SCANDALOUS BLUE 〜Open my heart〜

アフターのお話になります。これも古い記事です。
申し訳ございません。
でも、これで順番正せました。


『SCANDALOUS BLUE 〜Open my heart〜』


やっと通じ合った心。
昨日までは身体を繋いでいてさえ得られなかったもので、今は満たされている。
「敦賀さん?」
愛しい彼女が俺の名を呼ぶ。
満ち足りた顔で、幸せそうに微笑んでいる。
「何?」
「何でもありません。」
そう言って俺の胸に顔を埋める。
愛しくて、愛しくて、たまらない。
「何でもない…はないだろ。言ってごらん。」
「………怒りませんか?」
「怒らせるような何かがあるの?」
「うーーん。ある意味爆弾かもしれませんよ。敦賀さんの秘密ですから。」
俺の秘密?
何だ?
秘密と言えば、……君に話していないことがあるとすれば、俺の本当の姿とコーンの正体は俺だと言うこと。
それだって、ちゃんと話すつもりでいたけど……彼女には知り得ない内容だ。
社長や父さんが話すなんて事もありえない。
後は何だろう。
気になるな。
ムクムクと沸き上がるのは、彼女との駆け引きする間に覚えた彼女への歪んだ愛情。
身を起こして、彼女に覆いかぶさると、可愛らしい唇から小さな悲鳴があげる。
「何?俺の秘密って?言っておくけど”浮気”なんか絶対してないからね。そんな噂話だったら、情報源までしっかり教えてね。潰しておくから。」
「敦賀さん、夜の帝王が入ってます。魔王も入ってます〜。」
「心外だな。こんなに優しくしてるのに。それとも……意地悪な方がいい?お望みなら……。」
「望んでませんっ!話します〜。話しますから〜。いやぁ〜。どこ触ってっ。いやんっ。」
行為を終えたばかりの身体は少し触れるだけで敏感に反応する。
「やっ!ダメです。ぁん。……敦賀さんっ、ホントにダメぇ〜っ。」
彼女の弱い部分をなぞりながら、耳元で囁く。
「もう少し意地張ってくれてもいいのに。」
僅かに身を震わせる君。
彼女にとっては俺の声さえ愛撫の一つになる。
「って、そのまま続ける気ですよね。もう無理です。限界です。死んじゃいます〜。」
胸の先端を弄る俺の指を止めるべく、己の指を絡ませてくる。
「仕方ない。……で君が知ってる俺の秘密っ何?」
絡ませた指をそのままに、僅かに身をおこす。
「えっとぉー……て……こまい。」
「ん?何?」
「”てんてこ舞い”は、あれでご理解頂けましたか?」
「えっ?」
「よっ!久しぶり!」
「えっ!?」
その声は彼のものだ。
着ぐるみのニワトリの……。
それが素肌のままで組み敷いた彼女の口から飛び出している。
ちょっと待ってくれ。
つまりそれは……。
「”坊”は私です。」
「……ちょっと待って!それどういう事っ!?」
「だから着ぐるみの中は私なんです。」
「君がニワトリ!?」
「はい。」
それじゃあ……俺は……。
「じゃあ俺は本人に恋の相談してたの?」
「敦賀さんの初恋の相手が私なのだとしたら……そうなりますね。」
俺は何をしてたんだ。
なんて遠回りを。
力が抜けて、彼女の上に突っ伏した。
「つ…敦賀さん?……あの重いんですけどぉ〜。」
相変わらずな君。
君の曲解能力には、いつも振り回される。
今だって、どうして俺が脱力しているのか分かっていないよね?
「君は、自分の事だとは思わなかったの?」
分かってはいたけど聞いてみる。
でも、返ってきたのは予想以上のものだった。
「はい。これっぽっちも思いませんでした。」
”これっぽっちも”?
それって脈なしだったと言う事なのかっ!?
「キョーコ。”これっぽっちも”って、どういう事?」
幾分下がる己の声。
「どうして、そこに食らいつくんですかっ!?」
「重要な事だろう!恋人に”これっぽっちも好きじゃなかった”って言われてるようなもんだろうっ!」
自分で言っていて、泣きたくなってきた。
「だってあの頃、敦賀さん意地悪ばっかりだったもの。大っ嫌いでした。敦賀さんも私の事は生理的に受け付けられないんだと思ってたし。」
「…………。」
回り回れば、行き着く先は出会いのあの時。
「…………………。」
余計に脱力した。
「敦賀さん、重い〜〜っ!」
こんなに遠回りした原因を作ったのが自分だった。
”大嫌いだった””生理的に受け付けられない”の言葉にショックを受け、脳が正常に働かない。
「意地悪して、ごめん。……今は?今は俺の事は好き?」
「好きですよ。ちゃんと言ったじゃありませんか。」
「じゃあ……いつから?」
「はっきりはわかりませんけど。DARK MOONの撮影が終わる頃にはあなたを好きになってました。」
「酷いな。黙ってるなんて。」
「お互い様です。」
確かにそうだ。
思いも告げずに、こんな関係に持ち込んで、彼女を苦しませていたのは俺。
「じゃ、今はどれくらい好き?」
「どれくらいって……。ちょっと好きなくらいでは、こんな事しませんよ。」
言いながら、顔を赤くした彼女。
「”ちょっと好きな人”が、他にいるの?誰?そいつ。」
脱力していたにも関わらず、聞き逃せない単語を見いだし問いかける。
元々余裕なんかないのだ。
俺の心は意外に狭いらしい。
彼女に関しては特に。
「まさか不破とか?あのストーカー男とか言わないよね?」
「どうして、そうなるんですか!?だいたいそういう敦賀さんはどうなんですか!?他に好きな……」
「君だけだよ。知ってるだろ?君が一番よく知ってるはずだよ。俺の初恋がいつで、誰にその想いを抱いていたのか知ってるクセに。」
「私だって敦賀さんだけですよ。あなただって私が”恋なんかしない”って言い張ってたの知ってるクセに。あなたときたら何度、心に鍵をかけても、一瞬でこじ開けちゃうんですよ。いつも、いつも、いつもっ!」
「いつも?」
「そうですよ。」
頬を染めてぷいっとそっぽを向く姿が愛しい。
君の心鍵を開けるのはいつも俺だったんだ。
少し前なら君とこんな風に気持ちを伝え合うなんて出来なかった。
こんな風に温もりを分け合うなんて出来なかった。
「ねぇ、キョーコ。君、俺に言った事、覚えてる?」
「だいたいは……。」
「詐欺を斡旋する悪徳業者みたいに”落とせっ!”って言った事も??」
「……そんな事、言いましたっけ?キオクニゴザイマセン。」
今度は使い古された悪徳政治家の定番文句?
「記憶にないんだ。そう、ならいいよ。思い出すまで付き合ってあげるから。」
「へっ?」
「こんな重傷患者だし治療のしがいがあるよ。」
彼女の白く細い身体を抱き込んで、首筋に顔を埋める。
「ちょっ……敦賀さん?」
焦り出す彼女。
何を今更、恥ずかしがるのだろう。
今まで散々好き放題にさせてくれていたクセに、両想いになった途端に恥ずかしがるの?
君はやっぱりわからないな。
わからない事だらけだよ。
だからもっと君を知りたい。
君のすべてを俺に教えてよ。



カーテンの隙間から差し込む僅かな光。
もうすぐ夜明けが来る。
まるで今の俺と君みたいだ。
闇に捕われて、壊れそうな心をお互い抱えていたけど、もう捕われ事はないと思う。
君がいてくれるなら、俺は自由になれる。

君となら、永遠さえも越えてゆける気がするよ。

甦る輝きがすべての束縛を越えてゆく。



Open My Heart…





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SCANDALOUS BLUE 〜逃げ惑う者〜

こちらには今まで掲載してなかった記事です。
そのため、順序正す為にこのシリーズの全記事を再アップしました。
……はた迷惑ですね〜。
すいません。
キョコ視点になります。
ごたごたはこれで最後。
よろしければ、どうぞ。


『SCANDALOUS BLUE 〜逃げ惑う者〜』



私を抱きしめる腕は、こんなにも温かい。
「敦賀さんのバカぁ……。」
彼の胸にしがみついて泣いた。
「ごめん。」
その声はとても優しくて。
「敦賀さんなんか嫌いです。」
いじっぱりな私。
「嫌わないで……俺を好きだと言って。」
「私……うぅ……ふ…ぅ……。」
……応えなければと思うのに……出てくるのは嗚咽ばかり。
心の通じ合わないまま、幾夜を過ごしただろう。
もう、この手を信じてもいいんだ。



恋を自覚した瞬間には失恋を知った。
この人の恋の相談にのっていた『坊』は私だったんだもの。
そんな彼を煽ったのも私。
……敦賀さんが振られるはずがない。
そう思ったから。
「大切なものはつくれない。」
そんな風に悲しげに言ったこの人を……煽って……傷つけたんだ。
彼は何も悪くない。
こんな関係になってしまったのも、私のせい。
きっと私が変に煽っちゃったりしたから。
だから、私への罰なんだと思った。
貴方に触れられる事に幸せを感じながら、貴方の心を得られない事に泣いた。
抱かれながら、泣いた。
好き。
好き。
貴方が好き。
でも、私の思いは一生、この人には届かない。



「貴方なんか好きになるんじゃなかった。……気付きたくなかった……。」



無意識に発した本音。
それをこの人に聞かれた。
私は全力で、その場から逃げ出した。
気づかなきゃよかったのよ。
私に手を差し伸べてくれるのも、私を助けてくれるのもいつも貴方で、その度に貴方の存在は大きくなって。
気が付いたら、どうしようもなく貴方を好きになっていた。
だから、貴方の心がなくても……私さえ貴方を好きでいれば、それでいいと思った。
だけど、現実はそんなに甘くなくて、貴方に触れられる度に私は追い詰められていった。
もう、この人に会うのはやめよう。
京都に帰ろう。
そう決めた。



エレベータに乗り込んで1階のボタンを押す。
振り返れば、必死な顔の敦賀さんがいた。
追いかけて来てくれたんだ。
……ありがとう。敦賀さん。
貴方が好きでした。
閉じていくドアの向こうの彼の顔は苦しげだった。
もういいの。
私は消えるから、貴方はもう私の事で苦しまないで。



エレベーターは階下へと降りていく。



………さよなら。



もう二度と会えないんだ。
敦賀さんのマンションやLMEの最新のエレベーターに慣れていた私は、このビルの旧式のエレベーターの速度をもどかしく感じた。
早く立ち去りたいのに。
ここにはもういたくない。
敦賀さんと……大好きな人に別れを告げた場所になんか、いたくない。
早く私を解放して。
早く私をこの辛さから解き放って。
小さな電子音がして、1階に着いたことを知らせる。
ここを出れば、もう……。
なのに、予想外の状況が開いた扉の向こうにあった。
『敦賀さん!!』
息を切らせて、必死な顔の敦賀さんがそこにいた。
ダメ。
ダメよ。
今、貴方に捕まったら私は……。
逆戻りなんて嫌。
貴方も私もダメになる。
ダメになる前に私は貴方から離れなきゃいけないの。
”閉”のボタンを何度も押したけれど、反応が遅い。
閉じはじめたドアは敦賀さんに押さえ込まれて、再び開いていく。



「逃がさないよ。」
優しい声が悪魔の囁きのように聞こえた。
この人はまだ私を虜にしたまま。
「……もう……やめにして下さい。もう嫌なんです。もう耐えられないんです。」
もう嫌なの。
貴方が好きで仕方ないのに、貴方が思っている相手は別の人。
身代わりはもう嫌。
私を見てくれないのが辛いの。
それくらい……貴方が好きなんです。
貴方は愛される事に慣れていないだけなんです。
今ならきっと貴方は、貴方が一番好きな人に思いを告げられるはず。
だから……。

「キョーコ。……君が好きだ。」

ありえない言葉を聞いた。
嘘。
だけど、否定するには貴方の目はあまりにも真剣で。
嘘じゃないの?
今までにないくらい強く抱きしめられた。
「好きだ。君を愛してる。」
嘘じゃない。
これは彼の本当の気持ち。
目が熱くなって、涙で視界が霞んでくる。
「敦賀さんのバカぁ……。」
彼の胸にしがみついて泣いた。
「ごめん。」
「敦賀さんなんか嫌いです。」
「嫌わないで……俺を好きだと言って。」
「私……うぅ……ふ…ぅ……。」
……応えなければと思うのに……出てくるのは嗚咽ばかり。
心の通じ合わないまま、幾夜を過ごしただろう。
もう、この手を信じてもいいのだ。
もう私は貴方無しでは生きていけない。
それが貴方の本心なら……。



逃げていたのは私。
愛する事を知らないで。
愛される事も知らないまま、ずっと逃げてきた私。
それを教えてくれたのは貴方。



「私は貴方が好きです。」



だから、お願い。
……私を愛して下さい。





SCANDALOUS BLUE というタイトルのままですが、前記事同様に中西さんの非常階段を元にしてます。
追われる者視点ですけど。


お粗末さまでした。



月華

SCANDALOUS BLUE 〜追う者〜

SCANDALOUS BLUE 3話目です。
accessのSCANDALOUS BLUE妄想から始まり……その続きが本日更新のこれ。
中西圭三の非常階段妄想。
中西氏とaccessがお好きな方……ごめんなさい。



『SCANDALOUS BLUE 〜追う者〜』



俺達はすれ違っていた。
心の通じ合わないまま、幾夜を過ごしただろう。
たとえ涙を流して懇願されても、君を手離したくはなくて、この腕に閉じ込めた。
何度も……君を抱いた。
君という存在をこの世のすべての物から奪うためだけに。



頑なに人を愛する事を拒んでいた筈の彼女の心の中に……誰かがいる事に気づいたのはいつだ?
自分の気持ちを伝えなかった事を心から悔やんだ。
もう俺の入り込む隙なんかないくらいに君はその誰かを思っていた。
だけど、愛される事も愛する事も知らない君は、自分の気持ちにすら気づく事無く、心の中に誰かを住みつかせていた。
俺以外の誰かを彼女は想っている。
俺の心は暴走した。
力ずくで手に入れて、心の通わないまま、純潔の花を手折った。
なのに……こんな事ってあるか?
彼女が想っていた相手は"俺"だった。
それを知ったのは、ついさっきだ。
彼女が小さく呟いた言葉を俺は聞き逃さなかった。



『貴方なんか好きになるんじゃなかった。……気付きたくなかった……。』



彼女は確かにそう言ったのだ。
君が好きなのは俺?
不破やビーグールの彼でも、他の誰でもなく……俺?
そんな………。
それじゃ……俺は……。



俺の前から走り去る彼女。
呆然としていた俺は、数瞬おくれて、その姿を追いかけた。
もう少しで追いつく……というところで、彼女はエレベーターに乗り込んだ。
タッチの差で閉まるドア。
閉じていくドアの向こうの君の顔はひどく悲しげだった。
もう少しで、掴めたのに……。



彼女の乗り込んだエレベーターは階下へと降りていく。



………逃がさない。



直ぐさま、エレベーターの裏にある階段のへと回り込んだ。
幸いにして、この建物のエレベーターは古い。
最新の高速エレベーターならとても追いつかないが……これなら追いつける。
まだ間に合うはずだ。
俺と彼女の関係はまだ……終わらない。
終わらせない。
一階まで折り返しながら続く階段。
体力と運動能力を駆使して数段抜かしで駆け下りたが、それももどかしく、手すりを乗り越えて階下に飛び降りた。
最後は階段の中程から一気に飛び降りる。
間に合ったか?
エレベーターホールに駆け込むと調度ドアが開いたところだった。
開いた扉の向こうには俺の姿を認めて、強張った顔の彼女がいた。
ドアを閉じようしているが……そうはさせるか。
閉じ行くドアを押さえにかかる。
少しの抵抗の後、ドアはまた俺を受け入れる為に開いた。
中に入り込むとエレベーターのドアがゆっくりと閉じる。
二人だけの空間。
「逃がさないよ。」
真実を告げる最後のチャンス。
ここで君を逃がしたら、君は俺の前から消えてしまうだろう。
たとえ君がどこに逃げたとしても、必ず見つけ出すつもりでいるけれど、こんな思いはもうたくさんだ。
君を永遠に失うかもしれないと思うのはもう……。
だからもう、どこへも行かせはしない。
「……もう……やめにして下さい。もう嫌なんです。もう耐えられないんです。」
そう言って泣き出す彼女を抱きしめた。
俺はまだ彼女に本心を明かしてはいない。
俺は彼女が好きだ。



こんなにも君を愛してるのに。
お願いだから、もう一度、俺を見て。
君も俺も知らな過ぎたんだ。
愛する事も愛される事も知らないままだったから……。
ねぇ。
もう逃げないで。
瞳を逸らさないで。
俺を見て。
俺は……。



「キョーコ。……君が好きだ。」



俺は俺の全てをかけて、その言葉を口にした。
偽りのない、そのままの俺。
驚いて目を見開いた君を抱きしめた。
「好きだ。君を愛してる。」
もう自分を偽ったりはしないから。
君を大切にするから。
だから俺を好きなままでいて。



「敦賀さんのバカぁ……。」
腕の中で泣き出した君を抱きしめる。
「ごめん。」
泣かせてばかりでごめん。
「敦賀さんなんか嫌いです。」
嘘だ。
それが嘘だって……俺は知ってるよ。
「嫌わないで。……俺を好きだと言って。」
嘘でも嫌いだなんて言わないでくれ。
もう君なしでは生きていけない。
君の本当の気持ちを言って。
俺が好きだと言ってくれ。



お願いだ……俺を好きだと言って。








ホントは……「違う そうじゃない」で終わらせようかと思ったけど、このまま継続。

ここがどこだ?とかの設定はなし。蓮のマンションじゃ絶対追いつくのは無理!!なので蓮のマンションではありません。

タイトルこそSCANDALOUS…のままですが……元にしているのは中西圭三氏の『非常階段』
もう大好き。

とりあえず次で、ゴタゴタも解消です。



SCANDALOUS BLUE 〜キョーコ〜

今頃になって自分の気持ちに気が付いた。
「最上さん。」
私を呼ぶ優しい声に騙されてしまいそうになる。
だけど、そんな私を現実に引き戻すのもいつも彼なのだ。
私を包み込む腕も、私を掴む手も、いつも力任せで……壊れてしまいそうになる。
それでも逆らえないのは、………この人が好きだから。
目の前にある敦賀さんの顔が、霞んで見える。
……目元を拭われて、初めて泣いている自分に気が付いた。
その指が優しくて、また、涙が溢れてくる。
今度は唇で拭われた。
やっぱり、この人が好き。
だけど、彼には他に想い人がいる。
私ではない……誰か。
だから伝えられない。
伝えられずに、こうしてまた同じ夜を繰り返す。
愛の見えないまま。



視線を感じて視線を移せば、あの瞳とぶつかった。
偶然の遭遇。
一番逢いたくて…一番会いたくない人。
彼の視線が、私を捕らえ身体の自由さえ奪う。
その視線が告げるもの……。

”今夜逢いたい”

それは抗えない甘い誘惑。



人気のない非常階段へと誘われ……私は期待してしまう。
貴方の気持ちが私に向いているんじゃないかって。
期待して……その冷たい視線にまた裏切られるの。
「さっきの分かった?」
壁際に押し付けられながら私に問う。
「………分かってます。伺えばいいのでしょう。」
「いや?」
残酷な人。
「俺とこうするはいや?」
こんなにも貴方を好きなに、気づきもしないで私にそれを聞くの?
寄せらた彼の唇。
全てを絡めとるようなキス。
貪られるだけで……奪われるだけで……与える事の出来ない、伝わらないキス。
きっと私は、貴方をダメにする。
私の何かが貴方を狂わせる。
それでも拒めない。
貴方を求めてやまない気持ちが、”いけない”と思う自制心を凌駕する。
貴方を拒もうとするこの手は本心ではない。
貴方を愛している。
だからこそ言えない。
愛してるなんて言えない。
貴方に私の気持ちを否定されるのは耐えられないから。
それでも迷うほどに心は貴方を求めて、また貴方を惑わせる。
ため息を殺して、愛しさも隠して、眩しすぎる光の中に思いの全てを閉じ込めて、目眩ましにする。
これは愛じゃない……。
そう言い聞かせて、今夜も貴方に抱かれるの。
過ちでは終われない夜を重ね、虚しさの海に堕ちていく。



「もう……やめて下さい。こんなこと。」
心が悲鳴を上げる。
イヤ…ワタシヲ ハナサナイデ。
「貴方には他に好きな人がいるでしょう?」
ソレガナニ?
もう一人私が、私の本心を暴いていく。
二度と恋なんてしないと決めたのに私は貴方に恋をした。
でも貴方には他に好きな人がいる。
私の想いが報われる事はない。
蒼い石の妖精に何度も問い掛けたけれど……。
あの魔法が効かない。
問う度に私の心に傷をつけるだけ……。



寄せられる唇。
真実なんて聞きたくない。
だから、貴方のキスを受け入れた。
そうすれば、聞かなくてもすむでしょう?
それが罪なら……どうせ堕ちるなら、貴方と一緒がいい。
貴方一緒なら、どんな罰でも受けるから。



行き場を失った私の恋心。
受け止めてもらえなくて、ただ彷徨うしかない私の想い。
それでもいい。
貴方を失ってしまう方が怖いの。
もう貴方なしでは歩けない。
貴方の背中を追い掛ける事しか出来ない私は、いつか貴方を見失うかもしれない。
でもいつかは、貴方の隣に立ちたいと思う。
その時こそ、私の気持ちを打ち明けてもいいですか?
私がもう少し強さを手に入れて、貴方なしでも生きていけるようになったら、この思いを告げようと思う。
たとえ叶わぬ恋なのだとしても。



儚さが音を立てる二人の夜……。





SCANDALOUS BLUE 〜蓮〜

君が悪いんだ。
俺を見ようともしない君が。
俺の思いすら否定する君が悪いんだ。
俺をこんなにも夢中にさせておいて、俺以外の他の誰かを想う君を許さない。
君が他の誰かのものになるなんて許さない。
君を誰かに取られるくらいなら……。
”ウバワレルノガ イヤナラ コワシテシマエ”
俺の心が叫ぶ。
俺と君の間にあるのは事務所の先輩後輩というものでしかない。
絶対的な信頼を寄せてくれた君。
だけど”信頼”なんて、なんの役に立った?
君を繋ぎ止めるだけの力さえない関係なら、そんなものは破壊してしまえ。
君ごと、ぶち壊してしまえ。
目の前には涙を浮かべた君。
その涙は誰の為のもの?
過去に捕らわれて、彼女への思いを告げられずにいる自分を棚に上げ、君一人を責め立てる俺。
俺は最低な男だ。
この思いは告げられないけれど、君を誰にも渡したくはないんだ。
誰かのものになるくらいなら、壊れて?
壊れて……ずっと俺の側にいて。
窓の外には青白く光る冷たい月。
俺を裁く青き光に照らされて、今夜もまた君をこの腕に抱く。
二人……過ちでは終われない夜を重ねるけれど、罪を抱いて堕ちていくのは、いつも俺一人。



仕事で訪れた先で、彼女を見つけた。
本当に偶然だった。
事務所にいても、すれ違うことの多い俺と彼女。
こんな些細な偶然にさえ、俺の心は乱される。
君に触れたい。
今すぐに君を抱きしめたい。
やがて、真っ直ぐな視線が俺を捕らえた。
俺の顔を見て青ざめた君に俺は視線で言葉を投げかける。

”今夜逢いたい”

君には伝わったはずだ。



隙を見て彼女を人気のない非常階段へと誘った。
「さっきの分かった?」
彼女を壁際に押し付けながら問う。
「………分かってます。伺えばいいのでしょう。」
「いや?」
「………。」
「俺とこうするはいや?」
拒絶の言葉なんか聞きたくない。
そんなもの聞くくらいなら……。
俺は彼女にキスをした。
全てを絡めとるようなキスを交わす。
交わす?
違う。
俺からの一方的なものでしかない。
奪う事しか出来ない俺。
奪うだけのキスが君をダメにさせる。
俺が君を絶望の淵まで追い詰めているんだ。
それでもそうせずにはいられない。
君を求めてやまない気持ちが、拒もうとする君を押さえつける。
本心も告げぬまま、告げられぬまま、君の全てを奪う。
俺は彼女を愛してる。
だからこそ……愛しているからこそ……言えない。
他人を愛する事に怯える君に、愛してるなんて言えない。
君に俺の気持ちを否定されるのは……耐えられないから。
それでも迷うほどに心は君を求めて、また君を惑わせる。
ため息を殺して、愛しさも隠して、眩しすぎる光の中に思いの全てを閉じ込めて、見ないふりをする。
今の俺に出来る事はそんな事だけ。



「もう……やめて下さい。こんなこと。」
苦しげに君が言った。
いやだよ。
俺はもう君を手放したくはないんだ。
君がいなければ俺は……。
お願いだ。
俺をこれ以上、拒まないで。
これ以上、俺を否定しないでくれ。
「貴方には他に好きな人がいるでしょう?」
好きな人?
いるよ。
小さな君に恋して、今は君を愛してる。
まだ、君には言えない秘密。
君に隠している事がたくさんありすぎて、俺の心が悲鳴を上げる。
このまま、『愛しているのは君なんだ』って言ってしまおうか。
言ってしまって否定されたら……。
俺を否定する言葉なんて聞きたくない。
だから、塞いでしまおう。
どうせ堕ちるなら、二人で堕ちよう。
罪は俺が全部抱いてあげるから。



行き場を失った俺の恋情。
受け止めてもらえなくて、ただ彷徨うしかない俺の心。
それでもいい。
君を失ってしまったら、俺はダメになる。
もう君なしでは歩けない。
だから君を見失いそうになっても、きっと探し出す。
その時こそ、君に全部打ち明けるよ。
俺の思いも、何もかも、全部。
だから、それまでは……このまま側にいて。



儚さが音を立てる二人の夜……。









いきなりの出だし。
そのうち、ここまでの過程を書き足します。

それでは。



月華
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げっか(月華)

Author:げっか(月華)
蓮キョ大好きです。
駄文しか書けませんが、よろしくお願いします。

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