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俺と彼女と彼等の実情 6

最上さん宅のリビングで出されたコーヒーを啜る俺。

「びっくりしたわ。まさか蓮君が、キョーコの勤め先の支社長さんだなんて〜。」
「こんな若造が支社長とは……そうよく言われますよ。」
「蓮君、昔から成績優秀だったもの。……周平さんとジュリさんはお元気?」
「ええ。相変わらずですよ。今はニューヨーク支社にいます。」
「そうだったの。こっちに帰ってきてからご挨拶に行ったんだけど、引っ越しされた後だったの。……ところで、キョーコったらどうしたのかしら?ぼーっとして。」
「びっくりしたんでしょうね。俺が幼なじみの”蓮”だと知って。」

最上さんはソファに座ったまま放心状態。
それ程に衝撃だったのか。
それとも成長した俺が理想と違っていたのか。
確かに育ち過ぎているのは認める。
彼女が妖精の王子様といった少年の姿は今はない。
だけど、最上さん。
今度は今の俺を好きになって。
お願いだから。

「最上さん。」

反応がない。

「キョーコちゃん。」
「ふぇっ!?」

あっ反応した。
キョーコちゃんと呼んだ方がいいみたいだ。

「キョーコは蓮君に気づいてなかったの?」
「俺もですよ。車の中で幼い頃に交わしたあの約束の事を話してくれて、それで気づいたんです。」
「蓮君のお嫁さんになるのが小さい頃から夢だったもの〜。蓮君も……苗字変わってたから、気づかなかったんでしょ?私達……一度離婚したの。だから。」
「そうでしたか。俺、何度かエアメール送ったんですが……何度、出しても宛先不明で戻って来たんですよ。」
「あら、いつ?」
「引っ越しされてからすぐと、その後も何度か。」

必死で書いたエアメール。
戻って来る度にせつない思いをしたものだ。

「……………。」
「お母さん、どうかしたんですか?」
「私達が離婚したのは、5年後よ。それまでは同じ場所に住んでいたし。教えた住所が間違っていたのかしら。……そういえばレイノが、何度か日本からのエアメールを配達員に返していたような。………まさかね。うふふ。」
「………………(あのクソガキャーっ!!)。」

相変わらず天然キャラな彼女の母親の発言に全てを理解した俺。
双子の片割れレイノ。
あいつは要注意なガキだった。
不思議と俺には害が無かったけれど、キョーコちゃんに言い寄る男がいると良からぬモノを相手にとり憑かせたり、他人の行動先読みしたり……とにかく油断ならないガキだった。。
絶対、あいつだ。
配達員は日本語が理解できる人間だったのかもしれないが、幼児のいう事をそう簡単に鵜呑みする大人は普通いないだろう。
そうなれば、……あの妙な力を使って配達員をだまくらかしたとしか思えない。
………何たるガキだ。
やられてばかりだったあの頃。
だが、もう好きにはさせない。
彼女の心が俺にある以上、お前達には手出しはさせない。
絶対に。



「ただいま〜。逸美?誰か来てるのか?」

ん?
この声は………記憶に間違いないなら。

「あっ、主人が帰ってきたわ。」

パタパタとスリッパを鳴らしながら玄関へ向かうお母さん。

「秀人さん。お帰りなさい。」

離婚したんじゃなかったのか?

「蓮君が来てるのよ。」
「蓮君?妖精の王子様か!!」

いや、それはもういいですから。
廊下から聞こえてくる会話にツッコミいれつつ大人しく待つ。

「やっと来たか。遅いなぁ。」
「原因はあなたのせいでもあるわよ。」
「なんで!?」
「蓮君。キョーコの会社の支社長さんなのよ。苗字が変わってて、今日、気がついたんですって。」
「だから、ごめん。許して、逸美ちゃん。」
「知りません。」
「浮気はしてないでしょ。」
「未遂でも許せません!」
「もうしないから。」

未遂で離婚。
お母さん……なかなか厳しいですね。
まぁ、俺は浮気なんかする気はさらさらありませんけどね。

リビングに入ってきた彼女のお父さんにソファから立ち上がり挨拶をした。

「お久しぶりです。蓮です。」
「随分といい男になったじゃないか。キョーコを迎えに来たんだって?」
「はい。」
「え〜〜〜っ!?」

放心状態だった最上さんが叫びを上げた………やっと正気に戻ったらしい。

「キョーコは、びっくりしてるみたいだけどな。どうする、蓮君。」
「いきなりプロポーズは出来ませんから。お付き合いを申し込もうかと。」
「ほぉ。そうか。しかしな……キョーコは俺の大切な娘でね、そう簡単には渡せないなぁ。」

まぁ、とんとん拍子に事が運ぶなんて思ってない。
ある意味、父親の方が強敵かもしれない。

「蓮君。今日は泊まっていきなさい。」
「えっ?」
「お父さん!!」
「逸美、うちの酒、ありったけ持って来てくれ。」
「二日酔いになっても知らないわよ。明日も仕事なのに。蓮君だって。」
「酒ごときに飲まれるような男にキョーコは渡せないからな。世には誘惑もたくさんあるし。」
「その誘惑に負けそうになったあなたが言う台詞ではないわね。」
「ごめんってば。」
「次はありませんから。」
「肝に命じておくよ。」
「だといいですけど。それと飲むのはけっこうですけど、ちゃんと召し上がって下さいね。」
「軽く何か作ってくれる?」
「もう用意してありますよ。」

続く夫婦漫才。
少なくとも、お父さんには殴られなくて済みそうだ。

「というわけだから、蓮君。今夜は飲もう。」
「お父さんがよろしいのでしたら、是非。」
「しっ支社長!お父さん!!」
「キョーコちゃん。大丈夫だよ。」
「キョ……!?」
「キョーコちゃんも俺の事は蓮って呼んでね。」
「ええ〜〜っ。」

彼女が驚きの声をあげる中、彼女のお父さんの夕食も兼ねたツマミとグラスがテーブルに並んだ。
日本酒の入った一升瓶を置きながら彼女の母親がにっこり微笑む。

「蓮君。頑張ってね。この人、けっこう強いわよ。」

俺もそれなりに強いつもりでいるけど、あえてそれは伏せた。
確実にお父さんには沈んで貰わなければ、後が面倒だからだ。
最上家における自分の存在を確固たるものにする。
その為には先手を打つしかない。
それも、あの双子とのバトルに欠かせないものを得るため。
俺は置かれた一升瓶を手にとり、封を開けた。

「お父さん。どうぞ。」
「おっ、悪いね。」



まずは一勝だ。
俺は、なみなみと注ぎ返されたグラスを一気に煽った。











ども月華です。
貴島さんと逸美ちゃんをカップルにしてみましたぁ。
ので、昔の名前は”貴島キョーコちゃん”でした。ゴロ悪いな。
離婚して日本に戻って来た逸美ちゃんに、さらにアタックかけて復縁した貴島さんなのでした。
…………これまたベタな。
ちなみに長男はミロクさん、長女が奏江ちゃんです。
ミロク、奏江、キョーコ、尚、レイノ……この5人の両親には普通の人じゃ無理そうなので、貴島さんと逸美ちゃんにしました。
という家族関係の貴島、最上家。
今しばらくお付き合い下さい。


月華
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俺と彼女と彼等の実情 5

「最上さん。食事に行こう。」

仕事が終わり、帰り支度をしている彼女に声をかけた。

東京支社長のポストが暇なわけではない。
今日だって、鬼のように仕事をした。
舞い込んだトラブルも、即座に対応して、集結させた。
相手あっての事である以上、不足の事態はあって然るべき。
ようはトラブルをいかに迅速に処理出来るかが、重要だ。
その上、社さんと最上さんという双璧が俺をサポートしてくれている。
おかげでサクサクと仕事は進み、後は帰るだけ。
接待の予定もない。
せっかく早く帰れるのだし、あの双子に邪魔されないうちに彼女を掻っ攫ってしまおう。
俺は早速行動に移した。
移した結果………。

「でも……。」

戸惑う彼女。
彼女の場合、夕飯を作りに来てくれと頼む方が捕まりやすい。
というか、それもどうかと思うのだが。
相手が自分であるため複雑な気分だ。
これでよく無事でいられたものだ。
あの双子の努力の賜物か。
そんなとこだけは、相変わらずいじましい。
そんな俺や彼等の真意を知らぬままの彼女。
男の心理を知らぬ彼女を言いくるめる手段はいくらでもある。
あの双子がいない今なら、尚の事。

「寂しい一人暮らしの男の食事に付き合って貰えないかな?」
「支社長。おもてになるのに。どうしてお一人なんですか?不思議でしかたがありません。」

心底、不思議そうな顔をする彼女に俺の心がチクリと痛む。
彼女はもう俺の事なんか忘れてしまったのだろうか。

「そういう君も彼氏いなかったよね。」
「えっ!?」

驚いた顔の彼女。
この反応はなんだろう。

「どうしたの?」
「なっ……なんでもありませんっ!」
「最上さん?」

彼女は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
この反応は、なんだ?
何故、赤くなる?

「しっ支社長!参りましょうっ!!お店が閉まっちゃいますよ。」

時計が示す時間は6時半を過ぎたばかり。
閉まるような時間ではない。
何かをごまかすように俺の腕を引く彼女。
何だ?
……………まさか、好きな相手がいて、その照れ隠しか?
冗談じゃないぞ。
そんな事が許せるものか。
とにかく何とかして聞き出そう。

逃がさない。
絶対に。



「支社長…………。」
「ん?何?」
「なんでこんな高そうなお店に。私……払えませんよ〜っ。」

オロオロする彼女。
本当にかわいいな。

「いいんだよ。俺のおごりだから。」
「そんな訳にはまいりません!」
「お弁当や夕飯のお礼だよ。君、材料代すら受け取ってくれないからね。」
「でも……。」
「誘ったのは俺。だから大人しくおごられなさい。ね?」
「すいません。」
「俺としては”ありがとう”の方が嬉しいな。」
「……ありがとうございます。」
「よろしい。」



グラスに注がれたワインの芳香。

「うわぁ。綺麗な色。」

彼女の為に頼んだロゼワイン。
彼女には透明感のある赤が似合いそうだから、それにした。

「ごめんね。俺、車だから、付き合えないけど。」
「私も支社長と同じものでよかったのに。」
「今度はお酒も付き合ってね。」
「支社長、お酒、強いのに無理ですよ。」
「自分のペースで構わないから。ね?」
「了解しました。」

それから、二人で食事してあっという間に時間は過ぎていく。
程よく酔った彼女を助手席に乗せ、自宅へと送る。

「最上さん。大丈夫?」
「大丈夫です。」
「ごめんね。無理にすすめちゃったかな。」
「大丈夫ですから。でも今日はありがとうございました。」
「どう致しまして。」

彼女を酔わせたのも計算のうち。
多少酔った状態なら聞き出せるかもしれない。
予想外だったのは、予想以上にアルコールに弱かった事。
早く聞き出さないと眠ってしまうかもしれない。
その時は次の機会にするけど。

「最上さん。今好きな人…いる?」

ストレートに聞いてみた。

「いますよ。」

胸がチクリと痛んだ。
だからといって諦める気はないけれど。

「その人、支社長のお名前と同じなんです。」
「えっ。」
「その人が言ってくれたんです。必ず私を迎えに来てくれるって。」
「………。」
「……お嫁さんにしてくれるって約束して……だから…わた……し………。」
「…………。」

寝入ってしまった彼女。
やっぱり彼女はキョーコちゃんだった。
静かに路肩に車を停めた。

「れん君。」

それは俺の名前。

「キョーコちゃん。」

俺達の恋は終わっていなかった。

「キョーコちゃん。遅くなってごめん。あの時の約束、まだ有効なんだね。これから君を迎えに行ってもいい?」

眠る彼女の唇にそっとキスをした。
触れるだけのキスを。



「最上さん。起きて。」
「ん………。ぁれ?わた…し……っ!?」

覚醒したみたいだ。

「君の家、この辺だよね?」
「ししししし…支社長っ!すいません。私、眠ってしまって!」
「別に構わないよ。」
「構わなくありませんっ!!」
「それより道案内して。さすがにこの先は解らないから。」

本当は住所も把握しているけれどね。
顔を真っ赤にした最上さんの道案内で、一軒家に着いた。
小綺麗な高級住宅地、明かりがついている。

「支社長、よろしければコーヒーでも。」
「いいの?」
「いいも何も、ぜひ。」
「ありがとう。お邪魔するよ。」

空いているスペースに停める。

「どうぞ。」

促されてドアの前に立つ。
ここが彼女の家。
彼女がドア開けると……決まって。

「キョーコちゃーん。お帰りなさぁい。」

彼女の母親が明るく出迎えてくれる。
全く変わっていない。
恐ろしい事に、彼女の母親は見た目さえ記憶の中のままだった。
俺の母も相当な若作りだが、彼女は少なくとも5人の子供を産んでいるのだ。
にも関わらず、この変化の無さはなんなのだろう。

「あら、お客様?」
「ママ、今日は支社長に夕飯をご馳走になって、そのまま送ってきて頂いたの。」
「まあ、ありがとうございます。」
「お邪魔致します。LME東京支社の支社長を勤めております敦賀蓮です。」
「敦賀……さん?」

覚えがあるらしい。

「全くお変わりがないですね。昔、隣の家に住んでいた蓮です。」
「蓮君なのっ!?」
「しっ支社長おっ!」
「今日は彼女を迎えに来ました。お約束通りに。」



これは先制攻撃。
俺は必ず彼女を手に入れる。






安直な展開でごめんなさい。
ではまた。


月華

俺と彼女と彼等の実情 4

彼女はいつも笑っていた。
俺の事を妖精の王子様みたいだって言っていたけど、俺にとっては彼女こそが妖精そのもだった。

「キョーコちゃん。僕のお嫁さんになって。」

彼女は輝くような笑顔で、頷いてくれた。
それは幼い頃の夢。
大好きだった、隣の家の女の子、キョーコちゃんと俺の夢。

最上さんと同じ名前の女の子。

あの子にも弟が二人いたっけ。
いつも一緒で。
そうだ、いつも邪魔されていた。
かわいいあの子の手は、いつも彼等の手を握っていて、俺が触れる事はかなわなかった。
最後に彼女に触れたのは別れの日。
彼女がアメリカに引っ越すあの日、彼女と交わした約束。
ぎゅっと繋いだ手の温かさ。
俺の初恋。
彼女は元気だろうか。
きっと俺の事なんか忘れて幸せに暮らしているだろう。
俺のせつない恋の思い出。
だけど、今はそんな感傷に浸っている場合じゃない。
俺はまた、恋をした。

そしてまた双子……似てない双子。

俺は……双子と戦う運命をしいられているのだろうか。

……いや、待てよ。
双子?
似てない双子?
名前…なんだっけ?
彼女は彼等をなんと呼んでいた?
思い出せ。
思い出すんだ。

『蓮君、ごめんね。……と……までついて来ちゃったの。』

思い出せ!!

そして、何故だか最上さんの姿か重なる。

『尚!レイノ!』

最上さんとキョーコちゃんが……。
過去どうしても勝てなかったあの双子と最上さんの弟達が……。

馬鹿なっ!!
苗字が違う。
そういえば、出したエアメールが宛先不明で戻ってきたんだ。

苗字が変わったから??
……有り得る。

もしそうなら………。



「…………。」

目を開ければ暗闇の中。

「キョーコちゃん。もし君なら、今度こそ逃がさないよ。」

呟きが闇に消えた。



朝、出社すると、最上さんがいた。

「おはよう。」
「おはようございます。」

朝から君の笑顔が見れる幸せ……もっと味わっていたいよ。

「おはようございます。支社長。こちら、昨日の資料になります。可能な限り集めましたので、ご確認下さい。」

「ありがとうございます。社さん。」

中身はおそらく、最上さんの家族の事。

「早いですね。」
「ネットの情報をかき集めただけですよ。他はツテを使って調査中。」
「俺も思い出した事が有るんですよ。後でいいですか?」

ちらりとコーヒーを入れてくれている最上さんを見る。
気づかれてはいない。

「最上さん。後で企画室に資料を届けて貰えないかな。」

コーヒーを運んできてくれた彼女はデスクにカップを置いた後、にっこりと笑って書類を受け取る。

「かしこまりました。」

眩しくて、明るい笑顔は確かに、懐かしい彼女のと同じ。
やっぱり間違いない。
君はキョーコちゃんだ。
俺は今度こそ、君を手に入れる。



「で、思い出した事って、何を。」

彼女が支社長室を出て直ぐに社さんが声をかけてきた。
俺は手にした資料をデスクに置いた。
社さんが集めてくれた資料だ。

「社さんが集めてくれた資料で確信しました。」
「ん?」
「思い出したんですよ。彼女は俺の幼なじみで、初恋の相手です。」
「……は?」
「苗字が変わっていて気づかなかったんですが、間違いありません。」
「れっ………蓮。顔……。」
「あの双子……散々、俺とキョーコちゃんの邪魔をしておいて、まだ足りないのかっ!!」
「蓮、落ち着けっ!」
「あっんのクソガキどもがーあぁっ!!!」
「だから落ち着けーっ!!!!」

息が苦しい。
動悸が……。
あいつ等を始末しないと俺の平穏はやってこない。
過去の甘い思い出と、忌ま忌ましい日々が走馬灯のように脳内を駆け巡る。
許せん。
今度こそ、息の根を止めてくれる。←かなりぶっ飛んでる蓮さん。

「蓮。とにかく今は落ち着け。……俺の知り合いがTV局のプロデューサーやっててな、情報を回してくれる事になってる。多少の役には立つはずだ。何より人気の二人なんだし、キョーコちゃんの事ばかりに構っていられないだろ。とにかく、今日は死ぬ気で仕事を片付けろ。今は忙しい時期じゃない。今のうちにキョーコを仕留めとかないと……長引くぞ。」
「そうですね。」
「顔……元に戻せよ。キョーコちゃん怯えられたらどうしようもないだろうが。」
「………すいません。」

ほどなくして、最上さんの明るい声が支社長室に戻って来た。
やはり、彼女がいると落ち着く。
彼女なくして俺の未来はない。
あのガキども……見てろよ。
彼女は必ず、俺がっ!!

「蓮………、顔。」

社さんの声にはっとして、俺は差し出された新たな書類に目を通した。



俺と彼等の戦いは、低レベルながらもえげつないものへと発展していくだろう。
因縁の対決なのだから。
けっして譲るつもりはない。
彼女は必ず手に入れる。



「蓮。」
「なんですか?」
「顔。魔王みたいだぞ?」
「気のせいですよ。」
「………。」



戦いはもう始まっている。







ども。
月華です。
笑って許して。



ヤツと姉貴と俺達の現状

※尚とレイノは双子でキョコたんの弟設定です。




今日は嫌な奴にあった。
あいつ……キョーコに惚れてやがる。
すぐに分かった。
しかも無駄に顔がいいときてる。



昔からキョーコは警戒心がない。
愛想もいいものだから、勘違い男がキョーコに纏わり付くのだ。
幼い頃から俺とレイノは苦労した。
最初は、隣に住んでたキョーコより2つ年上のガキ。(←当時尚・レイノは幼稚園児)
やたらと顔の綺麗なガキだったのを覚えている。(←尚・レイノはさらにお子ちゃま)



「キョーコちゃん。」
「○○君。どうしたの?」
「大きくなったら僕のお嫁さんになってくれる?」
「お嫁さん?いいよ。」



今思い出しても腹が立つ、あのクソガキ。(←当時さらにガキンチョだった尚君。)
俺とレイノはそれからと言うものキョーコを守らなければと心に決めた。
隣のいけ好かないガキが近寄ろうとしても、甘えるフリをして、強引に割って入る。
俺とレイノでキョーコの脇を固め、繋いだ手を放しはしなかった。
親父の仕事でアメリカに引っ越す事が決まった時、俺達はホッとした。
だけど……。



「キョーコちゃん。」
「○○君。」
「いつか。迎えに行くから。」
「うん。」
「だから僕を忘れないで。これを上げる。」



目に涙をためがながら、蒼い石を受け取るキョーコ。
車中で騒いでいた俺達の事なんか、キョーコもアイツも見えていない。
2人の周りだけが、世界から切り離されているかのようだ。
俺とレイノはチャイルドシートなんてもんに繋がれて身動き出来なかった。
両親はかわいいとかなんとか言いながら見ていたが、冗談じゃない。
もがいて外に出ようとしたけれど、クソ親父が放しちゃくれなかった。
「今日くらい、好きにさせとけ。」……なんて冗談じゃないっての。



「うわっ。今、色が変わったよ。」
「それ魔法だよ。」
「魔法?」
「うん。いつかキョーコちゃんが僕のお嫁さんになれますようにって魔法をかけたんだよ。」



冗談じゃねーーっ!
こんの…ませガキがぁっ!!



「れん君。大好きっ!」



「〜〜〜っ!?」
目を開けると視界は真っ暗で何も見えなかった。
俺は夢を見ていたらしい。
なんで今頃こんな夢……。
ちくしょー。
今まで忘れていたクソガキの名前まで思い出しちまったじゃねーかよ。
”れん”……それが、アイツの名前。
忘れていたのに、忌ま忌ましい。
………いや、待てよ。
キョーコんとこの支社長の名前、確か……”つがる れん”とか言わなかったか?(←尚さん、名前間違ってます。)
れん……偶然だよな?
その時、部屋をノックする音がした。

「尚、起きてるか?」

双子の弟レイノだ。

「ああ、忌ま忌ましい夢見て、起きちまったぜ。」
「お前もか。……入るぞ。」

身体をベッドから起こして、明かりを点けた。

「お前も見たのかよ。」
「ああ、名前までしっかり思い出すはめになった。」
「”れん”だろ?」
「ああ。キョーコんとこの支社長同じ名前だ。」
「それだけじゃない。敦賀蓮。アイツだ。キョーコに蒼い石を贈ったのは、アイツだ。」
「はぁ!?」
「あの男が、あの蒼い石の贈り主だ。」
「うそだろ……。」
「そうだと思いたいが、間違いない。」

レイノには不思議な力がある。
レイノがそうだと断言した事が間違っていたためしがない。

「アイツが……。」
「幸い、二人とめ気づいてない。……どうする?」

どうするも何も。

「決まってんだろ。」

そうだ、キョーコを渡してたまるかよ。



こうして、俺達と”れん君”の戦いは密かに再開された。






本編へ続く。





ども、月華です。
俺と彼女と彼等の実情の尚視点です。
タイトルを4にするつもりだったのですが、よく考えたら”俺と”……という事は完全に蓮視点にしないとマズイんじゃないかとタイトル別にしました。あはは。
急遽思いついたので、前回までのストーリーをちょっと修正しないといけません。
支社長の初恋は小学生の時でお隣に住んでいた女の子ですから。
後で直しまぁす。

そんなわけで、こっちのお話しめよろしくお願い致します。

ちなみに、キョコ達のパパママはクーとジュリエナではありません。
次に出したいです。
椹さんでもないよ。

ではまたぁ〜。



月華でした。


俺と彼女と彼等の実情 3

アナザー編3話目。
尚とレイノは双子設定。
キョーコお姉ちゃんは譲れませんと奮闘中。
目の前の障害物排除に蓮さんは燃えています。
それを踏まえて読んで下さいね。





居酒屋”だるま屋”の暖簾が掲げられた店の引き戸を開けて中に入る。
賑やかな店内も出迎えてくれた女将さんの笑顔も以前と変わらぬままだ。
味は旨いが商談等には向かない為、すっかりご無沙汰になっていたが、プライベートで来るなら、ここがいい。

「いらっしゃいませ。…敦賀君と社君じゃないかい。久々だねぇ。大学卒業依頼だね。また男っぷりが上がったみたいじゃないか。」
「女将さん。お久しぶりです。お変わりありませんね。」
「やっぱり、ここは落ち着くな。堅苦しくなくてさぁ。女将さん。個室、空いてない?空いてなかったらカウンターでいいよ。それとコイツにはメシ食うまで酒は出さないでね。コイツの未来の奥さんにきつぅく言われてるんだ。そんなわけだから、なんかオススメ頼みます。」

”未来の奥さん”……否定はしない。
これから先の運命を共にするなら彼女がいい。
彼女以外考えられない。
俺は完全に彼女にまいっていた。

「個室なら、ちょうどキャンセルが入ってね、空いてるよ。敦賀君の彼女かい。今度、その子も連れてきておくれよ。」
「そのうち連れてきますよ。」

……まだ彼女にすらなって貰っていないけどね。
否定しない俺を見て、社さんがニヤニヤと笑う。
本当に学生時代に戻ったかのようだ。
旨い酒と旨い料理が確約されたこの店で、俺の恋話で盛り上がろうという気満々だ。
俺としても是非とも相談に乗ってほしいところでもあるし、聞いてくれるのは助かるけれど。

女将さんの案内で通された個室は店内の奥まったところにあった。
一度さがった女将さんが飲み物や小鉢を乗せたトレイ持ってやってきた。
俺の目の前にはお通しとウーロン茶、社さんには生ビールがが置かれた。

「今、用意してるからね、それまでこれでも食べておいておくれ。もちろんサービスだよ。」
「女将特製のおでんだ。懐かしいな。」
「こればかりは大将でも出せない味ですからね。」
「そう言ってくれると嬉しいねぇ。」

一つ箸で摘んで食べてみる。
やはり、味は変わってない。

「旨い。……ビールほしくなるなぁ。」
「ちゃんと食べたらな。」
「婚約者にしかられないようにしないとねぇ。」

婚約者か……女将さんに嘘をつかないように彼女を捕まえないといけないな。
逃がすつもりはさらさらないけどね。
女将さんが客に呼ばれて、個室を出て行った後、お疲れ様の意味を込めて手にした互いのグラスを合わせた。

「さて、蓮。とりあえず、お疲れさん。今日は友人として話しを聞かせて貰うからな。婚約者とか言われても否定しないあたり…本気で行く気だな?」
「遊び半分なんて失礼でしょ。本気ですよ。」
「彼女の弟達に変な対抗意識を持っての事じゃないよな?」
「彼等はきっかけに過ぎませんよ。俺がプライベートでなんとも思っていない女性を自宅に上げるよな男だと思ってるんですか?」
「昔からそこは徹底してたよな。お前。」
「ただ心配なのは彼女ですね。恋人でもない男の部屋にあっさり上がり込むなんて。……今までよく無事で。」
「そりゃ、あの双子がことごく排除してきたんじゃないのか?警戒心なさ過ぎるところを見ると。」

まあ、そんなとこだろう。
彼女は男に対する危機感を微塵も持ち合わせていない。
まさに箱入り娘的な彼女。
あの艶やかな唇すら、綺麗なままかもしれない。

「社さん。協力して頂けますか?」
「もちろん。」
「ありがとうございます。」

社さんがいてくれるなら、相手が双子だろうが三つ子だろうが、兄弟全員だろうが、家族ぐるみで邪魔をはろうが丸め込むなんてたやすいだろう。
俺の未来は明るい。
軽いノックの音がして、女将さんが料理を持ってやってきた。

「お待たせしたね。オムライスだよ。敦賀君用に野菜や具材を多めにしたからね。それとこっちはきのこと根菜とあさりの和風パスタだよ。それと串もの…白レバーが入ったからね。社君好きだったろう。」
「覚えててくれて嬉しいなあ。」

意外な事に洋風メニューが目の前に置かれた。
取り皿も何枚か置かれた。

「女将さん。レパートリー増えたね。俺てっきり茶漬けでも出るかと思ったよ。」
「来たばっかりの客に茶漬けは出さないよ。とにかく食べてみとくれ。旨いよ。………おや?敦賀君、オムライスとパスタは嫌いかい?」
「蓮?お前、嫌いなものなかったよな?極端に少食なだけで。」

俺はテーブルの中央に置かれたオムライスとパスタを交互に見た。
この香り、この盛り付け……見た事がある。

「女将さん、このオムライスとパスタはいつ頃からメニューに?」
「ああ3年くらい前からかね〜。バイトの女の子が賄いで作ったのが客にウケてね。このオムライスなんか、8の字だろう。だるまに見立ててもいるし、無限大の文字でもある。漢字にすると末広がりだろう。学生にも年配にも評判でね、今じゃ定番メニューだよ。こっちのパスタは大根とにんじんの繊切りが入ってるんだよ。普通のパスタよりヘルシーだって事で女性に大人気だよ。」
「バイトの女の子?」
「今年の春までバイトしてくれた子なんだけどね。器用な子でね、若いのに一人前の板前並に包丁捌きがいいんだよ。手際もいいし、器量もいい。何より気立てが良くてね〜。優良企業で秘書室に勤務が決まってね。この間久しぶりに来てくれたけど、すっかり綺麗になっちっまってさぁ、悪いムシつかないか、うちのも私も心配になっちまったよ。敦賀君とか社君みたいな男なら安心なんだけどねぇ………、おや、社君までどうしたんだい。」

確信は得たけれど、確かめなければ。
オムライスをスプーンで切り分けて小皿に盛る。
この感触、このライスの色と香り。
一口食べれて確信した。
彼女の味だ。

「女将さん。その子もしかして、”最上キョーコ”さんって子じゃない?」
「社君、キョーコちゃんと知り合いだったのかい?」
「知り合いも何も、今年うちの会社に入社して、俺と一緒に蓮の秘書やってるよ。」
「ええっ!?そうなのかい?」
「今度、一緒に来るよ。」
「もしかして、敦賀君の彼女っていうのはぁ……やだねぇ。早くお言いよ。そうかい、敦賀君と……。こんな偶然も、あるもんなんだねぇ〜。」

俺はますます彼女を手に入れなければならなくなった。
何故ならば、開いたドアの向こうで大将の握る包丁がきらめいていたからだ。

「坊主……。」

凄む大将。
ここは正直に”これから告白する気です”というべきだったのかもしれない。

「アイツを不幸にしたら、ただでは済まさんからそのつもりでな。」

真実を告げる前に大将は板場へと帰っていく。

真実は言えそうにない。
これは早々に手を打たないとまずい。

「おっと、あたしも戻らないとね。ゆっくりしていっておくれよ。」

まずい。

「蓮。」
「なんですか?社さん。」
「お前、何が何でも、キョーコちゃんを落とせ!」

そういった社さんは、まるで詐欺を斡旋する悪徳業者のような顔で、俺を見ていた。



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げっか(月華)

Author:げっか(月華)
蓮キョ大好きです。
駄文しか書けませんが、よろしくお願いします。

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