エレベーター 第二部 エピローグ
時間はもうすぐ7時になるところ。
始まりはこの部屋からだった。
振り返ると……家具一つない部屋があるだけ。
意外に広かったのね。
この部屋とも今日でお別れ。
この部屋に引っ越して、狭いけど自分だけの城を築き上げた。……レイアウト考えて配置しただけだけど。
誰にも左右されない、自分だけの空間。
私の新しい一歩はここから始まったのだ。
一歩を踏み出して新しい未来を手にできた。
それは運命の人との出会い。
腕時計を見る。
時間は7時ジャスト。
今まで、本当にありがとう。
ここに引っ越さなかったら…この部屋じゃなかったら、運命は変わっていたかもしれない。
ドアを開けて外に出る。
鍵をかけてエレベーターホールに向かえば、エレベーターは丁度降りて来るところだった。
もしかして…と思いながら目的のボタンを押す。
ーーーチン。
軽い電子音の後にドアが開く。
開いたドアの向こうには……。
「おはようございます。」
背が高くて綺麗な男性が一人。
「おはようございます。」
おきまりの挨拶をしてエレベーターに乗り込む。
7時丁度に部屋を出てエレベーターに乗り込むのはこの人に会う為のおまじないみたいなもの。
会いたくて会えなくて、会うと変に身構えちゃったり、ドキドキしたり、切なくなったり。
でも今は……。
乗り込んですぐに大きな手が隣に並んで立つ私の手を握ってくれた。
動き出すエレベーター。
あれ?
下がってる?
パネルを見ると地下の駐車場を示すランプがついていた。
エレベーターには彼しかいないからボタンを押したのは彼という事になる。
部屋に戻るんじゃないの?
「出かけるところだったんですか?すいません。朝ごはんまだ作ってなくて。」
「出かけるよ、君も一緒にね。朝ごはんは外で食べよう。DARUMA-YAのモーニングプレートが美味しいって聞いたよ。」
「その出勤前のサラリーマンみたいな情報はどこからですか?」
「社さんから。常連だよ。あの人。」
「早く彼女ができるといいですね。」
「それなら大丈夫じゃないかな。今、琴南先生に猛烈アタック中だよ。」
「えーーーーっ!?」
そんなの聞いてないわよ。
もーこはーーーん!
ーーーチン
手をひかれてエレベーターを降りる。
「ねぇ、キョーコ。部屋…7時丁度に出た?」
「出ましたよ。」
「俺も7時丁度に出たんだ。君が7階で止めてくれると思ってたから、地下しかボタン押してなかった。」
「行き違いになってたかもしれないのなた?」
「今日は大丈夫だって思ったんだ。」
「……何か、懐かしい感じがしました。」
「そうだね。」
「でも……今日が最後です。」
「部屋、引き払っちゃったからね。独身最後の日だね。準備も終わったし、今日はのんびりしようね。」
「はい。」
私達を降ろしたエレベーターはまた上へと登って行く。
また、誰かの新しい未来を乗せる為に。
「どうして、あなた達がここにいるんですかぁ!」
「こっちのセリフだっ!」
「モー子さぁーん!朝から会えるなんて、私達やっぱり運命の糸…「運命の糸が絡まりまくってんのはあんたとそこの似非教師でしょうがっ!」
「おや?〝琴南先生〟夕べは何処かにお泊りで?着ている服が昨日とおな「気のせいよっ!」
「お前達が帰った後も二人で飲んでたんだよっ!……終電乗りのがしただけで。まだ何にもしてないからっ!」
「〝まだ〟?」
「社さん!それ以上喋らないで下さい!キョーコ!あんたもそれ以上考えなくていいのよ!」
「で……どうすんだ?入るのか?入らねーのか?」
「仲がいいんだねぇ。モーニングプレートに新メニューが増えたんだよ。食べてみておくれよ。」
エレベーター
完全完結
始まりはこの部屋からだった。
振り返ると……家具一つない部屋があるだけ。
意外に広かったのね。
この部屋とも今日でお別れ。
この部屋に引っ越して、狭いけど自分だけの城を築き上げた。……レイアウト考えて配置しただけだけど。
誰にも左右されない、自分だけの空間。
私の新しい一歩はここから始まったのだ。
一歩を踏み出して新しい未来を手にできた。
それは運命の人との出会い。
腕時計を見る。
時間は7時ジャスト。
今まで、本当にありがとう。
ここに引っ越さなかったら…この部屋じゃなかったら、運命は変わっていたかもしれない。
ドアを開けて外に出る。
鍵をかけてエレベーターホールに向かえば、エレベーターは丁度降りて来るところだった。
もしかして…と思いながら目的のボタンを押す。
ーーーチン。
軽い電子音の後にドアが開く。
開いたドアの向こうには……。
「おはようございます。」
背が高くて綺麗な男性が一人。
「おはようございます。」
おきまりの挨拶をしてエレベーターに乗り込む。
7時丁度に部屋を出てエレベーターに乗り込むのはこの人に会う為のおまじないみたいなもの。
会いたくて会えなくて、会うと変に身構えちゃったり、ドキドキしたり、切なくなったり。
でも今は……。
乗り込んですぐに大きな手が隣に並んで立つ私の手を握ってくれた。
動き出すエレベーター。
あれ?
下がってる?
パネルを見ると地下の駐車場を示すランプがついていた。
エレベーターには彼しかいないからボタンを押したのは彼という事になる。
部屋に戻るんじゃないの?
「出かけるところだったんですか?すいません。朝ごはんまだ作ってなくて。」
「出かけるよ、君も一緒にね。朝ごはんは外で食べよう。DARUMA-YAのモーニングプレートが美味しいって聞いたよ。」
「その出勤前のサラリーマンみたいな情報はどこからですか?」
「社さんから。常連だよ。あの人。」
「早く彼女ができるといいですね。」
「それなら大丈夫じゃないかな。今、琴南先生に猛烈アタック中だよ。」
「えーーーーっ!?」
そんなの聞いてないわよ。
もーこはーーーん!
ーーーチン
手をひかれてエレベーターを降りる。
「ねぇ、キョーコ。部屋…7時丁度に出た?」
「出ましたよ。」
「俺も7時丁度に出たんだ。君が7階で止めてくれると思ってたから、地下しかボタン押してなかった。」
「行き違いになってたかもしれないのなた?」
「今日は大丈夫だって思ったんだ。」
「……何か、懐かしい感じがしました。」
「そうだね。」
「でも……今日が最後です。」
「部屋、引き払っちゃったからね。独身最後の日だね。準備も終わったし、今日はのんびりしようね。」
「はい。」
私達を降ろしたエレベーターはまた上へと登って行く。
また、誰かの新しい未来を乗せる為に。
「どうして、あなた達がここにいるんですかぁ!」
「こっちのセリフだっ!」
「モー子さぁーん!朝から会えるなんて、私達やっぱり運命の糸…「運命の糸が絡まりまくってんのはあんたとそこの似非教師でしょうがっ!」
「おや?〝琴南先生〟夕べは何処かにお泊りで?着ている服が昨日とおな「気のせいよっ!」
「お前達が帰った後も二人で飲んでたんだよっ!……終電乗りのがしただけで。まだ何にもしてないからっ!」
「〝まだ〟?」
「社さん!それ以上喋らないで下さい!キョーコ!あんたもそれ以上考えなくていいのよ!」
「で……どうすんだ?入るのか?入らねーのか?」
「仲がいいんだねぇ。モーニングプレートに新メニューが増えたんだよ。食べてみておくれよ。」
エレベーター
完全完結
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