モノマネでいってみよーっ! リターンズ 4

キョーコ。
腹を括らなければいけない時が来たよ。
俺も君も。

現時点で明らかのは挑戦者3組よりも君の評価が高いということ。

ここで俺が負ければ君はまたこの番組に出演する事になる。

俺は何が何でも君を超えなければならない。

まさか……この業界で君を追いかける日がくるなんて思っても見なかったよ。

……キョーコ。
君がその気なら俺も全力を出し切るよ。
俳優?
敦賀蓮のイメージ?
……そんなのを気にしていたら負けるっ!

良くも悪くも負けず嫌いな彼女。
やると決めたら全力を尽くす彼女。
一生懸命な君を愛しているけれど、今日はライバルとして全力で戦うから。

燃える闘争心。
火をつけたのは愛する君。

「注目の決勝戦!最後を飾るのはこの方。敦賀蓮さん。再々登場です!」
「どうぞぉっ!!」



黒のロングコート風の衣装にサングラス。
髪を撫でつけてオールバックに。

バックはスクリーンで、投影された映像が流れる。
人気を博したハリウッド映画のワンシーン。
発射された無数の弾を身体を仰け反らせて避けるシーンだ。

同じタイミング。
同じ態勢。
同じスピード。

あちらはワイヤーや映画の加工でのもの。
それをリアルで再現するのはなかなか骨が折れる。
筋力とバランス力を駆使している為、身体中が悲鳴を上げる。
それを強引に押さえつけて態勢を保つ。

モノマネもなかなか骨が折れる。
スクリーンの中で銃を撃つ男も実は俺なんだけど、気づいて貰えるだろうか。

画面は暗転し、ステージも闇に包まれる。
素早く身を隠した。
そこにはミスジェリーウッズが待機していてくれて、衣装替え手伝ってくれた。
衣装替えと言っても、下に着込んでいるから、黒い衣装をぬぐだけなんだけど。
重要なのはヘアメイク。
時間はかけられないけど完成度は高くしたい。
そのためにミスジェリーウッズに依頼したのだ。
サングラスを外し視界がクリアになる。
神技のようなテクニックでメイクをほどこされ、特注のウィッグをつけると、不敵な笑みで背中を押された。

ありがとうございます。
ミスジェリーウッズ。

ステージに明かりがともる。

同時にバックスクリーンに映像が投影される。
もうそこは異世界だ。
異形の姿で襲い来る巨人…トロール。
俺は弓を構え放つ。
目に命中し、もがき苦しむトロール。
今度は醜悪な姿の敵が剣を振りかざし襲い来るのを剣を抜いて応戦した。

実際には剣も弓矢も持っていない。
全て映像だ。
これが、難しいのだ。
立ち位置も、動作も、全てタイミングを合わせなければならない。

俺が今演じているのはエルフと呼ばれる身体能力の高い役だ。
飛翔というにふさわしい動きを体現しながら、映像に合わせるのは至難の技だ。
正直…キツイ。

でも、後少しだ。

この最後の一振りで。

復活を妨げられた冥王が断末魔の叫びを上げ、消えていく。

映像は切り替わり、美しい巨城が移し出される。
花が舞い祝賀ムードを醸し出す。
王とエルフの姫が結ばれるシーンだ。
準備していたマントを羽織り、エルフのウィッグをはずす。
撫でつけていた髪を手ぐしで直しながら、花嫁の元に向かった。

花嫁?
俺にとっての花嫁は一人しかいない。

固まったまま動かないキョーコの前に立つ。

俺の後ろに付き従うように侍女姿のミスジェリーウッズがいて、彼女が掲げていたものを受け取った。
それは映画の中の花嫁が纏っていたドレスに似せたケープだ。
それを彼女に纏わせて、ステージへと引き込む。

華やかな色彩が覆うスクリーンの前で、俺は彼女にキスをした。





「結果発表です!」
「”モノマネ戦国時代天下統一大決戦
美しき覇者の愛を手にするなは誰だ?”
その栄えある勝者は!?」





結果?
それは俺の口からは言えないよ。
放映されるのを見て確認して欲しいからね。

俺は全力を尽くした。

今後、俺がモノマネなんてものに関わる事はもう無いだろう。
…というよりも”無理”だ。

モノマネを芸にして生きている者達に、俳優でしかない俺が勝ち続けられるわけが無いだろう。



モノマネなんて二度とやるもんかっ!!





おわじっ!!





おそまつさまでした。
すいませんm(_ _)m

ちなみに蓮さんがやったのはマト○ックスのネオとロード・オ○・ザ・リングのレゴラスとアラゴルン。

分かりづらくてすいません。
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モノマネでいってみよーっ! リターンズ 3

挑戦者としてリーグ戦から勝ち抜いて来た3組みのステージが終わり、残すはキョーコと俺のみ。
直前で順序が入れ替わり、俺がトリを務める事になった。

俺は舞台袖から彼女の登場を待った。

華々しく光が飾るステージ。
日本でもよく知られる海外のアーティストの曲が流れる。
ステージの中央には登場口があり、そこから彼女は美しく華麗に現れた。

あの足運び……あの動き……あの表情……あの雰囲気!!
母さん!!

彼女は俺の母であるジュリエナ・ヒズリの姿で現れたのだ。

風格も、仕草も、全て完全にコピーしている。

マズイ。

彼女が勝利する事もだけど、何よりマズイはこの状況だ。

俺だけが知っていればいい彼女の魅力が全国に…いや、世界に広まってしまう!

生きた宝石、世界の至宝と言われるあの人を再現できる女性を誰が放っておく?
すぐにでも通用しそうなウォーキング。
まだ十代という若さが秘めた可能性。
誰も持ちえない変身ぶりとその演技力。

そんな逸材を誰が見逃す?

………彼女の活躍の場が広がるのはいい。
彼女の周りにおかしな男達が増えるのが一番マズイんだ!!

母さんはあんなタイプだし、近づく男達も難なく交わして来た。
父さんだって苦労して口説いたらしい。
今となっては押しも押されもせぬトップモデル兼女優でハリウッド人気俳優の妻……男達は物欲しそうに見ているだけ。

だけど、彼女はどうだ?
芸能界入りして数年。

売れているとはいえ、地位や名声のある人間にはかなわない。
俺が守るにしても限界がある。
俺もまだ若手、大御所なんて出て来たらどこまで防ぎきれるか。

ぷちっ。

………キョーコ。
今夜、お仕置き決定ね。

その前にやらなきゃいけない事があるな。
こんな事もあろうかと準備はしていたんだ。
彼女の母親にも会いに行こう。
なにしろキョーコはまだ未成年。
親の承諾が必要なのだ。
こっそり所在を調査して、連絡先も掴み、「いずれは」と、話しを通してある。
それが早まるだけだ。

しかし、まさかBOOSTの記者とは思わなかった。
彼女が足を負傷した時の……あのホテルにいた不信人物が彼女の母親だったとは。
……あの姿で不信人物に思われていないと判断するあたりは間違いなく彼女の母親だけれど。
思わぬところで娘を見つけ、変装した末らしい。

それはいいとして、彼女の母親とは独占取材さえOKすれば承諾は取れる。

………彼女の了承は取り付けてないけど、今夜中には落とす。
必ず!

演技を終えたキョーコに賞賛の嵐が降り注ぐ。

キョーコ。
やっぱりお仕置き最初だね。
君の母親へは明日二人で会いに行く事にしよう。



◆◇◆◇◆



ぶるっ。

「京子さん、どうしました?」
「いえ、ちょっと悪か……寒気が。」
「そう言えば、ちょっと肌寒いかも?」



寒蓮前線発令中。

モノマネでいってみよーっ! リターンズ 2

二回戦目の開始を前に、京子がステージに現れた。
金のウィッグにクラシカルなロングドレスは彼女が過去に演じた天使を彷彿させた。
ただ一つ違うのはドレスの色。
漆黒のドレスを身に纏い、女王の玉座に座している。

なぜこのタイミングで、その姿でそこにいるのか。
俺にはある人物の作為が見えた。

せっかくなので状況を利用する事にした。



本当は彼のモノマネなんて、存在すら忌々しいから、やりたくはないんだけどね。
積もり積もった積年の鬱憤をはらさせて貰おう。

黒で統一された裾の長い衣装。
金髪のウィッグ。
尖った耳。
紅い瞳。

「お待たせしました!皆様必見です。この機会を逃すと二度と拝めません!歌を披露するのは本日初!敦賀蓮さん、曲は不破尚プリズナーです!」

不破君。
俺の天使を返して貰うよ。

ブレス、声量、音程は全て憶えた。
癖もね。
後は声をどれだけ近付けられるかだ。
これだけではつまらないから、他にも演出を加えた。

悪魔は死を遂げる。
悪魔を殺し、堕天した天使はどうなった?
俺の愛しい天使は。

短く編集された曲が終わり、白い羽根がひらりひらりと舞い落ちる。

この白い羽根は誰のものなのか。
悪魔がひとりとは誰が決めた?

白い羽根が視界を埋め尽くす。
天使に殺された悪魔は朽ちた。
天使は堕天使へと姿を変えた。

舞い落ちた羽根は天使が散らした羽根。

それを遠くから見ていた悪魔がもう一人。

天使に恋をし、焦がれ、欲し、全て仕向けた悪魔が一人。

全ては彼女を手に入れる為。



実際に演出を加えたのは、曲が終わり、羽根が全て舞い落ちるまでの数秒間のみ。
一瞬の間にウィッグを漆黒の長髪のものに変えた。
それから、恋しい地に堕ちた天使を思いを込めて見つめただけ。
それだけだ。



「あっ…ありがとうございましたぁ!」

彼女を見つめるだけの時間もMCの声が終わりをつげる。

もう少し…いや…いつまでも見つめていたかったけれど、仕方がない。

「すごいっ!すごいよ!!敦賀君!」
「似てましたか?」
「不破君、そっくり!でっかい不破君って感じ…あっ…京子ちゃんも不破君のモノマネしてたよね。ちょっと小さい不破君だった。」
「ああ。”君とプッチ◯プリン”な不破君ですね。」

その時の映像がスクリーンに映し出される。

『君とプッチ◯プリン。』

「本当だ。なんでプッチ◯プリン?」
「不破君が好きらしいですよ。プッチ◯プリン。」
「意外。」
「ね?不破君。」

この手の番組も好きなのは既に知っている。

「なんでカメラに向かって言うの?もしかして不破君、この番組見てくれるの?」
「ええ。録画してまで見てますよ。」

番組を見たら、ものすごく慌てるだろう。

これくらいいいよね。
いままで、さんざん人の恋路を邪魔してくれたわけだし。
君はトップシンガーなんだろ?
君が作り上げてきたイメージが多少崩れても、歌は歌えるよ。
何より本性なんていつかは見破られるものだよ。
君の本名は黙っててあげるよ。
かわいそうだから。

「しかし、最後にこの姿って。不破君のPVにあった?不破君の悪魔とは違うよね?」
「違いますね。京子さんが演じた天使のその後が気になって、俺なりにラストを考えてみたんです。悪魔がもう一人いて、全部仕組まれた事だったとしたら……、どんな事をしてもあの美しい天使を手に入れたかった。彼女を闇に染めてでも。プリズナーの歌詞にありましたよね。”それは真っ白な天使が汚れた瞬間 狂わせたのは僕”って。俺には京子さんが演じた天使の事にしか思えなかった。だとしたら、もう一人、天使を穢した悪魔がいるはずだと思って。」
「さすが役者さんね!そんなところまで考えるなんて!」

採点の結果は最高得点。
採点後、審査員の何人かにCDデビューしないかと言われたが、丁重にお断りした。

「勿体無いよ!」
「ありがとうございます。でも、俺は俳優ですから。今回は特別なんです。」
「敦賀君!もしかして今回の出場って……。」

男性MCの言葉に会場中の視線が一点に集まる。

視線の先の堕天使……クイーン・キョーコの顔が引きつっている。

俺とキョーコの関係は周知の事実。

「敦賀君。」
「彼女の唇を守るのも俺の使命です。」
「ほっぺにチューだけよ?」
「でも許せません!」
「嫉妬深いんだね。意外と。」
「はい。」
「京子ちゃん、女優さんでもあるんだよ。キスシーンとか……ベッドシーンとかの仕事きたらどうすんの?」
「……………………仕事ですから。役者には鉄則が……。」
「これも仕事だけど?」
「出演者は全員男!欲望入り混じってるじゃないですか。……許せません!」
「心狭いねぇ。…次、決勝戦だよ。京子ちゃん、出てくるけど。彼女にも勝つ気なの?」
「当然です。」

決勝戦は四人での対抗。
審査員と観覧者が誰に投票するかで決まる。
半分は男だから、キョーコに票が集中する可能性もある。
もちろん彼女自身、それだけの実力もある。

でも、負けないよ。
君にも。

彼女が勝ち続ける限りこの企画は続くらしい。
ウチの社長がそれを承諾したのだ。

今日彼女が勝って、彼女の唇が守られたとしても、次が控えている。

……次?
次なんてあるものか!
こんな企画は今回で終わらせる。

キョーコを狙う馬の骨など灰にしてやる。

キョーコ。
大切な君の為なら、俺は悪魔にでもなれるよ。



愛しい彼女に熱い視線を送り、ステージを降りた。



本当の勝負はこれからだ。






本当にアホだ。
私。

モノマネでいってみよーっ!リターンズ 1

人間、負けられない時がある。
何を投げうってでも成し遂げなければならない事がある。
何を引き替えにしたとしても手に入れなければならないものがある。

最上キョーコ。
頂点に君臨する愛しい君。
君を誰にも渡さない為に。
君を手に入れる為に。

やると決めたからには徹底的にやるから……覚悟して。



ステージのそでで自分の出番を待つ。

「蓮。いいのか?本当に……。」
「今更引き返せませんよ。これが最初で最後です。全力で行きます。社さん、後はお願いします。」
「あっ、ああ。頑張れよ。」

今回、この仕事でどんな反響が出てくるかは正直分からない。
本来、俳優敦賀蓮がやるべき仕事ではないのだ。
社さんにはいろんな意味で負担をかける事になるだろう。
それでも今回はどうしても譲れない。

最上キョーコを守る。

その為だけに、俺は今ここにいる。

彼女の純潔は俺が守ぬく!!
………もう純潔じゃないけど。

モノマネ王座決定戦で優勝を果たした彼女。
モノマネクイーンの称号を得た彼女の元に新たなるオファーがきた。

”モノマネ戦国時代天下統一大決戦
美しき覇者の愛を手にするなは誰だ?”

キョーコから番組タイトルを聞いた時、危機感を覚えた。
内容を聞いて殺意すらよぎった。

モノマネはトーナメント方式。
前回優勝者のキョーコはシード枠で後半からの登場。
対戦者との勝敗は審査員とスタジオの観客席の投票によって決まるらしい。

優勝者には豪華景品と賞金。
ここまでなら普通だが、キョーコに勝てばキョーコから祝福のキスがもらえるのだという。
しかも、勝利者の好みに合わせてメイクや衣装を変えてのキスの授与。
その衣装の出処はウチの社長だから衣装すら要注意だ。

もう形振り構ってなどいられない。
俺はステージに立つ。

モノマネ?

そんなものは朝飯前だ。
本物の俳優を舐めるなよ。

俺は昔大ブレイクしたドラマの主人公を演じる。

狂四郎……当時10代だった父が演じた不良グループのリーダーだった男。

スタントなし、特殊効果もなしで挑んだという族同士の抗争シーンは今でも伝説と言われる程の見せ場だ。
その表情、動き、気迫…どれをとっても十代の新米役者とは思えないと賞賛され、新人賞まで取ったのだ。

今の俺がそれを演じるには彼を超える演技を見せなければならない。
しかも既に成人した俺が十代を演じるのだから難しい事この上ない。

エキストラには格闘技のプロを頼んだ。
生半可な人間ではケガをするのが目に見えているからだ。
彼らに関しては年齢、見た目は要求していない。

強ければいい。
本気でかかってきてくれ。

指定はそれだけ。

社さんは青くなるし、依頼された側も難色を示したが、打ち合わせの時に手合わせをしたら、こちらの要求を飲んでくれた。

俺は役者、あちらはプロ。
俺が怪我を負ったとしても、責任は問わない。
その契約書も書いた。

プロを相手に本気で挑むのだ。
数発は覚悟しているが、仕事に支障をきたすような怪我はしない。

その為にも俺は全力で狂四郎を演じ続けた。



地に倒れた男達。
降り出した雨の中、立っているのは狂四郎ただ1人。

『狂四郎、あんたが育ててよ。可愛がってくれないと恨むわよ。』
『なんで俺がっ!』
『あんたに懐いてるからに決まってるでしょ!』

ケンカでは負けた事はない。
だけど、唯一勝てなかった人。

『この子の寿命は人間に比べたら短いわ。この子が私の所に来るまで可愛がってあげて。……お前に会えるのは今日が最後よ。でもお前が天国にくる時は私が迎えにくるから。』

手の中には今は亡き姉が可愛がっていたハムスター。
泥に汚れてはいるけれど、元気な様子だ。

「面倒かけやがって。…ハムスター取り戻す為に一人で乗り込むなんざ、いい笑もんはじゃねーかよ。」

空を見上げれば厚い雲に閉ざされた天。

「姉貴、こいつがそっちに逝くのはしばらく先じゃねーかな。」

雨あしは強くなるばかり。



「……っ!」
「つっ敦賀君?」
「はい。」

演技を終えた俺は息を整えながらいつものように笑んで見せた。

「良かったぁ〜〜。いつもの敦賀君だぁ。」

トーク番組で何度かお世話になった大物女性MCがホッとした顔でそう言った。

「別人かと思ったじゃないか。」

男性MCは同じ事務所の大先輩だ。

「少なくとも演技中は敦賀蓮ではないですよ。」
「しかし敦賀君ってケンカ強いんだね。」
「すごい大立ち回りでビックリしたじゃない。今まで映画でもあんなアクションはなかったんじゃない?……当時私もドラマに夢中だったのよ。まさかあのシーンを間近で見れるなんて思わなかったわぁ。」
「俺も見てた!原作も持ってるし、DVDも出たから買ったんだ。うわぁ〜、見たくなってきた!」
「それにしても、さすが俳優さんだよね。最後の雨のシーンなんてわ雨が降ってる様にしか見えなかったわよ。」
「もうとっくに成人してるはずなのにわさっきまではちゃんと少年に見えたよ。今はしっかり敦賀くんだ。学ラン似合うね。」
「そうそう、その学ランどうしたの?」
「特注品ですよ。既製品じゃ小さくて。」
「だよなぁ。さて、そろそろ採点を。よろしくお願いします!」

こうして一戦目は無事終了。
俺は次に勝ち進んだ。












また、この展開。
あほだ。私。

モノマネでいってみよー!6

ついにここまで来た。
決勝戦。

これで最後。
衣装はアルマンディー、靴もアクセサリーも全てアルマンディー。
全部、事務所が用意してくれたもの。
借り物なのに何故こんなにもしっくりくるの?
アルマンディーに女性物なんて聞いた事無いわよ?
もしかして子供用?……にしてはシックよね?
最後の仕上げはこれ。
あの人からこっそり借りてきたの。
アルマンディーのコロンあの人の香り。
私は今から、あの人になる。

「大番狂わせです。常連、優勝候補を押しのけて、ここまで勝ち進んできたのはなんと、今ドラマやバラエティーで引っ張りだこの京子ちゃん!!」「本当に素敵だったわ。妖精さん。」「……ちゃんと司会してね。」「分かってるわよ。」
お二人とも…もの凄くテンション高くないですか?
そこまで持ち上げられると緊張するんですけど。
「次に彼女がやってくれるのは敦賀蓮さんのモノマネだって。」「芸能界一イイ男をどこまで表現してくれるのか楽しみですね!」

出番を待つ間、スタッフやプロデューサー達の視線が突き刺さって居心地が悪い。
そりゃね、あの敦賀さんのマネをしようなんて、大それた事だって分かってるわ。
でもね、勝つにはこれしかないのよ!
『私は敦賀蓮よ!』
賞賛を受けるか、非難されるか、紙一重な賭け。
覚悟を決めて一歩を踏み出した。
私は知りうる限りの雰囲気と仕種を駆使してステージにたつ。
こんな時の…ステージ立つ際の…表情も癖も知り尽くしてる。
ただ、あの体格を再現するのは無理だから”小さな敦賀蓮”くらいに見えてくれればなと思った。
でも、これから私が演じるのはクリーンなイメージの彼じゃない。
もう一つの顔。
これまで、私しか見た事がないであろうあの人。
題して”ありえそうで、ありえない?敦賀蓮??”。
”ありえない?”と付け加えたのは、あの人のイメージを守るため。
……信じないとは思うけど。

審査員もギャラリーも唖然としていた。
登場の際には、いつもの”敦賀蓮”をやって見せたけど、その後は未知なる敦賀蓮ワールドだったのだから。

「君は……はっきり言って……馬鹿だろう?」
忘れないわ。
絶対に!!
何度か自虐行為の際に使わせて頂いたわ。

「………HA……?」
メリケンジェスチャー。
今思い出しても……ムカつく。
なんなのよ、あの目は!
バカにして〜。

「2、3年分の涙が枯れ果てるまでなかしてやろう………。」
目が笑ってないのよ。
……貴方には散々泣かされましたから、もうけっこうです!

「ん?何かな?」
キュララララと輝きを放ちながら毒吐きスマイル……なんで誰も気付かないの?

「……ごめんね?……。」
バックに豪華な花を背負って悩殺笑み。
でもその裏に見えるのは、何故か怒り。
分かりにくいけど、分かってしまうと怖いんですけど。
身も凍る程に……。

かと思えば「………。」前触れもなく炸裂する予測不可能な神々スマイル。
自分でやっておいてなんだが……モノマネですら、怨キョが何体か干されて灰と化していくのを感じた。怨キョ…後、何体残ってるかしら?

それと…やっぱりあれは欠かせないわよね?
勿体無いわよ。
あの夜の……ダークムーンごっこの敦賀さん。
新生”嘉月”が生まれた瞬間を世に残せないなんて神への冒涜だわ。

奇しくも同じテレビ局…ネタ的にも問題無い。
運良くというか、審査員として参加していたのは百瀬さん。
貴女にも味合わせてあげる。
私が受けた衝撃を。
皆さんの前で疲労した演技テストなんで比じゃなかったわよ!!

「―――……君……さ……。」あの妖しげな笑みに……。
「……えっ……。」
「―――キスした事……ある……?」唇に触れた指に……。
「っ!!!!」
「……教えてあげようか……?」有り得ない台詞に……。
「えっ……えっ……ええっ!!」
落ちない女の子はいるの?
私だって正直ヤバかったのよ。
ふいたヤカンのように湯気をあげんばかりの百瀬さん。
演技テストではなんとか踏み止まったけれど……。
百瀬さん……ミニ敦賀蓮に陥落。
それはそうよね?

後で聞いたんだけど、あの人……テンパッて演技すら忘れて、素に戻っちゃった果てらしいわよ。
何てはた迷惑な……。

最後は敦賀蓮仕様でナツ立ちにナツウォーク。
今にして思えば、あの敦賀蓮に私ってば凄い事やらせちゃったんだわ。
『女性モデルの動きを敦賀さんに教えていただきました』なんて口が裂けても言えないけれど……やってくれたのよ。
今考えると恐ろしいわ。

「……きょ……京子ちゃんの今のは全部……。」
「だったら面白いな……という私の想像が入り混じってます。基本的な部分は変えてないですけど。品よく、無意識に大人の魅力垂れ流しで……。」
「垂れ流しって……。」
「無駄に色気垂れ流ししてますよね。さすが似非紳士……。」
「「似非っ!?」」
「あっ間違えました。あまりにも紳士的なので似非っぽくしてみたんですよ。」
つい口が滑ってしまった。
あぶない、あぶない。
バレたら怖いわ。
バレなきゃいいのよ。
バレなきゃ……。

「どうも。似非紳士の敦賀蓮です。」

「ほへぃっ!!??」

振り向けば彼がいた。
「え〜〜〜〜〜〜っ!?」
どうしているのっ!?
「後輩の応援に??」
キュラキュラ…と輝く笑みに干される私と悩殺される周囲。
やっぱり似非じゃないの〜っ!!
「それと比較対照があった方がいいかなと思ったので、特別に出演させてもらったよ。京子さん。」
後で覚悟してね。……とその目が言っている気がするのは気のせいですか?

かくして私の初挑戦、モノマネバトルはこれで終わった。
心臓への負担を多大に残しつつ……。
バトルの結果については……なんと驚いた事に優勝まで手に入れた。
最後の対戦者だった大物モノマネ芸人(前回優勝者)も絶賛してくれた。
『弟子入りさせて!』なんて冗談までいって。
敦賀さんも怒っている様子もなく、出演者、司会者、観客達に惜しまれつつ去っていった。
『……本当に怒ってないみたい??良かった。』
なかなか楽しかったし、いい事もあった。
賞金と豪華景品の新型国産車をゲット!!
免許は取ったけど車はまだだったから、すごくうれしい。
ほくほくしてスタジオを後にした私。
楽屋のドアノブに手をかけて……。
『ん?なんか……入りたくない気分?なんで??』
根性でドアを開ければ、待っていたのは……。
何故か大魔王な……敦賀さぁ〜ん!!

パイプイスに腰掛け優雅に長い足を組んでいる。
顔は笑っているけれど醸し出す雰囲気は大魔王。
紳士と大魔王の合わせ技だ。
マズイ。
このまま帰ればよかった。
荷物??
そんなの後でいいわよ。
とにかく逃げ出したい!!
「最初の方見てなかったんだ。……だからスタッフに頼んで特別に見せてもらったよ。」
「ふぇっ??」
「キョーコ。何か言う事は?」
「ごめんなさい〜〜〜〜。」
「君分かってないだろう?」
「バカ尚やビーグールのマネなんてマズイですよね……彼らのイメージぶち壊すのが目的じゃなかったんですよ。復讐とかじゃないですよ。純粋に芸として……。あっ!それと誰もアレが敦賀さんそのものだなんて誰も思いませんよ〜〜〜っ!!」
「やっぱり、分かってないね。……お仕置き、必要だよね?」
「い〜〜っや〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
大魔王な彼に強引に連れ去られる私。
行き先はもちろん彼のマンション。
実は最近私の帰る家にもなってしまったあの部屋へ。
家に帰ると寝室直行。
抵抗も虚しく、甘いお仕置きを施された。
結局、私は最後まで何が悪くてお仕置きされたのか分からなかった。

数日後……何故か疲れきった敦賀さんにその理由を聞くまでは……。

「疲れてる理由?……君のせい……。」
「は?」
「君が誰かれ構わず、老若男女問わず、悩殺しまくったから害虫駆除をする羽目になったんだよ!君がやった事なのに、俺自身にまでよってくる虫が増えて!!仕事どころじゃなかったよ!!」
「………。」
「勿論、癒してくれるよね?」
「えっ!?」
「癒してくれるよねっ!!」
「いや〜〜〜〜っ!!」
助けて誰か……。

似非紳士と大魔王と夜の帝王のトリプルコンボに私はこの日……昇天した。
お花畑を何度見たかも覚えていない。



二度とモノマネ番組になんて出ないんだから〜〜っ!!そう決意した夜。






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