ウサ蓮さんとウサキョちゃんは、この度、新居にお引越ししました。
高級マンションの最上階。
緑や土のにおいはしません。
窓から見える空には、光り輝く星々の姿はません。
だけど、とても優しい空間なのです。
親友の奏ウサちゃんや他の皆には、なかなか会えないけれど、二匹はとっても幸せです。
何故なら。
小さくまとまったうさだんごに、小さなおだんごが一つ増えたのです。
それを見たこの空間の主も幸せな気分になりました。
「かわいい!」
「かわいいね。」
某有名牧場から譲って貰ったうさぎのカップル。
赤ちゃんが産まれなくて…もう少しで食べられちゃいそうになっていた白いうさぎさん。
必死に白うさぎを守ろうとする黒いうさぎさんと一緒に引き取った。
引き取ってすぐに白うさぎちゃんには赤ちゃんができました。
やがて生まれたのは、白うさちゃんそっくりの小さな小さな白うさぎちゃんでした。
女の子みたい。
今はリビングの片隅で親子で仲良くおやすみ中。
よかった。
私達もまだ子供にめぐまれてないけど頑張るね。
「俺達も頑張ろうか。」
「はい。」
恥ずかしそうに笑う妻。
何年経ってもかわいい。
結婚して5年……。
そろそろ子供ほしいかも………とやっと思いはじめた旦那様だった。
- おしまい -
≪おまけ≫
ある夫婦の会話。
「キョーコ。子うさぎの名前決めた?」
「はい。いろいろ悩んだんですがぁ。あめちゃんにしようかと。」
「雨?」
「はい。生まれた日。たくさんの流星が流れてたんですよ。」
「ああ、”星の雨”だね。」
「はい。だから”あめちゃん”です。」
「軽井沢の社長の別荘に着いた途端に産気付いた時は焦ったよ。」
「久遠さんったらウサ蓮さんと同じくらい慌ててましたよね。」
「夜だったし……病院あいてないし。どうしようかと思って。」
「あの時は、軽井沢のロケになって調度いいなぁ、なんて思ったんですけど、ごめんなさい。仕事から帰ってすぐに車で出してもらう事になっちゃって。疲れましたよね。着いたらすぐでしたし。……里帰りさせてあげても良かったけど、遠すぎましたしね。預けっぱなしも嫌ですし、病院もあまり好きじゃなさそうでしたし。」
「いいよ。オフも挟んでのロケだったし、久々に自然を満喫できたじゃないか。ウサキョちゃんも、少しでも自然のあるところで出産出来て少しは安心できたかもよ。」
「そうだといいなぁ。」
「きっと、そうだよ。」
「うふふ。」
「ん?何?」
「あの時の久遠さんとウサ蓮さんを思いだしたら面白くて。」
「………。」
「慌てても仕方ないのに。」
「…………とっ…ところで、ウサ蓮はどうして”ウサ蓮”なんだろう。」
「牧場主のお嬢さんが久遠さんのファンだったみたいですよ。」
「それで”蓮”なのか……最近、うさぎな感じがしないんだよね。」
「そっくりですものね?」
「えっ!?」
「ヤキモチヤキさんなところも、うさぎさんにしてはちょっとビッグサイズなところも、少食で困ったさんなところも、久遠さんにそっくりですよ。」
「………ご飯はちゃんと食べます。わがままも言いません。」
「やっぱり、似てますね。優しくて頼もしくてステキな旦那様なところも。」
「じゃあ、次はウサ蓮を見習ってステキなパパにもなれるように努力するよ。協力してくれる?」
「……破廉恥です。」
星は見えないけれど、月の綺麗なある夜のこと。
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