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エレベーター 第二部(4)

----チーン

エレベーターが停止をつげて、静かにドアが開いていく。
急いで降りて、そのまま車に乗り込んだ。
もうギリギリの時間だ。
遅刻なんてしようものなら、また上尾先生にお小言聞かされるわ。
敦賀さんだって、一度遅刻して理事長から注意されたって聞いたし。
ただでさえ同棲なんて始めちゃったんだから、もうこれ以上問題起こすのはだめよ。

「ごめんね。慌しくて。」

申し訳なさそうに言う敦賀さん。
本当に慌しかった。
嵐が来たのかと思う程に。
心の準備も全く出来ていなかったし。

「それと……もう一つ謝っとく。」

何を?
まだ何かあるんですか?
私はもう突然の事でいっぱいいっぱいですよ。

連絡もなくいらした突然のお客様。
この場合、お客様とは言わないかもしれないけれど。
本当を言うとまだ動揺している。
だって…だって…だってぇ!!

敦賀さんも予想外の出来事に戸惑っている様子だった。

「今朝作ってくれたごはんだけどね。」

え?
ごはん?
そっちの心配ですか?

「俺達が帰った頃には野菜の一切れも残ってないと思うから。」

それって食べちゃうって事ですか?
かえって助かりますけど、でもとても食べきれる量ではないですよ?
もしかして、お友達とかお呼びになるのかしら?

「ほとんど、あの人の腹に入るはずだから。」

まっさか~、だって一週間分の食材全部使って作ったのよ。

「後、今日は早めに帰ろう。スーパーによって買い物して帰るから付き合ってね。」

食材は使い切ってしまったから、そのつもりではいますけど。

「届けてもらった方がいいかな。2人じゃ運びきれないし。」

どれだけ買う気ですか?

「敦賀さん。別に何日分もまとめて買わなくても。また買いにいけばいいだけですよ。」
「いや。今夜の分だよ。」
「あの敦賀さん?」
「いっそ出前でも。10人分ずつ5件に頼めば50人前は確保できるし。」
「敦賀さん、なんの冗談ですか?一体誰が食べるんですか?そんなに。私は無理ですよ。」
「だから父が食べるよ。でも、足りなくなる可能性もあるから、その時は頼むね。」

エレベーターから降りてきて、敦賀さんに抱きついて来た女性は、敦賀さんのお母様だった。
実はお父様も乗っていらした。
そう、私は敦賀さんのご両親と会ってしまったのだ。
私に会いに来たという。

これで動揺しないわけがない。

それなのに敦賀さん。
あなた何の心配してるんですか?
もっと現実見てください。
もしかして現実逃避?
逃避したいのは私の方ですぅ。
ドタバタ出てきたから、部屋の中が心配なんですけど。

「敦賀さん、ご自分が少食な事を理解されているのだと思いますけど、普通の方でもそんなには食べませんよ。」

何しろ小食な敦賀さんのご両親だもの。

なのに敦賀さんは苦笑しながら言った。

「普通じゃないんだ。」

敦賀さんのその心配が現実のものになるなんて想像もしていなかった。

「もし、料理が尽きてしまったら、もっと恐ろしいことになる。」

敦賀さんがしてくれたその忠告を私が別の方法でうっかり発動させてしまうのだけど、それは更に数日後のこと。

でも、本当に綺麗なひとだったな。
敦賀さんのお母様なだけあるわ。

エレベーターからあの美しい人が降りてきて敦賀さんに抱きついてきた瞬間。
もうこれでおしまいかと思ったのよ。
この綺麗な人が敦賀さんの本命なんだと思った。
こんなに綺麗な人に平凡な私が敵うはずない。
やっぱり私には恋愛なんて無理なんだって。
私は捨てられる運命にあるんだって。

だってお母様だなんて思えないくらいお若くて綺麗だったんだもの。

だから、身を引くしかないって覚悟したのよ。

「ねえ、キョーコ。」

私の思考を遮ったのは不穏な空気を醸し出す敦賀さんのだった。

「さっき君おかしな事考えなかった?」
「え?」
「考えたんだね。」

怒ってるわあ!
怒ってるぅ!

「帰ったら、覚悟してね。」
「えっ!?」

お仕置きってなんですか?

「明日はお休みだし、今夜は眠れないと思ってね。」
「えっ?」

でっでもお父様たちが……。

「あの人たちの事は気にしなくていいから。」

気にしますぅーーーー。

もう今から帰りたくない気分です。

私の悲鳴をのせたまま車は走る。
敦賀さんの高級車が荷馬車に思えたのは後にも先にもこの時だけ。



◆◇◆◇◆



「先生どうしたの?」

いけない!!
児童たちにまで心配させてしまってるわ。

「ごめんね。大丈夫よ。」

今はしっかりしなきゃ、もうすぐ音楽祭なんだし。

「さ、練習はじめましょ。今日も発声練習からね。」

時間は刻一刻と過ぎていく。
もうすぐ、今日の授業は終わる。
それが終わったら、答案の採点して、後は…後は…後は…、何かないかしら?
残業理由。
容赦なく時間は過ぎていき、授業も終わって、テストの採点も終わって。
どうしよう。
どうしよう。
どうしようだけじゃなくて、考えなきゃ。
今日の危機を回避できる方法を。
明日、出勤って事にしちゃおうかしら?

「それはダメ。」
「どうしたらいいかしら。」
「諦めて帰るしかないよね?」
「それはちょっと。」
「じゃあ、このままどっか泊まりに行く?」
「それはいいか……も???……えっ?」
「迎えに来たよ。」
「っつっ敦賀しゃん!どうしてここに!?」
「一応、許可はもらったよ。上尾先生にごあいさつしといたから。」
「かっ上尾先生に!?」
「うん。結婚前提に付き合ってるって言っといたから。」
「へっ?」
「もうこそこそしなくても大丈夫だから。」
「言っちゃったんですか!?」
「言っちゃいましたよ。一緒に住んでますって。」
「嘘っ!?」
「ほんと。」
「嘘っ!!」
「さ、諦めて帰ろうね。では皆さん、お疲れ様でした。お先に失礼させて頂きますね。」

そこで気づいた。
ここ職員室だった!!
周りを見ればいくつもの視線とぶつかった。

いやーーーっ!!
なんてこと!?

「京子先生、お疲れ様でした。」

にっこり笑っている百瀬先生。

「京子先生ったら、声に出てたわよ。うふふ。」

ふんわり天然笑顔の大原先生。

「京子先生、意外に面食いだったのか。」

貴島先生、何をしみじみおっしゃってるんですか?

「最上先生、結婚間近と聞いたけど。まだ、結婚前なのですから節度をもったお付き合いをなさいね。」

けっっ結婚??
上尾先生、敦賀さんに丸め込まれてませんか?

「キョーコ、帰ろう。聞きたい事もあるし。」
「へ?」
「帰りたくない理由。」
「へっ!?」
「口に出てたよ。」

嘘。
嘘よぉ。
誰か嘘だって言ってぇ。

私、どうなるんでしょう?

明日は起き上がれないかもしれません。



◆◇◆◇◆



たどり着いたマンションの駐車場。
そこで、遠慮のかけらもないキスを仕掛けられた。
一応、外では気を使ってくれたみたい。

「父さんたちがいなきゃ、このまま寝室行きだけどね。残念だよ。」

心底残念そうに言わないで下さい。

「そろそろ。出前が届くころかな?」
「えっ!?やっぱり頼んだんですか?」
「うん。帰ってから作るの大変だろ?」
「でも、いつも帰ってから作ってますよ。」

それに今朝の予定通り、買い物もしてきたし。
それもものすごい量を。
エコバックだけじゃ済まなくて、お店にあった大きな段ボールにたくさん詰め込んだ。
持っていったエコバックは2つでその中にもぎっしり入ってる。

「こっちは俺が持つから、バックの方1つお願いできる?」

敦賀さんがバックシートからエコバックを片腕にかけて、段ボールも抱え上げた。
残ったエコバックを持つ。
本当にこの量は普通じゃないわ。

「ちょっと心配だな。念の為、冷めても大丈夫なもの作っておいてくれる?」
「頼んだんですよね?」
「足りない気がしてきた。とりあえず10人前くらい、一品でいいから作って。」

すごく心配そうな敦賀さんの様子に私も不安になってきた。
この後どうなるんでしょうか?

両手が塞がっている敦賀さんの代わりにエレベーターのボタンを押すと駆動音が聞こえる。

-----チーン。

到着を告げるこの音が、これから敦賀さんの部屋で行われる戦いのゴングになるとは知る由もなく、いつものようにエレベーターに乗り込んだ。





(5)へ続きます。




ども月華です。
休みだったんで、記事を書いてます。
明日は実は母の誕生日。
しかし、忘れちゃいけない日でもある。
忘れられない日でもある。
ゆえにこんな記事を更新している場合でもない。

非常識かなとか思いつつ。
私自身すごい、嫌な思いした日でもあるのにね。
忘れたわけじゃないし、ずっとひっかかって今があるのにね。

なのに記事更新。

あの日の不安も携帯を壁に投げつけたくなった程の怒りも感謝の気持ちも決して忘れない。

怒りに任せて行動したその後の自分の愚かさも。
今の苦悩も。
これからずっと私の中に残るんだろう。
”後悔先に立たず”とはよく言ったもんですね。

……あれ、どんどんズレてる。

とにかく、こんな時なのに更新してる私をお許し下さい。
明日は大人しくしてるつもりです。



ではまた。



月華




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