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ラブミーデートでいってみよーっ! 4

ゴーカート。
楽しかったなぁ。
敦賀さんはやっぱりかっこいいし。
番組でもなきゃ、私が敦賀さんとデートだなんてあり得ないものね。
今日はいろんな敦賀さんを堪能するのよ。

「もう昼過ぎてたんだね。何か食べに行こうか。」

時間を確認すると確かに昼を過ぎていた。

敦賀さんの事だから、お腹が空いたから……なんて事ではないと思うの。
絶対私のお腹のムシを気にしての〝食べに行こう″だと思うのよね。
だってこの人…食に興味ない人だし、空腹全く感じない人だし。
お腹すいたとか言ったとしても、絶対嘘くさい。

だけど、食べてもらわなければ!
身体が資本のこの世の中。
食べてなくて倒れたという事になっても私は知りま……知りませんと言えない自分が憎い。
敦賀さんが倒れちゃったら、正気じゃいられないわ。
だって想像しただけで辛いんだもの!

真っ青な顔の敦賀さん……痩せ細った敦賀さん……いやぁーーっ!おいていかないでーーっ!!……泣き叫ぶ私……まだ告白もしてないのにぃーーーっ!!

「キョーコちゃん、どうしたの?」

はっ!
イケナイっ!
妄想してた。

「悲壮感に溢れた顔してたよ。また、何か考えてたの?」
「……ロクにごはん食べない敦賀さんが栄養失調で倒れたら、日本全国の敦賀さんのファンの方が悲しむなぁという想像を。」

自分で言って…また、その光景を想像してしまう。

「ごはん食べに行こうって言ったのに、何故そんな発想が出てくるの?」
「じゃあ、何が食べたい言ってみて下さい!」
「それはキョーコちゃんが好きなの頼んで……」
「ほら!やっぱり!そう言ってロクに食べずに私に食べさせようとするんです!」
「見て来たみたいに言わないでくれる?」
「見て来て、想像つくから言ってるんです!」
「……ごめんね?」
「今日はしっかり食べて頂きますからっ!!」

とはいうものの……状況は目に見えている。
園内のどんな飲食店に行ったとしても、ロクに食べずに見ていますな状況は必至。
それを打開するには方法は一つ!
敦賀さんが好きなものを用意する事。
こんな事もあろうかと対敦賀さん弁当を作って来たのよ!
撮影中は社さんに申し訳ないと思いつつ預かってもらっていたのだ。

「実は私、お弁当を作って参りました!」

軍隊よろしくビシッと敬礼をして見せた。
敦賀さんの食生活の改善……もはやこれは私の任務と言ってもいい。
だから、何としても食べて頂きますから!

「敦賀さん。ここ持ち込みOKなんですよ。広場もありますし、レジャーシート広げて食べるのもいいですよね。バラソル付きのテーブルで向かいあってランチもデートしてます感タップリですよね。眺めのいいところでベンチに並んでっていうのも捨てがたいですよ。」
「広場。」
「広場にしますか?」
「行くよ!」

急ぎ足になる敦賀さん。
いつも私に合わせて歩いてくれるのに珍しい。
食に興味の薄い敦賀さんが、ランチタイムの何に駆り立てられているのか。
何が彼をその気にさせているのか。
全く理解できないまま、私はランチが出来る広場へと連行されていった。

広場について、木陰を探してシートを広げてランチをする。
珍しく嬉々として箸をつける敦賀さん。
あ〜ん…とかもしちゃったりして。
パクッと食べてくれたし。
本当に美味しそうに食べてくれるから、私も調子にのっちゃって……つい食べさせ過ぎちゃって……ただいま、敦賀さんは私の膝でお休み中。
所謂〝膝枕″。
仕方ないのよ!
食べ過ぎて動けないんだもの!
枕が無いと眠れないんだもの。
だから…仕方ないんだもの……。

膝の上の敦賀さんの髪の毛を指で梳く。

「大丈夫…ですか?」
「うん。あまり美味しいから、食べ過ぎた。」
「無理しなくていいんですよ。作りすぎちゃった私が悪いのに。」
「キョーコちゃんのせいじゃないよ。本当に美味しかった。それにムネヤケとかそういうのじゃないから。単純にお腹が苦しいだけ。お腹がいっぱいになるって……幸せな事なんだなって、生まれてはじめて実感してるよ。」
「大げさですよ。……でも嬉しいです。そんな風に言って貰えると、作ったかいがあります。」

気持ちいい風がそよぐ緑の広場。
私達は穏やかな午後のひと時を過ごす。

「また、来たいね。」

撮影隊は遠くから私達を写していて、この会話は聞こえない。
だから……。

「また、来ましょうね。」
「うん。今度は二人きりで来ようね。」
「はい。」

本当にデートしてるみたい。

敦賀さんの柔らかな髪を梳きながら、今ある幸せを満喫していた。



◆◇◆◇◆



「………砂吐きそうだわ。」
「京子さん。本物のカップルですよ。これは。」
「演技です。」
「敦賀さんの食の好みここまで把握してるってなに?」
「いっ一応、敦賀さんが誰とパートナーになってもいいように、奏江さんと千織さんの好きなものも入れて、カロリーだってなるべく抑えて……。」
「何か……それだと、〝ウチの旦那様がお世話になってますから〟って差し入れを持たせる妻みたいですよ。」
「えっ!?」

……妻?
ツマ……つぅ〜まぁ〜〜っ?!

「はぁい。ラブミー部一号がパニクってますので、私と奏江さんでしめるしかないですね。」
「そうね。こうして見ると、私達全員デートの雰囲気違うわねぇ。面白いわ。」
「そうね。演技の勉強になったわ。」
「あなた達のデートはあまりデートには活用できなさそうだったけどね。デートが幽霊退治なんてないわよ。」
「あはは。……不破さん、あの曲、本当に即興だったんですか?カフェがライブ会場になっちゃうし。スタッフも一般客もうっとり聞き入っちゃって。」
「実力は確かだって事よね。ちなみにライブでしか歌わない事にするんですって。貴重なVよ。これ。」
「すごーい。」
「貴重というならあなた達のVでしょ。人気ビジュアル系バンドのボーカルにあんな特技があったなんてね。鳥肌立ったわ。」
「レイノさんってお寺の息子さん何ですって〜。年の離れたお兄さんもいてイケメンなお坊さんらしいの。」
「すごい特技よね。」
「京子さんの魔除けアイテムもバッチリだったし。」
「貴重な…って言ったら、京子達のデートVよね。いつも大人な敦賀さんがヤンチャ坊主になってみたりね。」
「空中自転車なんか笑っちゃいましたよね。」
「そうそう。大きな身体を窮屈そうに丸めてこいでるのよ。」

私を抜きにして二人が話しているけど、私はそれどころじゃない。

「これ以上は京子、幽体離脱から帰還出来なくなりそうだから、この辺にしておきましょ。では改めて。…ラブミー部2号私琴南奏江と不破尚さんの即興ラブソングのライブ付きゆったりデートか。」
「私、3号天宮千織とレイノさんのドキドキミステリー除霊冒険デートか。」
「それとも、この一人魂飛ばしちゃってる1号京子の砂吐き十代設定のデロ甘デートか。」

モー子さんデロ甘って何?

「さぁ、あなたならどれにします?」

ああ…天宮さん勝手にしめないで。

「気にいったデートにラブミースタンプをお願いしまぁす。」
「スタンプはお手持ちのテレビリモコン、または◯◯テレビのホームページからどうぞ。」
「お待ちしてまぁす!」

……えっ?
終わり?
終わりなの?
待って待って!
こんなの流せる訳ないじゃない!

「ハイ!OK!ご苦労様でしたぁ!」

ディレクターさんが撮影終了の声を上げた。

「ダメーっ!これは放送しちゃダメーっ!」
「無理に決まってるでしょ。」
「ローリィ社長があそこでGOサインしてますしね。」

みれば、スタジオの奥に笑みを浮かべた社長さんがいた。

「ラブミースタンプ規定まで集めたら卒業させてやるからなぁ。ちなみに、ラスボスの後押ししてくれたからなぁ、琴南君と天宮君には俺から特別ボーナス出してやるからなぁ。」

そう言って、スタジオを出て行った。

そして、スタジオの外には……。

「やあ。」

にこやかに笑う敦賀さんがいた。

「明日、オフになったんだ。キョーコちゃんも明日オフだってきいたんだけど。」

撮影が終わっても敦賀さんは私をキョーコちゃんと呼ぶようになった。

「だ……誰から…。」
「椹さんから。今度、二人きりで行く約束だったよね?」
「明日は学校が!」
勝手明日は日曜日だよ。学校はないでしょ。さあ、明日の準備があるからもう帰ろうね。」
「帰るってどこへっ!」
「もちろん、俺のマンション。朝早く起きて二人でお弁当作ろうね。」
「あっ…あの……。」
「食べるのが好きになれそうなんだ。だから、ね?付き合って。だめ?」

仔犬が三匹、ハチ公三匹、タローとジローがこれたあ三匹ずつ背中に背負って言わないでくださぁい!

お願い敦賀さんの前に屈した私は敦賀さんと一緒にテレビ局を後にした。



◆◇◆◇◆



「ねぇ、いつ気がつくと思う?敦賀さんの策略に。」
「さぁ、何年かはかかるんじゃないかしら?」
「不憫な男よね?抱かれたい男No.1のくせにねぇ?」
「京子さんならウェディングドレス着せられても気づかないかも。」
「ポカンとしてるうちに結婚式終わってるとか、センベイさんとミドリ先生みたいじゃないの。」
「あっ知ってる。アラ◯ちゃん?名前しかしらないけど。」
「アニキの愛読書なのよね。」

2号3号の間で交わされていた会話が現実のものになるなんて、想像もしていなかった頃のお話し。




完。


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ラブミーデートでいってみよーっ! 3

のんびり、空のサイクリングを堪能して、人工池でスワンボート漕いで、次に選んだのはゴーカート。
敦賀さんが楽しめるものを選んだつもりだったのだけど……。
予想外な展開になっている。

「いいかい?マシンの性能はほぼ同じ、だからラインどりが大切だよ。最短距離を走るんだ。カーブに入る時のブレーキのタイミングとカーブを出る時のアクセルを踏み込むタイミング…ここかもポイント。性能に差がないから直線では追いつけないからね。」

敦賀さんがレクチャーしてくれている。
……つまり、ハンドルを握るのは私…という事で。
敦賀さん、目が真剣だから、チョイスは誤ってないけど、設定を間違えた……みたいな事態。
まぁ、いいけど。
敦賀さんが楽しいなら。

「最短コースを走る事とカーブの攻略が重要なんですね。やってみます。」

ふと疑問に思った事を聞いてみる事にした。

「質問があるんですが。」
「何?」
「モータースポーツの中継でピッタリ張り付いた車がストレートコースで一気に前の車を抜き去るのをみたんですけど、あれは?」
「あれはスリップストリームといって前の車を盾にして空気抵抗を極限まで減らしてるんだ。十分な加速をつけたら一気に抜け出す事ができる。遊園地のゴーカートはスピードが足りないし、直線コースの距離も短いから、効果は期待できないよ。」

意外とウンチクな…おや…いえ……お兄さんなのね。

「じゃあ、ポイントはカーブですね。」
「そういう事。S字カーブがこのコースにもあるだろう。コースの見取り図を見て、カーブにそって走るより、こう走った方が近いだろう。スピードも出せる。カーブにインする時は当然だけどスピードを落とさなきゃいけない。遠心力があるからね、見合ったスピードでないと曲がりきれない。だから無理はしないでね。前に出たらコースをちゃんと確保出来ていればいいんだ。最短距離を走る事は後続車の進路を塞ぐ事にもなる。先にコーナーを攻める体制に入っていればいい。と言っても抜くのは大変だから、スタートは出遅れないようにね。じゃ、やってみようか。」
「はい。先生!」

エントリーを済ませて指定された二人乗りのゴーカートに乗り込む。
敦賀さんを横に乗せ、ハンドルを握る私。
変な感じ。
スタートラインに一列に並んだ車体。
二人乗りのゴーカートばかりで、みんなカップルみたいだけど、私達以外はみんな男性がハンドルを握っている。

「この勝負には男女の差はないよ。必要なのは反射神経と判断力。それと、根性かな。どれも君はピカイチだからね。きっと勝てるよ。」

敦賀さんって……なんでこう、天然なタラシなんだろうか。

カウントダウンが始まり赤いシグナルが点灯する。

「…4…3…2…1…GO!!」

敦賀さんの掛け声と共に私はアクセルを踏み込んだ。

敦賀さんの的確な指示を聞きながらコースを走る。
それこそ無我夢中で。
その結果!

一位の記念品をGET!
いくつか種類があって、ストラップを選択した。
けっこうかわいい。
コースレコードには及ばなかったけど。
うふふ。
嬉しい!

「それ、俺も貰ったら……お揃いになるよね。」
「えっ?」
「よし!もう一度やろう!!」

〝お揃い″言葉に気を取られた私の手を取り、エントリーブースへと向かう敦賀さん。
ブースまでぽやんとしたままで私はある事に気づかなかった。
敦賀さんが声をかけるまで。

「琴南さんお疲れ様。不破君。君達も乗るの?」

そこにいたのは麗しのモー子さんとオマケのショータローがいた。
ショータローの事はともかく、モー子さんに気づかなかったなんて、親友失格よぉーーっ!

「モ……奏江さん!やーん。こんなところで会えるなんて〜。」
「会える確立なんてめちゃくちゃ高いじゃないの。同じ園内にいるんだから。」
「どこ回ってきたの。」
「ここが2つめのアトラクションよ。」
「えっ?」

2つ目?
ジェットコースターに乗ってから大分経つのに。

「最初にジェットコースターに乗って気分が悪くなったから、ずっとカフェスペースにいたわ。」
「番組にならないんじゃ。」
「あんたがその分働けばいいのよ。」

モー子さん…機嫌悪いみたい。
ショータローなんか押し付けて、ごめんなさい。
でも……ありがとう。
モー子さんと天宮さんには正直に話そう。
だって親友だもの。

今度は一人乗りのゴーカートでエントリーした。
敦賀さんがインコースを譲ってくれて、モー子さん、私、ショータロー、敦賀さんの順にスタートに着く。
マシンの性能は同じ、スタートは直線コースともなると、最初のコースまで遠いアウトコースの敦賀さんが一番不利という事になる。
軽い方がスピードが出るらしいから、長身で筋肉質な敦賀さんではその点でも不利。
そんなハンデ背負って大丈夫なのかしら?

でも…敦賀さんなら大丈夫!
私だって頑張るわ。
敦賀さんに教わったテクニックで、ショータローなんか、ぶっちぎってあげるをだから!

シグナル…レッドから……ブルーへ。

勝負は何が起こるか分からないもの。
最後まで全力を尽くすわ。
敦賀さんにも負けない気持ちで行くんだから!

「敦賀さん、やった〜っ!」

ゴーカートを降りてすぐに私は敦賀さんのところに駆け寄った。
思わず抱きついてしまいそうになって……心と身体にブレーキをかけた。

……危なかった。

「敦賀さん、凄いっ!不利なアウトコースからだったのに!」
「スタートが肝心だからね。キョーコちゃんと一度走ってたから、コースは把握してたしね。キョーコちゃんもよく俺について来たね。」
「それは一度走りましたからね〜。うふふ。」

そしてまた気付く。
……あっ……また、モー子さんを忘れてた。
コース上にはゴーカートを優雅に降りるモー子さんがいた。

そう言えば、ショータローは?

ん?
いた……最終コーナーでコースアウトしてる。

きっと無理に曲がろうとしたのね。
車体は大丈夫かしら?

あいつ、きっと免許取らない方がいいわ。

「モー子さん!お疲れ様。」
「私の事忘れてたでしょ。」

ギクっ

「まあ、いいわよ。後でちゃんと話してくれれば許して上げるわ。」

ニヤリと笑うモー子さん。
きっ…気づいてる??

「じゃあ、私はあっちの王子様をここで待ってるから。」

モー子さんが言うと、王子様という単語が、何か違う風に聞こえるわ。

……間違いはないんだけど。

「じゃまた、後でね。琴南さん。キョーコちゃん、景品を貰いに行こう。」
「はい。じゃ奏江さん、私行くね。」

モー子さん。
面倒掛けてごめんねぇ。
別に私、アイツとは何の関わりも無いんだけど。
あっ、でも私に近づかないように先手うってくれたわけだし……。

申し訳ない気持ちでその場を離れた。

二人並んで一緒に係り員さんのところに行く。
エントリーブースに戻ると、なんと敦賀さんはコースレコードを叩き出していた。
私も女性の最速記録だったようだ。



お揃いの一位の記念品のストラップ。

「キョーコちゃん、それかして。」



それとはストラップの事だ。

「あと携帯も。」

えっ?
素直に渡してしまうのはなぜ?

すると敦賀さんは自分が貰ったストラップを私の携帯に付けた。

次に自分のをポケットから取り出して、そこに私が貰ったストラップを付ける。

「交換ね。」

私の手に戻ってきた携帯。
ついてるストラップは敦賀さんのストラップ。
敦賀さんが持っているのは私の……。

じゃあ、行こうか。」
「…………。」

さりげなく繋がれる手。

…………心臓が持たないかも。

どんどん敦賀さんを好きになる私。
そしていつか、どうしよーもなく彼を好きなって心臓が破裂したら。
心臓も身体も微塵に砕け散ったら、その時は……。
モー子さん、天宮さん、その時は骨は拾ってね。




続く。



キョーコさんは告白もしないまま砕け散るつもりらしいです。
敦賀の笑顔は凶器。



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昼休み終わっちゃう。

ラブミーデートでいってみよーっ! 2

グルングルン回るコーヒーカップ。
ハンドルを回すのは敦賀さん。

「回し過ぎ回し過ぎですってばぁあ〜〜。あははははは。もーやめて〜〜っ。目が回ったら歩けなる〜〜。」

ここは遊園地。
定番のコーヒーカップに乗り、の〜んびりくるくる回るはずが、なんちゃってティーンエイジャー敦賀蓮の諸行によりエキサイティングに回転し、目が回る寸前である。
ティーンエイジャーを通り越して悪ガキと化した彼を止める術はなく、デート続行中。

カップから降りたら……ちゃんと歩けるかしら?
結果……。

「………。」
「楽しかったぁ。」
「……歩けるの?」
「はい、特に問題もなく。」
「なんでっ!?」
「なんでって?」
「歩けないき…ョーコちゃんを抱っこする予定だったのに、俺の野望をどうしてくれるの?」
「そんな野望はいりません!」
「いるよ!」
「いらないっ!」
「いるっ!」
「いらない〜っ!…って、きゃあっ!」

あっという間に角度が変わる視界。

「おっ降ろして〜。」
「はいはい。キョーコちゃん。正面見て。」

言われて正面を見れば、当然だけどカメラさんがいて、その隣りではADさんが“敦賀君、GO!”というカンペを出していた。
それをめくって新しくまた書いている。
サッと出された新たなカンペ。
“京子ちゃん好みに編集するからまーかせて。”の文字。

あり得ない。



敦賀さんの腕からなんとか脱出し、次は二人でジェットコースターに乗った。
その後は写真探し。
コースター最大の絶叫ポイントに高性能カメラが設置されていて、その瞬間を撮ってくれるのだ。
もちろん購入できる。

「あっ!天宮さんだ。」
「こっちに琴南さんいるよ。」

見上げる先にそれぞれ本日のパートナーと並び仲良くとはいいがたい様子で写っている。
平たく言えば無表情、または不機嫌顏。

「………。」
「………。」

二人とも売れてる女優さんなのにいいのかしら?

「………あっ、見つけた。これ、俺達だよ。うん、いい表情。」
「えっ!あっ、本当だ!買わなきゃ!!」
「番号は……Dー1225だね。凄い、キョーコちゃんの誕生日だ!」
「本当、偶然。」
「今日はいい事がありそうな予感だね。」

いい事?
もういい事ばかり続いてますよ。
あなたの笑顔がたくさん見れて、いい事だらけなんですよ。
決して言わないけど。

「えっとぉ…。」

何やら指折り数え始める敦賀さん。
そのまま受付の係員さんに向かって言った。

「Dー1225を20枚下さい。」

ん?
20枚?
1枚500円で20枚……一万円?
ちょっと何?その無駄遣いは?

「つっ敦賀さん!そんなにいらないでしょ!二人で一枚ずつでいいんですよ。」
「えっ?初デートだよ。欲しいよ。持ち歩き用が一枚と鑑賞用が一枚と保存用が一枚。マンションの各部屋にも一枚ずつ飾って、玄関にも一枚。あっバスルームにも欲しいよね。加工しないと。…車にも一枚置いて。……足りるかなぁ。」

何ですか!
そのアイドルの追っかけファンみたいな考え方は!!

「敦賀さん!無駄遣いは禁止です。」
「無駄遣いじゃないよ。必要経費だよ。」
「無駄遣い以外の何ものでもありません!いくらかかるか分かってます?」
「分かってるよ。大丈夫。現金は用意して「き・ん・し!」
「ええっ!何でっ!?」
「ティーンエイジャーになったつもりでのデートですよね?だったら、お金の使い方にも気をつけて下さい。どっかのボンクラ息子じゃあるまいし、湯水の様に金使うとか無しです。ボツネタです。それ。」

しまった口を滑らせちゃった。

「ああ、あの台本ね?よく書いたよね。キョーコちゃん、才能あるよ。俺は面白いと思ったけど。真実味があったし。」

敦賀さんもごまかしにのってくれた。
さすが実力No.1俳優だわ。

「でも、酷いなぁ。あれと一緒にするなんて。俺は、純真な女の子を騙くらかして、その子が働いたお金でヒモ生活とかしないよ。」

そこまで言ってませんけど。
でも、あれってヒモ男って事になるのか。
今でも祥子さんやら七倉さんにだっこにおんぶ生活だものね。
ヒモなのね。

番組放送後、某老舗旅館の板長と女将さんが揃って朝一でLMEに現れ、事実確認と平謝りの末、ビルを飛び出したと思ったら、ショータローを強奪して舞い戻り、再び平謝り。
アカトキでも何やら発覚したらしく、板長はカンカン、女将さんは泣いてるし、とうの本人は他事務所でいつもの態度はとれずに慌てるだけ。
そこに敦賀さんまでやって来て、事態を更に迷走化させてしまうのだけど、それはまた別のお話し…という事で。

「せっかくの記念なのに……。」
「そう記念ですよ、敦賀さん。記念だから私と敦賀さんで一枚ずつ。私達だけの大切な宝物にするんです。」
「二人だけの?」
「です!」
「いつも持っててくれる?」
「もちろんです。」

だって好きな人とのデート写真だもの。

「……とにかくですね。一応十代設定なんですから、お財布事情もそれらしくして下さい。」
「えっ?!」
「上限6千円で!」
「無理!」
「無理じゃありません。入場券は番組持ちだし、アトラクションも回数券あるし、足りない分を出すくらいなら十分です!!」
「………ケチ。」
「何か言いました?」
「なんにも?」

そんな彼の財布から余分なお金を抜きとってもらい社さんに預かって貰う。
社さん曰く、「おれ、一応90万を既に預かってるんだよね。」ですって。

あり得ない。



キコキコキコキコキコキコ。

「いいね。こういうのも。」

キコキコキコキコキコキコ。

「気持ちいいですよね。」

キコキコキコキコキコキコ。

今、私達は園内に張り巡らされたレールの上を二人乗りの自転車みたいな乗り物に乗って、ペダルを踏みながら移動中。
前に私、後ろに敦賀さん。
けっこう高いところにあって、眺めは上々、風も気持ちいい。

敦賀蓮が多少縮こまって乗っていて微妙に笑える構図であったとしても仕方が無い。

「あっ!天宮さんだぁ。あっま宮さぁ〜ん。」

そばまで行こうとペダルを踏み込むが……全く前に進まなぁい!
急にペダルが重くなった……。
振り向くと敦賀さんがブレーキを力いっぱい握っていた。

「敦賀さん前に進まないです。」
「大丈夫なの?」

それって軽井沢での事を思い出していっているのだと思う。

「大丈夫ですよ。敦賀さんがいてくれますし。」
「そう。じゃ、行こうか。」

敦賀さんは優しい人。
これ以上、好きにさせてどうするつもり?
困るんだけど。



もう少し近づいてから声をかけようと思ったのだけど。
ペダルを漕ぐ音に気づいたのか天宮さんが上を見上げた。
ビーグルの肩も僅かに動いた。

「あっ京子さん。」

魔界人と一緒で大丈夫なのか心配だったけど、普通に元気だ。

「さっきジェットコースターで、写真見つけたよ〜。」
「やだっ!京子さん、あれ見ちゃったの?」
「ラブミースタンプ貰えなかったらどうするの?」
「女の子らしく、怖がってみたりして……なーんて考えてたんだけど…私、平気みたいで。うふふ。これからおばけ屋敷に行ってみます。」
「おばけ屋敷って、千織ちゃん…方向違うけど。」
「そっちのは今、行って来ました。今行くのは本物の方です。」
「本物っ!?」
「この先に旧社屋があって、出るらしいですよ〜。」
「ちょっ!「レイノさんが除霊が出来るそうなので行ってきまぁす。」
「あっ天宮さん、危険よっ!!」
「あら、大丈夫よっ!京子さん手作りの最強お守りがあるものぉっ!」

ジャーン!とばかりに小さなバッグからあるモノを取り出した。
それは私が作った千織ちゃんのプリティドールだった。

「これを持つようになってから、ありとあらゆる災いが私をよけて通るようになったんですよ〜。最強のお守りです!だから、琴南さんも大丈夫です。ではいってきまぁす!」

勇者天宮千織が供を連れ立って行く後ろ姿を上から見送った。

「だっ大丈夫でしょうか?」
「大丈夫じゃないかな?彼、本物っぽいし。」

私達は乾いた笑いをたてながら、ペダルを踏み出した。



モー子さんは大丈夫かしら?
モー子さんなら、ショータロー1人簡単にあしらうとは思うけど心配だわ。

ショータロー、ビーグル!

二人に何かあったら許さないんだからぁ!!



後に、敷地の隅っこに不気味にと佇んでいた旧社屋は淀んでいた空気が一掃されたらしい。
天宮さんがビーグルをこき使ってたとか、プリティドールが何かを締め上げていたとか、千織ちゃんが幽霊相手に説教してたとか……。

千織ちゃん……すごい。




続く




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ラブミーデートでいってみよーっ!

「はいっ!では、今日はよろしくお願いします。」

私の前に立ちはだかり、ショータローに手を差し出すモー子さん。

「レイノさん、どこから行きましょうか?」

天宮さんは既にビーグルの腕を取り、黒い物を出しながら話しを進めている。

ショータローもビーグルも何か言いたげにしているけれど、カメラが回っているのを気にしてか、二人に大人しく従っている。

残るは私と…あともう一人。

「じゃ、俺達も行こうか。」

私の隣りには尊敬してやまない、さらには密かに猛烈片思い中の敦賀さん。
私の手を取りにっこり笑う。

その笑顔に心臓が跳ね上がった。

でも顔には出さない。
私は女優。

この恋は誰にも悟らせない。
あなたにだって悟らせない。

そっと胸にしまっておくの。

「琴南さんも天宮さんも行っちゃいましたね。」
「張り切ってるね。」
「そうですよ。ラブミースタンプ貯めないいけませんから。」
「ああ、あれね。大変だね。君達も。」
「そうなんですよぉ。私は二人より先にラブミー部が長いので、けっこう溜まってますけど。天宮さんは後から入られたから特に。」
「事務所も違うからね。」

これは番組なのだ。
しかも、ラブミー部員の私達が番組を進行して行くのだ。
売れてきたとは言え新人。
深夜枠の番組だとしても、そう簡単に番組なんて組めるはずはない。
うちの社長が自ら企画を立てて、自ら持ちかけ、出資もしている。
しかも最大手事務所。
……ともなれば、テレビ局も無碍には出来ない。

あっという間に企画は採用され、深夜枠を見事GETした。

私のスタンプ帳は実は二冊目。
その殆どは敦賀さんや社さんからのもの。
そんなの見せられる筈もなく、2冊目突入。

私達ラブミー部のメンバーは、愛を取り戻すまでは会社からのサポートはなし……とされていたのだけど、痺れを切らしたのか社長から今回の企画を持ち出されて今現在。
本日はその第一回目。

ゲストが敦賀蓮、不破尚、ビーグールのレイノ…とか、何をふざけてんのかしら?
担当する事になったプロデューサーもびっくりしてたわよ。
深夜枠に鳳凰とアホウドリとカラスよ!
驚かない筈がない。
オファーもあっさり通り、あり得ない三つ巴状態が形成された。

顔合わせの時、事情を知っているモー子さんと何かを察知した天宮さんが危険人物を私から遠ざけてくれた。

でもね、一番危険なの……この人なのよね。
うっかり顔にだしちゃったり、思わず口に出ちゃったらどうしてくれるのよ!
今よりもっと好きになっちゃったら…。
そんなの…そんなの…困るぅっ!!
この病気はね、進行も早ければ、症状も重いっていうやっかいなものなのよ。

「キョーコちゃん、どうしたの?」

今、キョーコちゃんって聞こえなかった?
京子じゃなくて、キョーコって。

いやぁ!

でも。
でも、これってチャンスじゃない?
最上キョーコが敦賀蓮と堂々とデートが出来るんじゃない!
こんな事一生ないわよ!

そうと決まれば!

「敦賀さん!思いっきり楽しみましょう!」
「いいね。じゃあ、俺も思いっきり楽しむよ。多少ハジけてもいいかな。」
「少年っぽい敦賀蓮さんでお願いします!私まだティーンエイジャーなので。」
「君にふさわしい男になれって事?」
「ティーンエイジャー風でけっこうですから。」
「無理だろうけどって思ってる目だ。」
「そんな器用な事できませんよ。」
「じゃ、タメ口言える?」
「それは無理ですっ!」
「ティーンエイジャーになりきれっていったの君なのに、君が敬語じゃ、ヤル気削がれるんだけど。」
「敦賀さん、ティーンエイジャーは君とかあまり使わないかも。」
「………。」

敦賀さん……ムキになっちゃって、なんかかわいい。
もしかしてこれが素?

「えっと…とにかく、敬語は禁止!いいね。」
「それはちょっ「き・ん・し!」

そう言ってアルマンディのサマージャケットを脱いだ敦賀さん。
ティシャツ一枚なれば……いや、なっても敦賀さんは敦賀さんだ…とは言えるはずもなく、そのご意向に従うしかなかった。



続く





本当は強く儚い者達を更新するつもりが脱線。
いってみーシリーズになりました。
しかも続く。
レイノに千織ちゃん付かせたら、千織ちゃんがヤバイかも…とは思ったけど、そこは千織ちゃんが無意識にする〜しちゃって。
奏江ちゃんは腹でいろいろ考えて企んで煽てて、ポイしそう、もしくは殺伐うとしたデートに。
しかし、蓮とキョココンビが現れてはいろいろやらかしては去って行く〜。
そんなのかく予定です。
よろしければお付き合い下さいませ。

ちなみに、尚ちゃんとレイノ君は特にこれといって邪魔をするわけではない。
密かにハートブレイクくらいかなぁ。

蓮さんにはハジけて頂きます。

月華、根っからの蓮キョ主義。
二人が幸せで笑顔でいてくれさえすれば、まわりはどうでもいいのだ。

でも……いつか、いい男になってくれる事を祈ってる。
尚レイノがいい男になっても、キョーコちゃんは蓮以外には渡さないけど。



蓮キョ万歳!
大好きだ!

秘境にいってみよーっ!2

「さあ、行こうか。」
「それはなんですか。」
「手だけど?」

それは分かってます!

当たり前のように差し出された手。
それをどうしろというのか。

ランチタイムを終え、片付けをスタッフさん達が引き受けてくれて、私はロケ再開の準備を始めた。
同時に敦賀さんも「少し外すね。」と言って車の方へと消えた。
出発の準備を調えたところに敦賀さんも戻ってきた。
どうやら動きやすい服に着替えて来たようだ。

やっぱり同行するんですね。

それは自由ですよ。
敦賀さんがお休みをどう利用するかは敦賀さんの自由です。

だけど…この手は何?

「山道だし、迷うと大変だから。」
「地図によるとお店まで一本道ですよ。」
「女の子は気をつけなきゃダメだから。」
「慣れてますし、スタッフさん達もたくさん控えてますから。」
「途中に幽霊スポットがあるらしいよ。」
「見えなきゃ、怖くもありませんから。昼間ですし。」
「……近所で飼われていたアナコンダが逃げ出したらしいよ。」
「いやぁーーーーっ。」

大抵のものは平気な私。
唯一苦手なモノはアレだった。
名前を言うのもいやなくらい嫌いなのよ。
故に私は思わぬ話題に動揺した。

この田舎において、あんなのそうそう飼う人はいないだろう。
よく考えれば嘘だって分かるのに。

気付いたら敦賀さんにしがみついとてて、そのまましっかり手も取られてた。

「じゃ、出発だね。」

キラキラひかるその笑顔。

この似非紳士!



◆◇◆◇◆



2人、手をつないだまま坂道を歩く。

はっ…恥ずかしい。
カメラを止めて〜っ。

私はこんなに恥ずかしい思いしてるのに、どうしてこの人はこんなに上機嫌なの?

鼻歌までしてるし。

……初めて聞いたなぁ。
敦賀さんの歌。
鼻歌だけど。

「疲れてない?」

ちゃんと私の事も気にしてくれてる。

「疲れたら無理せず、言ってね。」

言いながら、キュッて強めに手を握ってくれる。

……嬉しい。

「疲れたら、お姫様抱っこして上げるからね。」

………疲れたなんて口が裂けても言うもんかぁ!!

歩いていると前から小さなトラックが来た。

「あんだら、どごまでいぐんだ?」

運転席からおじいさんが顔を覗かせる。

「この先にある、お店まで行くんですが、後どのくらいで着けそうですか?」
「兄ちゃん、テレビさ出でる人だべ。ねぇちゃんは新妻京子でねが。」
「違いますっ!」
「人妻京子な。わりわりぃ。」
「通い妻ですぅっ!」

わざと?
わざとでしょっ!

私がドロンドロンの怨念振りまく中、先輩俳優は無駄に輝かしいキランキランの笑顔を振りまいてのたまった。

「新妻京子の方が俺的にはツボだなぁ。」

この人…押したお…いえ、張り倒してもいいですか?

「兄ちゃんの言う店はかっつぁんのどごだな。そだなぁ。いずずかんはかがんでねが?」

訛りに訛った言葉から目的地まで1時間を要する事が読み取れた。

「乗ってぐが?」

いや、乗れないでしょ。
2人乗りのトラックに。

「番組の企画で、歩いて行くしか方法がないんですよ。」
「そか。しゃあねーなぁ。」
「お気遣いありがとうございます。」
「んだ。…最近なぁ、気の荒れぇイノスス出っから気付けろな。突っ込んでくっからよ。危ねど。」

イノススって………猪の事よね?
突っ込んで来るって、突進してくるってことよね?
襲ってくるの?
ウリ坊じゃなくて、デカイやつよね?

そんなのいるなんて聞いてなぁーい!!

「京子、大丈夫だよ。君の事は俺が守るから。」
「敦賀さん。」
「妻を守るのは夫の役目。」
「……。」
「おっ、いい事言うねぇ。…おっと、オラぁけんねげねんだ。かぁちゃんにおごられっつまうがらよ。ほだらば、気付けでげよ。」
「あなたもお気をつけて。奥様によろしくお伝え下さい。」
「おう。夜這い妻京子楽しみにしてっぞぉ。」

おじいさんはエンジンをふかしながら、帰って行った。

私は小さくなるトラックに向かって叫んだ。

「通い妻ですってばぁ〜っ!!」

なんて虚しい叫び。

「俺、いつでもいいよ?」
「何がですかっ!?」
「夜這いされるの?」
「はぁ?!」
「でも押し倒すならベッドにして。」
「はぁ?」
「さっき押し倒してもいいかって言いかけたよね?」
「えっ?」
「口に出てたよ。」
「いっ……いやぁあ〜〜。」

……穴があったら入りたい。
いっそ掘ろうかしら。

だけど、その穴掘り計画はずっと手を握ったまま離さない敦賀さんに阻止されて、かっつぁんさんのお店まで歩く。
足取りは酷く重い。
ついて出る言葉もじっとり湿ったものばかり。

「敦賀さんの意地悪。」
「ん。」
「敦賀さんのバカ。」
「うん。」
「敦賀さんの嘘つき。」
「うんうん。」
「敦賀さんの似非紳士。」
「そうだね。」
「敦賀さんなんか嫌い。」
「それは容認出来ません。」

うねりながらまだまだ続く坂道を半ベソかきながら敦賀さんに手を引かれて歩いてきた。

敦賀さんの手は温かい。
こんなグジグジした気持ちでもあったかいて思えるくらいにあったかい。
だから振りほどく気にすらならなくて、手はつないだまま。

……やっぱり、私は敦賀さんが好きなんだな。

「あっ、あれかな?」

行く先に建物が見えてきた。
看板もある。

もう少しだ!
やっと解放されるっ!

そう思った時…雑木林の中からガサガサという物音が聞こえた。

嫌な予感。

「ブヒッ。」

ガサガサ音を立てながら近づいてくる動物的な鳴き声。

やがて…それはふてぶてしくも、どーんと姿を現した。

これでもウリ坊だった時代もあったんだぜ〜的なデカイやつ。

私達を見た途端、鼻息を荒くして、威嚇してくる大きな猪さんだ。

ああ、どうしよう!

動揺する私の前に敦賀さんがスッと入る。

「つっ…!」
「しっ!静かにして。大丈夫、君は俺が守るから。」
「あぶないですよ。ケガしたらどうするんですか!」
「チンピラ10人の方がよっぽど危険だよ。」

…って、あなた…チンピラさんを10人も相手にした事があるんですか!?

敦賀蓮VS猪。

猪が突進してきた。
構える敦賀さん。

その結末は?

「村雨君とやり合うより楽だったね。」

敦賀さんの足元には昏倒した大きな猪。

敦賀さんは長い足を振り上げたかと思うと
突進してきた猪の脳天に渾身の一撃を食らわせていた。

「手加減してたらヤバかったから…ゴメンね?」

………敦賀さん。
あなた、きっと、 私達なんかよりずっと、この番組に向いてますよ。

定番ですけど、無人島生活とか。
それもスタイリッシュにこなしてそうですよね?

…私…出番なくなるかも。

バラエティにおいてもこの人はライバルになりえるのかと思う日が来ようとは予想もしていなかった。



◆◇◆◇◆



私達の前にはグツグツと美味しそうに煮立つぼたん鍋。

「美味しいね。」

目的のお店は天然物の食材が売りの店だった。
お店の名前もおじいさんが言っていた“かっつぁんの店”そのまま。
ご店主のかっつぁんさんが山で猟をし、山菜を採り、畑で野菜を作り、奥様が調理をしてお客様をもてなす。
そんな夫婦二人三脚のお店だった。

ぼたん鍋も美味しいけど、山菜の天ぷらが最高に美味しい!
お蕎麦も手打ちなんですって。
蕎麦畑もあって、新蕎麦の時期なら石臼で自家製粉した田舎蕎麦も味わえるとか。
いつか来たいなぁ。

奥様オススメのシチューがまたいいのっ!
お肉がよく煮込まれていて、口の中でとろけちゃうの。
……猪のお肉とは想像もつかないわ。

ちなみに……敦賀さんが格闘した猪は、タイミング良く現れたかっつぁんさんが笑顔で引き取ってくれた。
敦賀さんをも凌ぐ長身で、だるまやの大将をも凌ぐ体格の良さのご店主は大きな猪を軽々と担いでしまわれた。
猪を担いだご店主に案内されるのは何ともシュールというか……。

どんなワイルドなお店かと思いきや、お店はカフェみたいなつくりで店内には小柄で可愛らしい奥様が私達を出迎えてくれた。

メニューはその時の食材に合わせて変えるんだとか。
人気のメニューは定番化していて、それを頼んだら出てきたぼたん鍋に焦ったけど、敦賀さんが倒した猪ではないと聞いて少しだけホッとした。

でも凄い奥様だわ。

このお店、スイーツも人気なんですって。

抹茶クリームあんみつが目の前に出され、気分は幸せいっぱいだった。
食べても予想通り美味しくて。

「美味しそうだね。」
「はいっ!」
「一口ちょうだい。」

珍しいなぁ。

「はい、どうぞ。」

器から白玉と抹茶のアイスクリームをすくって敦賀さんの口元へ差し出した。
嬉しそうに口に入れる敦賀さん。

「うん、美味しい。こっちも美味しいよ。はい、どうぞ。」

敦賀さんのはこの店のもう一つの「ずんだはっと」というものだった。

「ずんだ」は聞いたことがあるけど、はっとってなんだろう?

「とにかく食べてみて。はい。」

敦賀さんの差し出すスプーンにはお花型の白いもの、その上に綺麗な黄緑色の餡が乗っている。
察するに下がはっとで、上がずんだなんだろう。
名前からすると郷土料理よね?
なのに何?
この可愛らしさは!?

「はい。あーん。」

パクッ。

モグモグ。

……美味しい。
これお餅じゃないわよね。
平たいうどんみたいな感じ?
…あっ…たぶんこれはすいとんだわ。
すいとんのスイーツ?
もちもちした食感がいいわ。
それにこの餡!
甘さ過ぎない…それだけじゃない甘さを引き立たせる為の絶妙な塩加減!
なんなのこの餡は!

ずんだって何で出来ているの?

「気に入った?はい。もう一口。」

パクっ……モグモ………………ごっ……くん………………あっ。

「俺ももう一口貰うね。」

あっ…。
ああ〜っ!
つっ敦賀さん!
そのスプーン、わっ私が食べ……。

「どうかした?」
「つ…敦賀さん、私たち…スプーン。」
「ん?スプーン?ああ、見事な間接キスだよねぇ。今日は記念すべき日だ。」

なっなんて事ぉっ!?

カメラはしっかり回っているし、ここまで同行してきたディレクターさんはOKサイン出してるし……。
……カットなんか、絶対してくれないわよねぇ。

ああ……これが全国のお茶の間にながれたら、私……敦賀さんのファンの皆さんに抹殺されてしまうんだわぁ。
どうしよう。
どうしよう。
どうしたらいいの?

……ちーん……。




◆◇◆◇◆



スタジオで編集されたVTRを見ている。
あれも、これも、どれも……カットされていない。

人生、これで終わったわ。

……と、思ったのだけど……私はその後もしぶとく生きていた。

敦賀さんはいつもより子供っぽくてかわいいとか、私の事は見ていて面白いとか。

私と敦賀さんのやり取りはモノマネ番組でも取り扱われ……。

世の中全く分からない。

分からないまま時は過ぎ。

「その節はお世話になりました。」

敦賀さんとふたり各テーブルを回っている。

「おめでとうございます。敦賀さん、京子さん!」
「良かったですねぇ。俺たちも嬉しいです。」
「京子さん綺麗ですよ。」
「敦賀さん、京子さんを幸せにして下さいよ。」

長くお世話になった番組のスタッフさん達が座る席だ。

「コーン、万歳!」

何で知ってるの?

「あの話し、もう話しても大丈夫ですよね?」
「いいですよ。」

……私も最近知ったコーンの正体。
それを彼らに話していた?

どういう事?

「敦賀さん、また京子さんとふたりで番組に出て下さいよ。」
「また、秘境?」
「もちろんです。」
「いいよ。」
「よろしくお願いします!」

何、勝手に話してるんですか!

「秘境で田舎暮らしもいいよね。サバイバルなら得意だし、彼女は料理得意だし。」
「敦賀さん、それいいっす!」
「やりましょう!!」

勝手に決めるなぁ!

「ただし、京子が復帰したらね。」

この披露宴が終わったら、私はしばらく休業する。

それというのも、これというのも、あんた達のせいよーっ!

何度も私をエサに敦賀さん引っ張り出して、秘境ロケ。
付き合い出した事をいい事に田舎だから準備出来なかったとか言って無計画にあんな事するからぁ。



秘境ロケなんて、もう絶対やらないんだからぁ!!



敦賀さんのバカーーーーーっ!









終わっちまえ。←すいません。

キョコさん、通い妻から本物の新妻になりました。

通い妻ですと叫ぶのもこれでおしまい。

書いてて楽しかった。

ちなみに披露宴で言っていた秘境で田舎暮らし生活企画は「蓮が食材を確保し、キョコが調理して、客をもてなす。秘境でおもてなし企画」です。
そんな裏設定あり。書きませんけどね。
だから裏設定。


仕事疲れのストレスを発散出来ました。



それではまた。



月華でした。
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げっか(月華)

Author:げっか(月華)
蓮キョ大好きです。
駄文しか書けませんが、よろしくお願いします。

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