!!」

敦賀さんもご両親にはかなわないのね。

「敦賀さん。こちらをどうぞ。」

私は敦賀さんがお父様にとられてしまったお豆腐ハンバーグを敦賀さんの前に置いた。
これは私が作ったもの。
彼が特においしいってほめてくれた料理のひとつ。
時間がなくてソースにまでは手間をかけられなかったけど。

「それ君のだろ。」
「いいんです。」

だってあなたが喜んでくれる顔が見たいんだもの。
どれも美味しいって言ってくれるけど、これを食べている時の敦賀さんは幸せそうにしてくれるから。

「あなた。初めて見たわ。」
「ああ……。」

えっ?
お父様もお母様もどうしたの?
目を見開いて敦賀さんを凝視している。

「うん。今日のも美味しいね。」

敦賀さんがいつものように食べて……。

「あなた!」
「ジュリっ!私を引っ叩いてくれ!」

はぁ?

おっお母様、なんでそこで構え…お父様も顔を差し出して……。
えっ?えっ!?

……ぱぁーん!
小気味良い平手打ちの音が室内に鳴り響いた。

「あなた、夢じゃないわよ。」
「……そのようだ。」

あっあのっ!!

「既に通常の倍は食べているはずだ。それなのにっ!」
「蓮が貴方に食べ物奪われて拗ねたわっ!」
「どういう事だ?」
「家でさえ、栄養補助食品しかめったに口にしない子だったのよ!」
「昔、好きな食べ物はと女の子に聞かれた時もカロリーメイ◯だって答えていたぞ。」
「そうよ!アメリカにいた時さえ、日本から個人輸入してたくらいよ。」
「家族でアウトドアに出かけた時さえ、それしか口にしなかったんだ。」
「家族なのに同じ食事をしないなんてっ密かに家族崩壊の危機さえ感じていたわ。」

敦賀さん。
あなた、そんな食生活をずっと……。

「あなた!日本ではこんな時はお赤飯炊かないといけないのではなくて?」

お母様…それは女の子の……。

「母さん!今から炊くとか言わないで下さいよ。」
「そっそうだな。次にしよう。私も手伝うから!」

でもお赤飯炊くんですね。

「いいえ!私が一人でやるわ。」
「私には手伝わせてはくれないのかい?愛息子の晴れの日のお祝いなのに。」
「あなた……。」

見つめ合うお二人は美男美女でとても目の保養にはなりますが、ラブシーンは目の毒ですぅ。

「二人とも、止めて下さい。キョーコが引いています。」

あっ!
顔に出てた?
迂闊だったわ!
どうしよう!
敦賀さんのご両親に対して失礼だわ。

どうしよう〜〜!!

「そうだわ!キョーコさん!…いいえ、キョーコと呼ばせてもらうわ!!キョーコ、ありがとう。あなたのお陰で蓮が……。」
「蓮とともに普通に食事ができる日がやってくるとは!なんて日だ!君には感謝してもしきれない。」
「ですから、恥ずかしい事言うのはやめて下さい。キョーコの料理を落ち着いて食べられないじゃないですか!」

敦賀さん。
どんな幼少をお過ごしだったのですか?
というか、あなたが問題視してるところ、ズレてますよ。

これが敦賀家の食卓。

「明日はお買い物ね。苺、買わなくちゃ。」

苺?
デザートですか?
お赤飯からいきなり苺に飛躍?

「何個必要かしら?」

お父様は大食漢ですものね。
お悩みになられるはずよね。

「お赤飯作るのはじめてだから、どのくらい入れたらいいか分からないわ。」

ん?
お母様?

「イチゴジャムの方がいいかしら?」

ちょっ…!?

「ジュリ。日本の赤飯にはイチゴやジャムは入ってないよ。」
「あら、そうなの?」

基本的に入れませんから!!

何と無く分かってしまった事がある。

敦賀さんが危惧していたのはこの事だ。

盛り付けはセンスでプロ並の腕前を見せていたお母様だけど、お料理そのものは人知を超えた味付けをされるのね。
どうしよう。
とんでもない物ができちゃう?
とんでもない量ができちゃう?
私、完食できるかしら?
……ここは助言すべき?
でも角は立てたくないわ。
どうしましょう!!

「父に任せておけば、今回は何とかなるよ。」

カラになったお皿を片付けていた時に一緒に運んでくれていた敦賀さんが、そっと耳打ちしてくれた。

「今日も美味しかったよ。君が作ってくれた物が一番美味しかったよ。ありがとう。」

私のお料理を褒めてくれるのも忘れない。

「ごめんね。しばらく、こんな状況が続くけど許してね。俺も手伝うから。」

敦賀さんは申し訳なさそうにそういうけれど、私は大丈夫ですよ。
敦賀さんのご両親はとてもステキだし、お料理だって褒めて頂けたし、こんな風に過ごすの私の夢だったんですよ。

敦賀さん、ありがとう。





7へ



やっと更新。
スポンサーサイト
プロフィール

げっか(月華)

Author:げっか(月華)
蓮キョ大好きです。
駄文しか書けませんが、よろしくお願いします。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
387位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
二次小説
198位
アクセスランキングを見る>>
フリーエリア

バナーリンク完了
画像つきリンクはバナーをお持ちのサイト様のみとさせていただきました。
私の実力的に無理なんで、すいません。

スキビ☆ランキング様
↓↓↓↓
スキビ☆ランキング様

妄想☆爆走ビート~スキップなんかじゃいられない 妄想☆爆走ビート マサシ様


ド素人のスキビブログ18禁様
ド素人のスキビブログ18禁 氷樹様


艶やかな微笑様
艶やかな微笑 peach tea no1様


桃色無印様
桃色無印 きゅ。様


pink@ピグ様 pink@ピグ きゅ。様


*ソラハナ*様
*ソラハナ* MOKOM様


SKB様

SKB Agren様


THE SACRED LOTUS 天音蓮華様

THE SACRED LOTUS 天音蓮華様


Kierkegaard様
Kierkegaard perorin様


蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」 (風月のスキビだより) 風月様
蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」 (風月のスキビだより) 風月様


サイト名:月と蝶
URL:http://tukitocho.blog.fc2.com/

よかったらアメブロへもどうぞ。
http://ameblo.jp/pochiouji/
月と蝶
携帯でもどぞ。
QR
月にとまった蝶々様カウンター
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。